【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻 (5月3日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる3日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、およびロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ国防省高官 今後ロシアが東部の州などに攻勢との見方

ウクライナ国防省の高官は、ロシア軍が5月末か6月はじめには第2の都市がある東部ハルキウ州などに攻勢をかける可能性があるとの見方を示しました。

これはウクライナ国防省情報総局のスキビツキー副局長が2日に掲載されたイギリスの経済誌「エコノミスト」とのインタビューで明らかにしたものです。

スキビツキー副局長は、戦況次第だとしながらも、ロシア軍は5月末か6月はじめに東部ハルキウ州や北東部スムイ州に攻勢をかける可能性があるとの見方を示しました。ただ、国境地帯に展開しているロシア軍の規模から判断して、ウクライナ第2の都市、ハルキウなど主要都市を掌握するには至らないだろうとしています。

一方、前線ではドネツク州にある高台の要衝、チャシウヤルで激しい戦闘が続いていて、地元の州知事は1日、テレビ番組で、住民が置かれた状況は「非常に厳しい」とした上で、侵攻前は1万2500人以上いた人口が、682人にまで激減しているとしています。

残っている住民は1年以上にわたり水道や電気がない状態で生活し、人道支援も届きにくい状況になっているということです。

スキビツキー副局長はチャシウヤルが陥落するのは時間の問題だとしながらも「きょうやあすではない。すべては備蓄と物資しだいだ」としていて、新たに決まったアメリカからウクライナヘの追加の軍事支援が戦況にどう影響を及ぼすかが焦点となっています。

ロシア軍“ウクライナ側から奪取”欧米の戦車などモスクワで展示

モスクワ市内にある戦勝記念公園では、ロシア軍が前線で破壊し、奪い取ったとする欧米が供与したウクライナ側の戦車や装甲車など30台以上が展示され、今月1か月間の予定で一般に公開されています。

ロシア国防省によりますと、これらは12か国で製造されたもので、アメリカがウクライナに供与した主力戦車「エイブラムス」や、ドイツが供与した主力戦車「レオパルト2」などが含まれています。このうちエイブラムスはキャタピラーが破損し、激しい戦闘が行われたことがうかがえます。

展示には大勢の市民が訪れ「皆、私たちに対してどんな兵器が使われているか見にきています」とか「展示物は興味深かったですが、私が1番感じたのは、勝利は私たちのものになるということです」などと話していました。

モスクワでは、今月7日にプーチン大統領の通算5期目の就任式が行われるほか、9日には第2次世界大戦でのナチス・ドイツに対する勝利を祝う戦勝記念日を控え、祝賀ムードが高まっています。

プーチン政権としては、ウクライナの背後に欧米がいることを印象づけるとともに、国民に戦果をアピールするねらいがあるものとみられます。

“ロシア軍が化学兵器使用 条約無視” 米が資産凍結などの制裁

アメリカ国務省が1日、発表した声明によりますと、ロシア国防省の傘下で化学物質や放射性物質の除去を担当する部隊が、ロシア軍によるウクライナ軍に対する化学兵器の使用を促したとしているほか、ロシアの政府系の研究機関が化学物質の調達に関わったとしていて、これらを対象に資産凍結などの制裁を科したということです。

その上で、ロシアが化学兵器の開発や使用の禁止などを定めた化学兵器禁止条約を批准していることを踏まえて「ロシアは条約の義務を無視し続けている」と厳しく非難しました。

この問題をめぐってウクライナ軍は、ロシア軍による毒性のある化学物質を含んだ弾薬の使用が、侵攻が始まったおととし2月以降で465件に上ると、去年12月に発表していました。

これについて、ロシア大統領府のペスコフ報道官は2日、記者団に対し「発表はまったく根拠のないもので、何の裏づけもない。ロシアはこの分野で国際法上の義務を果たしているし、これからも果たし続ける」と述べ、アメリカ側の主張を否定しました。

ウクライナ提唱の和平案目指す国際会議 スイス 6月開催と発表

ウクライナは、ロシア軍の撤退や領土の回復など10項目からなる「平和の公式」と名づけた和平案を提唱しています。

この実現に向けてスイス政府は2日、各国の首脳などが参加する「平和サミット」を、来月15日と16日に中部のビュルゲンシュトックで開催すると正式に発表しました。

この国際会議には160以上の国に参加が呼びかけられましたが、ロシアについては参加に関心を示してこなかったことから、招待していないとしています。

ただ、スイス政府は「ロシアなしでの和平プロセスは考えられない」としていて、会議のあとにロシアの関与を促していく考えを示しました。

会議についてウクライナのクレバ外相は、1日に公表されたアメリカの外交専門誌のインタビューで「ロシアが誠実に行動するような状況にもっていくには、戦場で成功を収めるか、原則的な立場を共有する国々で連合を組むかしかない」と述べました。

一方、ロシア大統領府のペスコフ報道官は「ロシアが参加しない会議に真剣に期待することは絶対に不可能だ。結果を求めていない取り組みだ」と強調しました。

ウクライナ侵攻800日 ロシア軍 東部ドネツク州で攻勢強める

ロシア国防省は2日、ロシア軍がウクライナ東部ドネツク州の集落の1つを新たに掌握したと主張するなど、東部の前線で攻勢を強めています。

ウクライナの警察によりますと、ロシア軍がドネツク州で行ったミサイルなどによる攻撃は、1日も1900回余りに上って市民4人が死亡するなど、連日2000回前後の攻撃が繰り返されているということです。

焦点となっているのは、ドネツク州バフムトの西側にある高台の要衝、チャシウヤルで、ウクライナ軍のシルスキー総司令官は、ロシア軍が5月9日の第2次世界大戦の戦勝記念日に向けて、掌握を狙っているという見方を示しています。

4月27日から28日にかけて無人機で撮影されたチャシウヤルの映像では、人けがほとんどなく、激しい攻撃によって多くの建物が崩れたり骨組みだけになったりしているなど、町全体が荒れ果てている様子が確認できます。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は1日、ロシア軍が南部にいる部隊を東部に再配置する可能性を指摘し、ウクライナ軍にアメリカからの軍事物資が届く前にチャシウヤルへの攻勢をさらに強めるだろうと分析しています。