【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(6日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる6日(日本時間)の動きです。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

スロビャンシク砲撃で2人死亡

ドネツク州のキリレンコ知事は、SNSで、ロシア軍が5日、スロビャンシクの中央市場を砲撃し、少なくとも2人が死亡、7人がけがをしたと発表しました。その上でキリレンコ知事は「ロシア軍は市民が集まる場所を故意に狙っている。完全なテロだ」と非難しました。現場の映像では建物から炎と大量の黒い煙が立ちのぼり、駆けつけた消防士が消火にあたる様子が確認できます。

オデーサの地下通路 市民避難のシェルターとして整備

ウクライナ南部の港湾都市オデーサの地下には、広大な地下通路が張り巡らされていて、ロシアによる軍事侵攻を受けて、市民が避難するシェルターとして利用しようと整備が進められています。

この地下通路は、19世紀に石灰岩を切り出す目的で掘り進められたもので、長い通路が網の目のように広がっています。

第2次世界大戦では、ナチス・ドイツの侵攻に抵抗する市民の拠点となったほか、戦後は、旧ソビエトの諜報機関が利用していたとされ、近年は、観光ルートにもなっています。

ロシアによる軍事侵攻を受けて、地下通路は、市民が避難するシェルターとして注目され、このうち地下20メートルほどの場所にある通路には、2月の侵攻直後に、数十家族が避難してきたということです。

通路の壁には、避難してきた人が書いたとみられる「2022年3月1日」と日付が刻まれている場所もありました。

今後も地下シェルターとして活用するために、市民が、水や食料のほか、いすやマットレスなどを持ち込んでいるほか、ボランティアが電灯などを整備しています。

ボランティアの男性は「寄付を集めて発電機を備え、ここの生活環境を改善したいと思います。みな何かできることをやろうとしているのです」と話していました。

ゼレンスキー大統領 ミサイル防衛システム強化支援の重要性強調

ゼレンスキー大統領は、5日に公開したビデオメッセージで、ロシア軍がウクライナの各地へ行っているミサイル攻撃について「一部はウクライナ軍が撃墜している」と述べました。

そのうえで、「ロシアのミサイル攻撃から国民を守ることは、わが国にとって最大の課題だ。最新のミサイル防衛システムを得るため、外交活動を今後も減らすつもりはない」と述べ、ミサイル防衛システムを強化するための欧米の支援の重要性を強調しました。

ドネツク州知事 住宅地など破壊のロ軍非難 市民に避難呼びかけ

ウクライナ東部ドネツク州のキリレンコ知事は5日、記者会見を開き、水の浄化センターなど重要なインフラがある、要衝スロビャンシクやクラマトルシクがロシアの一番の標的となっていると説明しました。

そして「ロシア軍は前進していないが、より多くの砲撃を行っていて、非常に混とんとしている。軍事施設などを特定の標的にしておらず、ただ、市民のインフラや住宅地を破壊している」とロシア軍の攻撃を非難しました。

また、キリレンコ知事はドネツク州には、ロシア軍による侵攻前、ウクライナが管轄していた地域に160万人が住んでいて、今も35万人もの市民が取り残されていることを明らかにしたうえで、「人が少なくなれば、われわれは敵により集中し、主要な任務を行うことができる」と話し、避難してほしいと住民に呼びかけました。

プーチン大統領側近 日本をけん制する発言相次ぐ

ロシアの前の大統領で、現在は安全保障会議の副議長を務めるメドベージェフ氏は5日、SNSに投稿し、岸田総理大臣が「ロシア産の石油価格の上限を現在の半分に設定しようとしている」と指摘し「そうなると市場に出回る石油が減り、価格は上がるだろう」と反発しました。

そして「日本はロシアから石油もガスも得られなくなる。サハリン2にも参加できなくなるだろう」と日本をけん制しました。
またプーチン大統領の最側近の1人、パトルシェフ安全保障会議書記は5日の会合で、北方領土を含む地域について「日本が報復的な志向を強めている」と一方的に主張し、日本を非難しました。

日本が欧米と歩調をあわせて制裁を科していることにロシアは反発を強めており、プーチン大統領の側近たちから強硬な発言が相次ぐ背景には、日本に揺さぶりをかける狙いがあるとみられます。

米中外相 今週会談へ 対面での会談はウクライナ侵攻後初めて

アメリカと中国の両政府は、ブリンケン国務長官と王毅外相が今週、G20=主要20か国の外相会合が開かれるインドネシアで会談すると発表しました。両外相が対面で会談するのは、ことし2月にロシアがウクライナに軍事侵攻して以降初めてで、アメリカ側は、ロシアへの軍事支援を行わないよう中国側に求めるものと見られます。

中国外務省は、5日夜、王毅外相が7日から2日間の日程でインドネシアで開かれるG20の外相会合に出席するのにあわせてアメリカのブリンケン国務長官と会談することを明らかにしました。

また、バイデン大統領は習近平国家主席と近く、電話などによる首脳会談を行う考えを示しており、会談で、両外相は、首脳会談に向けた調整を行うものと見られます。

東部ドネツク州にロシアのパスポート発行施設 ウクライナ反発

ウクライナ東部ドネツク州の親ロシア派の武装勢力が事実上支配する地域で、今月1日、ロシアのパスポートを発行する施設が設置されました。
ロシアの複数のメディアによりますと、これまでは支配地域に隣接したロシア国内で住民へのパスポートの発行業務が行われていましたが、今回新たに施設が設置されたことで、ロシア国内に行かなくてもパスポートを取得できるようになったということです。

AP通信が今月5日に施設の内部を撮影した映像では、申請に訪れた住民が窓口に並んで担当者に書類を渡したり、指紋を登録したりする様子が確認できます。パスポートを申請した男性は「私たちはある種の分割された国家の国民ではなく、これでようやく本当の国家の国民になることができる」と話していました。ロシアはウクライナ南部のヘルソン州や南東部のザポリージャ州でも住民にパスポートを発行していて、ウクライナ側はロシアによる支配の既成事実化が進むとして、これまでも反発してきました。

ロシア国防相「作戦は継続」ウクライナ軍欧米の支援受け攻勢へ

ロシアのショイグ国防相は、プーチン大統領の指示に従い、ウクライナへの軍事侵攻を推し進める姿勢を強調し、今後、東部ドネツク州の完全掌握を目指すとみられます。これに対し、ウクライナ側は欧米の軍事支援を受けて攻勢に転じる構えで、戦況は東部を中心に激しい攻防が続く見通しです。ロシア国防省は5日、ウクライナ東部のドネツク州やハルキウ州、南部のミコライウ州など各地をミサイルで攻撃し、指揮所や弾薬庫、兵器などを破壊したと発表しました。
ロシア軍はすでに東部ルハンシク州の全域を掌握したと宣言していて、今後は隣接するドネツク州の完全掌握を目指すとみられています。ロシアのショイグ国防相は5日、軍の幹部と会議を行い「欧米側はウクライナでの紛争を長引かせようと、ウクライナ政府に大規模な兵器の供与を続けている」と批判しました。そのうえで「特別軍事作戦は、最高司令官が定めた任務が完了するまで継続される」と述べ、プーチン大統領の指示に従い、軍事作戦を推し進めると強調しました。

米シンクタンク ウクライナ軍が供与兵器を効果的に活用

アメリカのシンクタンク、「戦争研究所」は4日、「ウクライナ軍は、アメリカから提供された高機動ロケット砲システム=ハイマースなどを使用し、掌握された地域の奥深くにあるロシア軍のインフラ施設を標的にすることが増えている」と分析し、ウクライナ軍がドネツク州などで欧米から供与された兵器を効果的に活用し、ロシア軍の弾薬庫などを破壊していると指摘しました。ウクライナ側は欧米の軍事支援を受けて攻勢に転じる構えで、ウクライナ東部を中心に激しい攻防が続く見通しです。