ワールドカップは夢物語ではなくて、勝負をする場

相馬勇紀

サッカー #やっぱ好きだなぁ

「相馬勇紀」

日本代表発表の記者会見で森保一監督から、この名前が呼ばれたとき周りからは「お~」という声があがった。

名古屋グランパスの相馬勇紀。

ことし7月の東アジア選手権までは、当落線の下にいたといってもいい選手だった。そこから大逆転でつかんだ代表の座。そこには「ワールドカップで勝負したい」という強い信念があった。

相馬は身長1メートル66センチと小柄だが、スピードを生かしたドリブルには絶対の自信を持っている。日本代表のほとんどが海外組で構成されるなか、Jリーグの選手でもでもできること示したいと常に考えてきた。代表に決まった後、相馬はこう語っている。

「Jリーグのスピード感に慣れないように、常に世界で戦うことを基準に考えながら練習していた。相手が2歩しかステップ踏めない間にこっちが3歩動けていたら相手と入れ替われる。そういった動きの速さを出す。相手が両足そろった瞬間に、もうこっちは、もうドリブルはじめているという感じに」

Jリーグからでも代表入りはできる。

その信念を確固たるものとしたのが、ことし7月の東アジア選手権だった。国内組で構成された大会だったが、相馬にとってはおよそ2年半ぶりの日本代表。ワールドカップに行くには、ここで結果を出すしかなかった。ここで相馬は得点王と大会MVPに輝き、そして堂々としたワールドカップの代表候補という立場にまで前進した。

「僕は気持ちをあまり表に出してないけど、絶対に負けないんだということをひとつひとつのプレーと練習からみせていった。現実的に絶対、俺はカタールにいくんだという気持ちをもっていた。ターニングポイントだったと思っている」

思いが現実になった11月1日。
代表発表の後の記者会見で、相馬は各社が自分を当選予想に入れていなかったことを笑いに変えながら、こう力強く語った。

「メンバーに入るという気持ちを常に持ちながらプレーしていた。選ばれたら終わりではないので。ワールドカップで活躍する方法を考えたい。チーム内では序列が低いほうだと思うのでどれだけ上をくっていけるか。自分の感覚ではワールドカップはもう夢物語じゃなくて勝負をする場だなという気持ちです」

優しい笑顔がトレードマークの25歳は、カタールのピッチでゴールを狙うみずからの姿を確かにイメージできている。そう感じさせる記者会見だった。

サッカー #やっぱ好きだなぁ