サッカー大国のDNA?アルゼンチンのラグビーはキックがすごい

「アルゼンチン警戒すべきは?」

ラグビーワールドカップ フランス大会で、日本が決勝トーナメント進出をかけて8日に戦うアルゼンチン。

アルゼンチンといえば、去年のサッカーワールドカップでの優勝が記憶に新しいですが、ラグビーも強いんです。それもサッカー大国らしく「キック」がすごいんです。

1次リーグ突破へ。
日本が勝つためのキーワードは「ペナルティーゴールの機会を与えるな!」
(スポーツニュース部 記者 森脇貴大)

サッカー大国も…ラグビーW杯3位の実績

アルゼンチンは世界ランキング9位で、12位の日本よりも上位です。

前回2019年の日本大会では1次リーグで敗退していますが、2007年大会では3位になっています。

フォワードは世界でも屈指のフィジカルの強さを誇り、南半球4か国対抗戦では、強豪のニュージーランドやオーストラリアを破ったこともあります。

しかし、多くの人のイメージではアルゼンチンといえば、やはりサッカーではないでしょうか。

(左)メッシ選手 (右)マラドーナさん

かつてはディエゴ・マラドーナさんのような英雄を生み、去年のサッカーワールドカップでは名選手、リオネル・メッシ選手を擁して36年ぶり3回目の優勝を果たしました。

そのサッカー大国のDNAがラグビーにも生かされているのです。

キックの名手がずらり

アルゼンチンにはキックの得意な選手がそろっています。

(左)サンチェス選手 (右)カレラス選手

34歳の司令塔、ニコラス・サンチェス選手は正確なプレースキックが持ち味で2015年のワールドカップでは得点王になりました。

節目の100キャップ目を獲得した今大会のチリとの試合では、コンバージョンゴール6本とペナルティーゴール1本をすべて成功させました。

そして25歳の若き司令塔、サンティアゴ・カレラス選手もエリアをかせぐロングキックを得意としています。

ボッフェーリは “メッシゆかり” サッカークラブでプレー

そして特に注目が、プレースキックを主に担当するウイングのエミリアーノ・ボッフェーリ選手です。

ボッフェーリ選手

今大会もここまでコンバージョンゴールとペナルティーゴールを8本蹴り、7本を成功させています。

ボッフェーリ選手の特徴は、キックの精度だけではなく、その「距離」です。

今大会、初戦のイングランド戦では、およそ60メートルも離れた位置から、先制のペナルティーゴールを決め、2戦目のサモア戦でもおよそ45メートルの距離のペナルティーゴールを決めました。

日本にとって脅威となるボッフェーリ選手のキック。

それを生んだのは、まさにサッカーでした。

実はボッフェーリ選手、11歳から14歳までのいわゆるゴールデンエイジと呼ばれる年代に、メッシ選手を生んだクラブ「ニューウェルズ」でサッカーをプレーしていました。

NHKの取材に対して、ボッフェーリ選手は…。

ボッフェーリ選手
「キックがうまいのは、サッカーをやっていたおかげですね。アルゼンチンはサッカーの国ですから」と話しています。

日本が勝つために“ペナルティーゴールの機会与えるな!”

接戦になればなるほど、ミスや反則が勝敗を分けます。

今大会のプールD、アルゼンチンとサモアの試合は、19対10でアルゼンチンが勝ちましたが、トライとコンバージョンゴールはともに1つずつで、9点差で勝敗を分けたのは「ペナルティーゴール」

アルゼンチン「4」に対して、サモアは「1」でした。

また、日本とサモアの試合も、日本が28対22で勝ちましたが、両チームともにトライは3つ、コンバージョンゴールも2つでした。

日本を勝利に導いたのも、サモアのペナルティーゴール「1」に対し、日本は「3」。その「6点」の差でした。

このため、アルゼンチンとの試合も精度と距離を兼ね備えるボッフェーリ選手に対し、ペナルティーゴールを蹴る機会をいかにして与えないかがポイントになってきます。

日本代表もアルゼンチンのキックに警戒を強めています。

ボッフェーリ選手のキックについて、日本代表のフランカー、リーチ マイケル選手は「ロングキッカーだし、ペナルティーゴールでバンバン3点をねらってくるだろう」と警戒感をあらわにしています。

日本代表の藤井雄一郎ナショナルチームディレクターも、試合のポイントにアルゼンチンのプレースキックを上げ「日本はここまでペナルティーを少なくできているので、この状態を保っていけばいい試合ができると思う」と話しています。

「チームの仕上がりは一番いいところにきている」という日本。

反則を最低限に抑えることが1次リーグ突破につながると言えそうです。