【14日詳細】イスラエル軍 退避警告 大規模軍事作戦準備か

イスラエル軍がパレスチナのガザ地区の住民に対し新たに通告した6時間の退避期限が日本時間の午後10時に過ぎました。

イスラエル軍はハマスの軍事部門の幹部など2人を殺害したと相次いで発表し、大規模な軍事作戦に向けた準備を進めているものとみられます。

目次

《【最新】イスラエル・パレスチナ情勢》

イスラエル軍“ハマス指揮官の1人 アリ・カディ氏殺害”と発表

イスラエル軍は、ハマスの指揮官の1人で、今回のイスラエルへの奇襲攻撃の一端を担ったとされるアリ・カディ氏を殺害したと発表しました。軍の広報官は、SNS上に建物をピンポイントで空爆し、破壊する映像をあわせて公開しています。

イスラエルのメディア、「タイムズ・オブ・イスラエル」は、軍が諜報機関と連携してドローンによる攻撃で殺害したと伝えています。

また、イスラエル軍は、同じく奇襲攻撃に関与したとされるハマスの軍事部門の幹部ムラド・アブ・ムラド氏も空爆によって殺害したと発表しました。

イスラエル軍 ガザ住民に避難経路 大規模軍事作戦に向け準備か

イスラエル軍がパレスチナのガザ地区の住民に対し24時間以内に南部に退避するよう通告してから丸1日が経過しました。

イスラエル軍は通告期間中も空爆を続ける一方で期限を迎えた後も避難経路を示し、6時間は危害を加えないとしてさらなる退避を進めるよう警告していて大規模な軍事作戦に向けた準備を進めているものとみられます。

イスラエル軍とイスラム組織ハマスとの衝突は、14日で1週間となり、これまでにガザ地区で2215人、イスラエル側では少なくとも1300人が死亡し、双方の死者は3500人を超えています。

イスラエル軍が24時間以内にガザ地区北部の住民が南部に退避するよう国連に通告してから丸1日が経過しましたが、イスラエル軍は14日も、SNSでガザ地区の住民に避難経路を示し、現地時間の午前10時から午後4時、日本時間の午後10時までの6時間は危害を加えないとして退避を進めるよう警告しています。

ただ、イギリスのBBCは、前日の13日にイスラエル軍が示した別の避難経路などを通って退避していたパレスチナ人を乗せた車列が攻撃を受けて、子どもを含む少なくとも12人が死亡したと伝えています。

イスラエル軍は、避難を呼びかけている間も空爆を続け、ガザの保健当局は13日深夜、「この24時間足らずの間に子ども20人を含む256人が死亡し、1788人が負傷した。今月7日以降で、1日の死傷者数としては最も多い」と発表しています。

また、イスラエル軍は13日、ガザ地区北部に地上部隊による限定的な襲撃作戦を展開し、人質の所在を突き止めるための証拠の収集などを行ったとしています。
イスラエル軍は住民の退避やこうした限定的な作戦も通じて、地上侵攻を含む大規模な軍事作戦に向けた準備を進めているものとみられます。

イスラエル軍 ガザ住民に避難経路 日本時間22時まで危害加えず

ガザ地区の住民に南部に退避するよう通告しているイスラエル軍は14日、SNSで住民が通るべきだとする避難経路を示し現地時間の午前10時から午後4時、日本時間の午後4時から午後10時までの間は危害を加えないと発表しました。

イスラエル軍はガザ地区北部の住民に対し24時間以内に南部に退避するよう国連に通告し、日本時間の14日午前6時に期限を迎えていましたが、国連などは短時間で100万人以上を移動させることは不可能だと批判していました。

イスラエル軍 ガザ地区で“限定的な地上作戦”発表

イスラエル軍は「テロリストと武器の脅威を排除し、人質の居場所を突き止めるためにガザ地区を急襲した」と13日発表し、ガザ地区で限定的な地上作戦を行ったことを明らかにしました。人質の所在を突き止めるための証拠の収集などを行ったとしています。

イスラエル軍は翌14日、イスラム組織ハマスによって人質としてガザ地区で捕らえられている市民は120人以上にのぼると明らかにしました。

一方、ハマスは13日、過去24時間のイスラエル軍の空爆によって、人質13人が死亡したとしていて、イスラエル軍の攻撃が人質の命を脅かしていると主張しています。

24時間経過 双方による暴力の応酬続く

イスラエル軍とイスラム組織ハマスとの衝突は、14日で1週間となり、これまでにガザ地区で1900人、イスラエル側では少なくとも1300人が死亡し、双方の死者は3200人を超えています。

日本時間の14日午前6時にはイスラエル軍が24時間以内にガザ地区北部の住民が南部に退避するよう国連に通告した期限を迎えました。

現地からの映像では、その後もイスラエル軍の空爆によるとみられる爆発音が頻繁に聞こえ、時折、爆発によって炎が上がるのが確認できます。

これに対してハマスは13日、退避通告に対抗してイスラエルの空軍基地や、最大の商業都市テルアビブをロケット弾で攻撃したと発表するなど、双方による暴力の応酬が続いています。

ネタニヤフ首相は13日夜の演説で「敵は代償を払い始めたばかりだ。これは始まりにすぎない。われわれはハマスを破壊し勝利する。時間はかかるが、かつてなく強くなってこの戦争を終わらせる」と述べ長期戦も辞さない姿勢を示しました。

またイスラエルのガラント国防相は13日「命を守りたい人は南へ行ってほしい。私たちはハマスのインフラ施設や本部、軍事施設を破壊するつもりだ」と述べていて、イスラエル軍が近く、地上侵攻を含めた大規模な軍事作戦を実行に移すとの見方が強まっています。

しかし、退避の対象となる住民は110万人にのぼる上、イスラエル軍が通告後もガザ地区の北部への空爆を続けていて散乱したがれきなどで通行できない道路もあるということです。

こうした状況について、WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は13日、SNSに「南部への集団での退避が悲惨なものになることは明らかだ」と書き込み、けが人や病人などが避難できずに取り残される可能性が高いとして通告の撤回を求めています。

また、EU=ヨーロッパ連合の外相にあたるボレル上級代表も「24時間で100万人が移動することはまったくもって現実的ではない」と批判しています。

パレスチナのヨルダン川西岸地区や周辺のアラブ諸国でもイスラエルに対する抗議デモが広がっていて、イスラエル側の出方に国際社会の目が注がれています。

“ハマス側の攻撃で検問所の壁に穴”衛星画像で確認

今月7日、ハマス側からの奇襲攻撃で始まった衝突では、数千発のロケット弾による攻撃が行われるとともに、ガザ地区を囲う壁やフェンスを超えて多くの戦闘員がイスラエル側に侵入しました。

NASA=アメリカ航空宇宙局の人工衛星が観測した地上の熱源のデータで、ガザ地区周辺で多くの熱源が観測されていることがわかり、衛星画像と重ね合わせると、灰色の煙が出ている場所が複数、確認できます。また、イギリスの公共放送BBCは戦闘員たちが地区の北部にあるエレズ検問所を含む7か所を突破して侵入したとしていて、人工衛星が8日、この検問所付近を撮影した画像を分析したところ、壁に少なくとも3か所で破壊されたようなあとが確認できました。

パレスチナ情勢に詳しい東京大学の鈴木啓之特任准教授は「攻撃初日の段階で、イスラエルの防空システムは、ロケット弾の対処に忙殺された一方、地上では大量の戦闘員の侵入が実行された。空や海からも越境が実施されていて、多数のロケット弾が放たれる中で越境するという前代未聞の規模と計画性、連携だった」と指摘しています。

“イスラエル軍 ガザ地区で白リン弾使用”人権団体が非難

国際的な人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は、イスラエル軍が今月10日と11日にガザ地区で「白リン弾」を使用したのが確認されたと発表しました。白リン弾は着弾したときに飛び散った高温の白リンによって皮膚に大やけどを負わせることから非人道的だとして、その使用をめぐって国際社会で議論となっていて「世界でも有数の人口密集地域であるガザ地区での使用は民間人に被害が出る危険性を増大させており国際人道法に違反している」と非難しています。

イスラエル軍の砲撃で “ロイター通信カメラマン 1人死亡”

中東のメディア、アルジャジーラやAP通信などは所属する記者の話として記者たちがレバノン南部の国境付近でイスラエル軍による砲撃を受け、1人が死亡、6人がけがをしたと伝えました。

これについてロイター通信は死亡したのは、取材中の自社のカメラマンだったと発表しました。

レバノン南部では、イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが散発的に衝突していて、AP通信によりますと、当時、現場では双方の間で戦闘が起きていたということです。

イスラム組織ハマスとイスラエル軍が衝突して以降、ガザ地区でも地元の記者などが戦闘に巻き込まれて死亡するケースが相次いでいます。

国連安保理 ロシアが停戦決議案示す 議長国は別の案を提示

イスラム組織ハマスとイスラエル軍の衝突を受け、国連安保理の緊急会合が現地時間の13日午後、日本時間の14日午前4時すぎから非公開で行われました。

この中でロシアは
▽現地での即時停戦
▽すべての人質の解放
▽人道支援物資の搬入を認める
ことなどを求める決議案を各国に示しました。

ただ、決議案では、ハマスによる攻撃や誘拐などを非難する内容は含まれていません。会合の後、ロシアのネベンジャ国連大使は、記者団がハマスを非難する内容が含まれていないことを尋ねると「これは人道決議であり非難決議ではない」と述べました。アメリカなどはこれまでハマスを強く非難するイスラエルを支持する立場をとっていて、ロシアの決議案には同意しないとみられます。

一方、会合のあと、今月の議長国ブラジルは今月7日以降のハマスによる攻撃や誘拐を非難した上で即時停戦やすべての人質の解放などを求める決議案を各国に示しました。ブラジルの決議案への支持がどこまで広がるのかは不透明ですが、安保理では今後、2つの決議案をめぐって協議が続けられます。

イスラエルと米 ハマスを強く非難

国連の安保理会合を前に、イスラエルのエルダン国連大使は国連本部の別の会議場で会合を開き、イスラム組織ハマスによって家族を誘拐されたという人たちとともにハマスを強く非難した上で「われわれは人質が無事に帰国し、ハマスの能力が消滅するまで行動を続ける」と強調しました。

この会合にはアメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使も出席し「この世界に悪の居場所はない。正当化も言い訳もできない」とハマスを強く非難した上で「アメリカはイスラエルと連携し、すべての人質を解放するためできる限りのことをする」と述べました。

国連事務総長 急きょ会見「戦争にもルールがある」

国連のグテーレス事務総長は、日本時間の14日午前4時前にニューヨークの国連本部で急きょ会見し「全体が包囲された状態で、紛争地帯を横切って100万人以上の人たちを食料も水もない場所に移動させることは、極めて危険であり場合によっては不可能だ」と訴えました。

そのうえで「戦争にもルールがある」と述べ、国際人道法のもと市民は保護されなければならないと改めて強調しました。

また、グテーレス事務総長は「われわれの国連スタッフはガザの人たちを支援するために24時間働いている」と述べました。

国連のデュジャリック報道官はこれに先立つ会見で、イスラエル軍から退避の通知を受けたあとも国連のスタッフの多くが現地にとどまり、人道支援活動を続けていると明らかにしました。

ヨルダン川西岸 パレスチナ暫定自治区でもデモ

イスラム組織ハマスが集団礼拝を行う金曜日にあわせて抗議行動を呼びかけるなか、13日、ヨルダン川西岸のパレスチナ暫定自治区でもデモが行われました。

ヨルダン川西岸にあり、イエス・キリストの生誕地とされるベツレヘムでは、市内の中心部に数百人のデモ隊が集まって行進しました。

参加した若者らは、パレスチナやハマスの旗を掲げ、イスラエルによる空爆が続いているガザ地区への連帯やハマスへの支持を表明しながら街を練り歩いていました。

イスラエルの治安当局との大規模な衝突はありませんでしたが、一部のデモ隊がタイヤを燃やして抗議したほか、治安当局もデモ隊に対して催涙ガスで応戦する一幕もあり、周囲は白い煙で包まれました。

デモに参加した50代の男性は「パレスチナ人はこの地に残り、決して離れない。パレスチナ人が土地を追われ難民となる悲劇が繰り返されてはいけない」と話していました。

国連パレスチナ難民救済事業機関「ガザは崩壊の瀬戸際にある」

パレスチナ難民を支援するUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関のフィリップ・ラザリーニ事務局長は13日、声明を発表し「ガザ地区の北部に住む100万人以上の市民を24時間以内に移動させるというイスラエル軍の通告は恐ろしい。前例のないレベルの悲惨さをもたらし、ガザの人たちをさらなる奈落の底に突き落とすだけだ」と強く非難しました。

その上で「ガザは急速に地獄に向かっていて、崩壊の瀬戸際にある。すべての当事者は例外なく戦争における法律を守らなければならない」として危機感を示しました。

双方の死者 3000人超に

パレスチナの保健当局は13日夕方、ガザ地区でこれまでに1799人が死亡したと発表しました。一方、イスラエル軍はイスラエル側でこれまでに少なくとも1300人が死亡したと発表しています。

イスラエル側とパレスチナ側をあわせた双方の死者は3000人を超えました。

《各国での反応》

日本政府手配のチャーター機 邦人8人乗せテルアビブの空港出発

情勢が緊迫する中、イスラエルからの出国を希望した日本人8人を乗せた、日本政府が手配したチャーター機がテルアビブの空港を出発し、UAEのドバイに向かいました。

外務省によりますと、イスラエルとパレスチナにいる日本人は今月9日の時点で、およそ1300人で、イスラエル軍が大規模な軍事作戦に向けた準備を進めているとみられる中、日本政府は日本人の出国を支援するため、チャーター機1機を手配しました。

チャーター機には出国を希望した日本人8人が乗り、日本時間の14日午後11時半すぎ、テルアビブの空港を出発し、UAE=アラブ首長国連邦のドバイに向かいました。

ドバイには日本時間の15日午前3時前に到着する予定です。

これとは別に、韓国政府が派遣した軍の輸送機に日本人51人が同乗してイスラエルを出国し、14日夜、ソウル近郊の空港に到着しました。

情勢が緊迫する中、政府は、現地に残った日本人の安全確保に万全を期すことにしています。

留学中の男性「大いに助かった」

イスラエルでは、日本政府が手配したチャーター機を利用し、現地にいる日本人の出国が始まりました。

テルアビブの空港には、日本大使館の職員の案内のもと、チャーター機への搭乗を希望する日本人が集まっていました。

留学のため、ガザ地区から50キロほど離れた中部レホボトに住んでいる30歳の男性は「今後、地上での作戦が始まるかもしれないと聞き、事態がどう動くか分からず、住んでいる街でもロケットが着弾するようになりいまのうちにと思い、出国することにしました。もともと住んでいたスイスに戻り、状況が落ち着くのを待ちたい。チャーター機の派遣は大いに助かった」と話していました。

イスラエルから退避 韓国軍機に日本人51人が搭乗 韓国へ

イスラエル・パレスチナ情勢が緊迫の度合いを増す中、韓国政府は14日、イスラエルから韓国国民などを退避させるための軍の輸送機が、現地のテルアビブの空港を出発したと発表しました。

輸送機には、旅行中の人を含む韓国国民163人に加え、退避を希望した日本人51人とシンガポール人6人のあわせて220人が搭乗しているということです。輸送機は、14日夜遅くにもソウル近郊の空港に到着する予定だということです。イスラエルにある日本大使館は、13日までに、現地に滞在する日本人へのメールの中で、韓国軍の輸送機の定員に余裕があれば、日本人も輸送機に搭乗できると韓国政府から情報提供があったことを明らかにしていました。

自衛隊の輸送機 ジブチへ出発 日本人の出国支援

日本政府は、イスラエルにいる日本人の出国を支援するため、現地時間の14日、テルアビブを出発するチャーター機を手配したほか、チャーター機の運航が滞るなどの不測の事態に備えて、周辺国ジブチに自衛隊機を派遣し待機させることにしています。

愛知県の航空自衛隊小牧基地では、14日午前、ジブチに派遣される隊員たちがKC767空中給油・輸送機に乗り込んだあと、隊員たちに見送られながら現地に向けて出発しました。

また、鳥取県の航空自衛隊美保基地でも14日午前、C2輸送機2機がジブチに向けて出発しました。今回、自衛隊は420人態勢の任務部隊を編成していて、輸送機は早ければ日本時間の15日、ジブチに到着する見込みです。

イスラエル在住の日本人“退避せず”複雑な思い

イスラエル・パレスチナ情勢の緊迫の度合いが増す中、日本政府は現地にいる日本人の出国を支援するため、現地時間の14日にイスラエルのテルアビブからUAE=アラブ首長国連邦のドバイに向けてチャーター機を運航することにしています。

テルアビブの北部にあるヘルツェリアでイスラエル人の夫と3人の子どもたちと暮らす林ヒルマン由香利さん(38)は今回のチャーター機には乗らないことを決めたといい「私自身は、日本や近隣諸国に避難したいという気持ちはあります。ただ、子どもの友達や小学校、幼稚園など、生活の基盤のすべてがこちらにあります。いつ戻ってこられるかわからない状態で、小さな子どもを3人抱えていくのは私も不安がすごくあるので、どこかに行くとしたら夫と一緒にと思っています。でも夫は今のところ、この危機にイスラエルを離れたくないと言っていて、その気持ちはすごく分かるので、家族で話し合って決めた結論です」と複雑な心境を語りました。

「メタ」暴力画像など約80万件の投稿削除 IT各社 対応に追われる

激しい衝突が続いているガザ地区の情勢を受けた対応についてフェイスブックなどを運営するIT大手メタは13日、公式ブログに文章を掲載しました。このなかでメタは暴力的な画像・動画やヘイトスピーチなど規約違反にあたるヘブライ語とアラビア語の投稿について、今月7日からの3日間で79万5000件を超える投稿を削除したことなどを明らかにしました。

また旧ツイッターのXも11日「これまでに何万ものコンテンツに注意を促すラベルをつけたり削除したりするなどの対応をとった」などとするEU=ヨーロッパ連合あての文書を投稿しました。

EUはメタとXなどに対して偽情報などへの対応を文書で要請していて、このうちXに対しては12日、暴力的な投稿や偽情報を拡散させた疑いがあるとしてEUのデジタルサービス法に基づく初めての調査に乗り出しています。

この問題で、アメリカCBSニュースのマクマホンCEOは、ガザ地区をめぐる一連の戦闘が始まって以降、1000を超えるSNSの動画を検証した結果、実際に放送できるものはおよそ10%しかなかったことを明らかにしたうえで「さまざまな理由があるが、偽情報に直接、結びつくものが少なからずあった」と指摘しています。

英仏独 ユダヤ系住民が襲撃される事件などで政府が対策強化

イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続く中、イスラエルへの全面的な支援を表明しているヨーロッパ各国では、ユダヤ系の住民が襲撃される事件が起きるなどしていることから、政府が対策を強化しています。

【イギリス】
イギリスでは、反ユダヤ主義的な事件が去年の同じ時期の4倍以上報告されたということで、首都ロンドンにある多くのユダヤ人学校は生徒たちの安全を守るために臨時休校を決めました。

スナク首相は「ユダヤ人社会の安全を守る」としてこうした学校やユダヤ教の礼拝所・シナゴーグの警備を強化するため300万ポンド、日本円にして5億5000万円近くを拠出すると明らかにしました。

【フランス】
フランスのパリでは12日、警察がパレスチナへの支持を訴える市民集会を強制的に解散させました。

フランス政府は、パレスチナ支持を訴える全てのデモや集会を禁止する方針を打ち出し、主催者については当局が拘束するとしています。

マクロン大統領は12日、国民に向けた演説で、イスラエルとハマスの衝突を国内に持ち込まずに結束を維持しようと呼びかけました。

【ドイツ】
一方、ドイツのショルツ首相は12日、連邦議会で演説し、国内でハマスの攻撃を賛美する動きや、SNSなどでユダヤ人への憎しみをあおる情報が拡散しているとして、そうした動きは訴追の対象になると警告しました。

ドイツ政府は、今回の衝突が反ユダヤ主義の高まりにつながるおそれがあると神経をとがらせていて、首都ベルリンなどで計画されるパレスチナ寄りの集会が、反ユダヤ主義の扇動や暴力の賛美につながるなどという理由で警察に禁止されるケースが相次いでいます。

米 国務長官「人道状況が切迫している」外交努力継続を強調

アメリカのブリンケン国務長官は13日、カタールでタミム首長などと会談したあと、記者会見し、ガザ地区について「人道状況が切迫していることはわかっている。必要とする人たちに支援を届けられるよう、カタールなどとともに取り組んでいる」と述べ、パレスチナの市民が必要な支援を受けられるよう外交努力を続ける考えを強調しました。

また、ブリンケン長官は「カタールが人質の解放に向けて支援してくれていることに感謝する」と述べ、ハマスによって捕らえられた人質の解放に向け、カタールに影響力を行使するよう引き続き協力を求めていく考えを示しました。

米 ホワイトハウス「市民がこれ以上命を落とすの見たくない」

アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は13日、記者団に対し「われわれは一般市民がこれ以上、命を落とすのを見たくない」と述べ懸念を示しました。

また、イスラエル軍が退避の時間を24時間以内としたことについてカービー調整官はMSNBCテレビのインタビューに対し「人口が密集していることや戦闘が続いていることを考えると難しい要求だ」と述べる一方で「退避の通告は、イスラエル軍がこれ以上の市民の犠牲を望まないからこそ行っていることだ」として一定の理解も示しました。

そして、ハマスが市民に通告を無視するよう呼びかけていることについて「ハマスこそ、市民に対し事実上、『人間の盾』となるよう求めている」として強く非難しました。

中国 中東問題の担当特使を関係国に派遣の考え示す

中国の王毅外相は停戦を働きかけるため、中東問題の担当特使を関係国に派遣する考えを示しました。

これは、中国の王毅外相が13日、EU=ヨーロッパ連合の外相にあたるボレル上級代表と北京で共同記者会見を行った際に明らかにしました。

この中で王外相は、イスラエル・パレスチナ情勢について「多くの民間人が犠牲になり、人道状況が急激に悪化している。中国は民間人を傷つけるすべての行為を非難し、国際法に違反するいかなる行為にも反対する」と強調しました。

そのうえで「中国政府の中東問題担当特使が近く関係国を訪問し、停戦を働きかけるとともに、情勢を鎮静化させるため積極的に努力する」と述べ特使を関係国に派遣する考えを示しました。

そして「中国は国連の主導のもと、権威や影響力があり、より範囲の広い国際的な和平会議をできるだけ早く開催するよう呼びかける」と述べました。

中国としては、中東地域でアメリカの影響力が弱まるなか、この地域への関与を強めることで、存在感を高めるねらいがあるとみられます。

中国 北京 イスラエル外交官の家族が襲われけが 外国人の男拘束

中国の北京で13日、イスラエルの外交官の家族が何者かにナイフのようなもので襲われてけがをしました。現地の警察は、外国人の男を拘束して事件の背景などを調べています。

北京の警察当局によりますと、13日午後、北京中心部の朝陽区の路上で、イスラエルの外交官の家族の男性が何者かにナイフのようなもので刺されました。

現地のイスラエル大使館によりますと、襲われた男性は病院で手当てを受け、容体は安定しているということです。

現場はスーパーや飲食店が建ち並び、アメリカ大使館など各国の大使館も近接する地域です。

北京の警察当局は13日夜、北京市内で日用雑貨を扱う仕事をしている53歳の外国人の男を拘束したと発表し、当時の状況や事件の背景について調べています。

イスラエル外務省は、ハマスとの大規模な衝突を受けて、海外にいるイスラエル人とユダヤ人に対して暴力などへの警戒を呼びかけていましたが、今回の事件との関係はわかっていません。

世界各地でパレスチナへの連帯示すデモ

イスラエル軍が近くガザ地区に対して、地上侵攻を含む大規模な軍事作戦を実行に移すとみられる中、13日、イスラム教の金曜礼拝にあわせて世界各地でパレスチナへの連帯を示す集会やデモが開かれました。

このうち、レバノンの首都ベイルートではイスラエルと敵対するイスラム教シーア派組織ヒズボラの呼びかけに応じて数百人が広場に集まり、パレスチナやヒズボラの旗を掲げるとともに「ガザを守れ」とか「イスラエルを倒す」などと声を上げていました。

集会に参加した50代の女性は「私たちはガザのために集まりました。世界は見て見ぬふりをしています。私たちは勝つまでパレスチナとともに戦います」と話していました。

またイラクの首都バグダッドでは、広場を埋め尽くすほどの大勢の人が集まりパレスチナの旗を振ったり、イスラエルを非難する声を上げたりして、パレスチナへの連帯を示していました。

さらに、マレーシアの首都クアラルンプールでは、金曜礼拝のあと数百人が通りを行進し、パレスチナの旗を振るなどして「パレスチナに自由を」と叫んでいました。

このほか、ヨルダンやパキスタン、それにインドネシアなどでもイスラム教の金曜礼拝にあわせてパレスチナへの連帯を示していました。