生成AI活用事例 企業の最前線ではこんなことも

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NHKが100社を対象に行ったアンケートで、「生成AIを高度な業務や専門的な業務で利用している企業の数」は36社にとどまりました

しかし中には、積極的に活用して成果を上げている企業があります。どう活用しているのでしょうか。

取り引き先からの問い合わせメール 生成AIが回答

大手化学メーカーは、生成AIを「高度な専門業務」に活用しています。静岡県富士市の工場では、取り引き先から頻繁に寄せられる電子メールでの問い合わせに回答する作業を、生成AIにほとんど任せています

問い合わせは言語もさまざま

問い合わせは専門的で、分野も多岐にわたり、言語もさまざまです。従来は顧客対応の部署の社員がひとつひとつ回答していました。例えば…

この問い合わせに対し…
生成AIがすぐに回答を作成

生成AIに任せることで、年間約1800時間の人の作業の削減につながるといいます。

大手化学メーカー デジタル共創本部 大熊智子 ユニット長
業務のなかで生成AIを取り入れることが今後どんどん自然に加速していく。自分が好きなところに力をもっと使えるようになるのではないか

社員のクローンが行った業務に給与を払う!?

生成AIを使ってクローンをつくり仕事の一部を任せることで、業務の効率化を図ろうという企業もあります。

生成AIの開発を行う東京都内のスタートアップ企業の社長、米倉千貴さんは自分のデジタルクローンをつくりました。社長に代わって講演で話をしたり、投資会社への事業説明を行ったりします。採用面接も一次面接はクローンの担当です。

米倉千貴社長
こちらはデジタルクローン

クローンを作成するために、「好きなもの」や「尊敬する人」など本人に関する情報を少なくとも13項目、AIに学習させます。

さらに本人に近づけるため、米倉さんのクローンは1000以上の項目を学習しました。

生成AIの開発を行うスタートアップ企業 米倉千貴 社長
日々同じようなことをしている作業はクローンに預けて、労働生産性を上げるためにもやるべきだ

この会社では全社員約100人のクローンも作成し、社内の業務連絡や書類のやり取りを任せるようにしました

さらにことし2月には、クローンが働いた分にも給与を払う制度を導入しました。クローンによる業務のやり取り1回ごとに、本人に50円が支払われます。

ある社員の給与明細を見ると…

クローンの業務のやり取り25回分として…
1250円が支払われた

米倉社長
僕らが目指しているのは神様みたいなAIではなくて、本人を(クローンで)実現させるということに焦点を当てている。人手不足だったりとか人の取り合いみたいな状況になっているが、そういったところにアプローチできる

クローンが本人に代わり業務のやり取りをすると、デジタルクローンの回答と本人の回答との見分けがつかなくなるリスクがあると見られます。この会社は、クローンが回答した場合にはそのことを示す「目印」をつけて、本人の回答と明確に区別できるようにしているということです。
(経済部 名越大耕)
【2024年3月5日放送】
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