6兆円で企業買収!?

6兆5000億円超! 製薬業界で国内最大手の武田薬品工業が、アイルランドの企業に提案した買収の金額です。実現すれば、日本企業が海外企業を買収する案件としては過去最高になります。しかし、世界を見渡すと、上には上がいるようで…

6兆円ってサラリーマンの僕には想像もできない金額でびっくりしました。

武田薬品が買収を提案したのは、アイルランドに本社があるシャイアーという製薬会社。シャイアーは100か国以上で薬を販売し、血液などに関わる、患者の数が少ない希少疾患の薬が強み。武田薬品としては、シャイアーの薬品や開発力を手にして、消化器系の病気やがんの薬を強化する狙いがあるんだって。

シャイアーは「まだお金が足りませんよ」と提案を拒否したんだけど、交渉はまだ続いている。さらに金額が膨らんでいく可能性があるわね。

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武田はなぜ、そこまで高いお金を出して買収したいんですか?

「メガファーマ」と呼ばれる海外の巨大製薬会社と競争していくためには、会社の規模を大きくしていかないといけない、という判断よ。

売り上げで見ると、武田は日本では最大だけど、世界では17位。上には上がいるってことね。トップのファイザーや2位のノバルティスは400億ドル、日本円で4兆円を超えていて、武田の3倍の規模がある。武田が仮に22位のシャイアーを買収しても、売り上げの合計は、ようやく9位になるくらい。

製薬業界では、今回のような買収案件は、全然、珍しいことではないの。最近ではドイツのバイエルが業界を飛び越えてアメリカのバイオ化学のモンサントをおよそ7兆円で買収することを決めた。

最終的には白紙になったけど、世界トップのアメリカのファイザーは、アイルランドのアラガンを19兆7000億円で買収しようとしていたの。

2016年 医薬品売上高ランキング

メーカー

売上高(百万ドル)

1

ファイザー

48,259

2

ノバルティス

スイス

42,706

3

ロシュ

スイス

41,626

4

メルク

35,151

5

サノフィ

34,692

6

ジョンソン&ジョンソン

33,464

7

ギリアド・サイエンシズ

30,390

8

グラクソ・スミスクライン

28,629

9

アッヴィ

25,638

10

アストラゼネカ

23,002

17

武田薬品工業

14,415

22

シャイアー

アイルランド

11,397

(出典:研ファーマ・ブレーン)

気が遠くなるような金額ですね。しかし、なぜ、すでに規模が大きい会社も、さらなる買収を狙っているんですか。

それは、買収相手の企業が持っている新薬を手に入れたいからよ。新薬をつくるのは簡単じゃないし、10年単位の時間がかかると言われている。つまり、製薬会社の買収は、時間をお金で買っているともいえるの。

新しい薬を手に入れるためとは言っても、巨額の買収にはリスクがつきものですよね。

武田に関しては、買収に踏み切ることで会社の財務状況が悪化するのではないかと不安視している投資家も少なくない。一方で、買収を実現させなければ、会社の成長はないという見方もある。

いずれにしてもリスクがあるわけで、会社としては難しい選択を迫られていると言えそうね。