ルールが変わったからこそ、誰が見ても世界一だと思ってもらえる演技を

比嘉もえ

アーティスティックスイミング #自分を奮い立たせたいとき

アーティスティックスイミングの日本代表で最年少の高校1年生、15歳の比嘉もえ。
24歳の安永真白とペアを組み、デュエットで世界と戦っている。

22年前、ことしと同じ福岡で開催された水泳の世界選手権。当時はシンクロナイズドスイミングと呼ばれていた。
その大会で日本は初めて世界選手権のデュエットの金メダルを手にした。

まだ生まれてもいなかった比嘉。
その演技を映像で見て「すばらしすぎて同じ競技をやっているという実感があまり湧かないくらい感動した」と憧れとも言えないほどの思いを抱いていた。

再び福岡で行われたことし7月の世界選手権。
あのとき以来の金メダルを期待されるなかで、アーティスティックスイミングは今シーズンからルールが大きく変わり、フィギュアスケートのように1つ1つの技ごとに採点される方式に。申告どおりに技を実施できなければ大幅な減点となり、メダル争いに加われなくなる厳しいルールとなった。

世界選手権を前に比嘉は、国際大会の経験を積むことで新ルールに対応することができれば世界一も夢ではないと、15歳とは思えない、いや、15歳だからこそとも言える『自信』を抱いていた。

「技術力などを高めていけば、トップを狙えない位置にはいないんじゃないか。
ルール変更で本当に一番になれる可能性が高くなった」

迎えた世界選手権、予選は2つの技が認定されずギリギリの12位通過。それでも決勝は技の難易度を落とさずに演技構成を変えるだけにとどめた、攻めの姿勢で臨んだ。

比嘉・安永ペアは修正力の高さで、すべての技を認定させることに成功。
海外勢が得点を伸ばせないなか、デュエットでは22年ぶりとなる金メダルを獲得した。

この快挙を「本当に光栄なこと」としつつも比嘉は冷静に演技を分析。
来年に迫るパリオリンピックを見据えていた。

「当時の金メダルと比べると、今回の金メダルはラッキーな部分が大半だと思う。まだまだ追求していかなくてはいけない課題がたくさん見つかった。世界はさらにレベルアップしていくと思う。そこに置いていかれないよう、自分たちを追い込んでいきたい。ルールが変わったからこそ、誰が見ても世界一だと思ってもらえるような演技をしたい」

もうラッキーだとは言わせない。
15歳はパリの舞台で最高の演技を見せるつもりだ。

アーティスティックスイミング #自分を奮い立たせたいとき