自分の個性や既存の概念にとらわれない考え方を表現する先駆者になりたい

ティモシー・ルデュク

フィギュアスケート

フィギュアスケートペアの北京オリンピックアメリカ代表、ティモシー・ルデュク。自認する性別が男性と女性の枠にとらわれない「ノンバイナリー」だと公表し、31歳にして初めてのオリンピックに臨んだ。

「キャリアの中でさまざまな困難を乗り越えてきた。だから、何よりもこの舞台ですばらしい演技を見せたいと思っていた」

2002年のソルトレイクシティーオリンピックで、アメリカの選手たちが活躍する姿を見てスケートを始めたルデュク。成長する過程で自身の性自認について考えるようになり、18歳の時にゲイであることを両親に明かした。
しかし、当初は理解してもらえなかったという。
当時のコーチからは「もっと男性らしくすれば試合に勝てる」などと心ないことばを浴びせられ、長年、性的マイノリティーであることに悩み、葛藤してきた。

変化が訪れたのは6年前。
現在ペアを組むアシュリー・ケイン グリブルとの出会いだ。

ルデュクは、自分のありのままを受け入れてくれるケイン グリブルと競技に打ち込み、2017年には全米選手権で3位入賞を果たした。

その後、「ノンバイナリー」だと公表。ペアとしても飛躍を続け、2019年と2022年の全米選手権で優勝してオリンピックの大舞台への切符をつかみ取った。

北京オリンピックで8位入賞を果たしたルデュクは、「ノンバイナリー」だと公表した自分の姿を通して伝えたいメッセージがある。

「私の望みは、自分のありのままに、正直な気持ちでリンクの上に立ち、自分の個性や既存の概念にとらわれない考え方を表現する先駆者になることだ。そして、ほかの人たちにもどんな場所であれ成功するために本当の自分を変える必要はないと知ってほしい」

最高のパートナーとともに、これからも演技で魅せていく。

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