NEW2017年12月18日

手取り、減っているんですけど

来年度の税制改正がまとまりました。年収850万円を超える会社員の所得税が、原則、増税になります。たばこを吸う人、海外旅行に行く人も増税に。森林整備のための増税も決まりました。

自営業の人は減税、賃上げする企業も減税になりますが、来年度の改正では、全体で2800億円の増税になります。私たちの手取り収入どうなるの?考えてみます。

増税になる年収850万円超の会社員って、いったいどれだけいるんだろう?

増税になるのは、およそ230万人。会社員や公務員など給与所得者の4%程度だそうよ。850万円を超える人でも、22歳以下の子どもがいる人や、家族に介護が必要な人がいる場合は増税の対象には含まれないのよ。大多数の会社員にとっては増税も減税もなし、ね。

僕の年収は、日本の平均年収より、ちょっと上くらいです。国税庁の統計で調べると、2016年の平均給与は422万円なんだそうです。ということで所得税の増税とは無縁なんですが、この数年、手取り収入が減っているんですけど。

正確には、自分の源泉徴収票で確かめてほしいけれど、実はそうなのよ。調査会社 三菱UFJリサーチ&コンサルティングは、この5年で所得税・住民税、社会保険料などを会社員がどれだけ負担し、手取りがどうなっているか試算しているの。

試算でイメージしたのは、夫が中小企業の会社員で、妻が専業主婦、子どもがいない、東京の2人暮らし家庭よ。

あなたに近い年収500万円の家庭は、5年前(2012年)の手取りの収入は約384万円だったの。でも、ことし(2017年)は約378万円。5万円以上、手取りが減っているの。社会保険料の負担が増えたのが主な理由ということよ。

500万手取り額の棒グラフ

やっぱりそうでしたか…。ちなみに、もっと高収入の人たちの手取りはどう変わっているんですか?

年収1000万円の人の手取りは、724万円から716万円に。8万円近くの減ね。2020年の所得増税があるので、手取りはさらに3万円程度減る見込み。

年収1500万円の人だと手取りは1016万円から994万円になって、22万円のマイナス。給与所得控除の上限の額が、去年も、ことしも、引き下げられているためね。来年からは、配偶者控除も受けられなくなるので手取りは、さらに14万円程度マイナス。2020年には今回の見直しなどでさらに8万円以上負担が増えて、手取りは971万円になるそうよ。

収入が高い人ほど、年々、手取りの減少額は大きくなっているわ。

手取り額の推移の表
手取り減少額の推移グラフ

その試算を見せられると、賃上げがあっても、暮らしが上向くような気がしませんね。2019年には消費税率も10%に引き上げられますよね。僕たちの税金、この先、どうなっていくんだろう?

消費税率を引き上げる分は、高齢化で急増している医療・年金・介護、それに、子育て支援に使うことになっているのだけど、食料品などの税率を低く抑える軽減税率が導入されるでしょ。それで6000億円、税収が足りなくなる見通しなの。どうにか穴埋めするため「取れるところからは取ろう」という流れが強まる可能性は否定できないわ。

今回の所得税の増税も、それが狙いだ、と見る専門家もいるわ。ただ今回の増税、私たちのような一般人からすれば、不意打ちに近い形で突如、浮上して一気に決まった印象があるわね。

所得税は今後も見直しを続ける方針ということだけど、個人の負担に直結するので、丁寧に議論してほしいわね。

(注記)
※試算は、東京都在住の2人世帯。夫が会社員。妻が専業主婦。
※負担額は、所得税、住民税、厚生年金、雇用保険、協会けんぽの健康保険、介護保険を考慮。
※2018年以降の保険料の一部は据え置きと仮定。
※実際の手取り額は個人の状況によって変わります。