【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(7月16日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる16日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、およびロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア示した和平交渉の条件 ウクライナの世論 約83%同意せず

ロシアのプーチン大統領は先月、ウクライナとの和平交渉について、おととし一方的に併合を宣言したウクライナの東部ドネツク州やルハンシク州など4つの州からウクライナ軍が完全に撤退することに同意し、実際に撤退を開始すれば、交渉を始める用意があると主張しています。

これについて、ウクライナの地元メディアと世論調査機関は先月下旬に調査を行い、15日、結果を発表しました。

それによりますと、プーチン大統領が示した条件について82.8%が「同意しない」と回答し、ロシアの強硬姿勢に対する強い反発が改めて浮き彫りになりました。

この条件をめぐっては、ウクライナ外務省がすでに「ばかげている」と拒否する姿勢を示しています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、ロシア側が強硬な条件を示していることについて「国際社会から正当な交渉姿勢への支持を集めようとするウクライナの取り組みを弱体化させる試みだ」と指摘しています。

ゼレンスキー大統領“和平案めぐる国際会議 11月開催目指す”

ウクライナのゼレンスキー大統領は15日、首都キーウの大統領府で、NHKなど海外メディアも招いて記者会見を行いました。

この中でゼレンスキー大統領は、先月スイスで開いた、ウクライナが提唱する和平案をめぐる首脳級の国際会議に関して「11月には関係する計画を準備したい。サミットについてもそうだ」と述べ、ことし11月に2回目の開催を目指す考えを明らかにしました。

そのうえで参加しない意向を示しているロシアに対し出席を求めました。

ゼレンスキー大統領としては、11月に行われるアメリカの大統領選挙もにらみながら、ウクライナが主導する形で和平案の実現に向けた道筋を示したいねらいもあるとみられます。

また、記者からはウクライナ支援に消極的なアメリカのトランプ前大統領に関する質問も相次ぎ、ゼレンスキー大統領は「もし彼が大統領になっても、私たちは協力する」と述べました。

一方、先週、アメリカが「パトリオット」などの防空システム5基をドイツなどと供与すると明らかにしたことに関連し「全土を守るためには25基が必要だ」と述べ、いっそうの支援を求めました。

キーウの小児病院被害 1週間経過 一部診療再開も復旧作業続く

ロシア軍が8日、ウクライナ各地に行った大規模なミサイル攻撃で、首都キーウの小児病院では建物の一部が崩壊し、犠牲者は全土で40人以上にのぼりました。

攻撃から1週間となった15日、被害を受けた小児病院の入り口には、花やぬいぐるみが置かれていたほか、ミサイルが落下したとみられる建物があった場所には、犠牲となった医師らの写真が飾られていました。

病院では一部で診療を再開したものの、敷地内にはがれきが残ったままで重機を使って運び出すなど、復旧に向けた作業が続けられていました。

5歳の娘を連れて攻撃の前日にも病院に来ていたという父親は「子どもたちが救われ、命を与えられる小児病院に攻撃したら、戦争のルールはあってないようなものになる」と話していました。

また一緒に来ていた女の子の母親は「私たちには子どもがいるのでとても恐ろしいです」と話していました。

病院の再建に向けては、ゼレンスキー大統領が9日、あわせて4億フリブニャ、日本円にして15億円相当をあてる方針を示しています。