生成AI・日本にチャンス? 研究開発の“有名人”が東京で起業した理由

    ビジネスでも注目されている「生成AI」。その研究開発を世界でリードしてきた海外出身の2人が、この夏、日本を拠点にスタートアップ企業を立ち上げました。なぜ日本を選んだのか?渡部圭司キャスターがインタビューしました。

    生成AI分野の“有名人”たち 東京で起業

    香港生まれカナダ育ちのデイビッド・ハさんと、イギリス出身のライオン・ジョーンズさんの2人は、ともにIT大手Googleの研究開発部門などに在籍してきました。

    2人は日本で、生成AI関連の新たな会社を立ち上げました。

    ライオン・ジョーンズさん
    「人工知能の歴史の中で、今が非常にエキサイティングな時期」

    ジョーンズさんは生成AIの分野で有名人です。生成AIの爆発的な普及につながった「トランスフォーマー」と呼ばれる言語処理モデルの開発に携わり、6年前に論文を発表した1人だからです。

    オープンAIが開発した「ChatGPT」の「T」は、トランスフォーマーの頭文字の「T」です。論文の技術が使用されています。

    目指す「魚の群れのようなAI」とは?

    ただ2人は、今のAI技術に課題もあると感じています。現在のAIは、いわば大量の資材でつくられた橋のようなもの。頑丈につくるのに大量の資材が必要になるのに加え、問題が起こるたびにメンテナンスし続ける必要があり、労力もコストもかかります。

    そこで2人は、魚の群れが天敵を避けて泳ぐように、自然界を見習った仕組みをつくろうというのです。問題が起こっても柔軟に対応できる効率的なAIを目指しています

    ジョーンズさん
    「わたしたちの会社は、お互いが連携する、より小さな多数のモデルをつくることで、魚の群れのように、はるかに柔軟になり、使用する計算量も抑えられる」

    ライオン・ジョーンズさん

    なぜ日本を選んだのか?

    東京・虎ノ門にある2人のオフィス

    2人が研究開発の場に選んだのは日本です。東京の虎ノ門に9月、小さなオフィスを構えました。国内外のエンジニアをここで雇用し、時間をかけて研究開発を進める計画です。

    2人に「なぜ東京を拠点に選んだのか?」と質問しました。その答えは…

    デイビッド・ハさん
    「AIの開発拠点のほとんどが、アメリカのベイエリア(サンフランシスコ周辺)か、北京にある。AIのような重要なテクノロジーの未来を少数の企業や政府が支配することは望まない。日本はアメリカと中国のちょうど間にあるので、日本は技術開発で重要な役割を担うべきだ」

    デイビッド・ハさん

    日本で欲しい人材とは?

    日本ではスタートアップが生まれづらいという声もあります。それに対しては「決してそんなことはない」という答えが返ってきました。

    ハさん
    「日本の学生にはとても創造的な人がいる。技術面だけではなく芸術面においてもです。芸術や人文学、科学を組み合わせることが重要だと思っている。私たちが日本で欲しいのは、こうしたタイプの才能ある人材だ」

    2人の話を聞いて、AI分野での日本の可能性にかけていることをすごく感じました。2人は具体的なスケジュールを決めずに時間をかけて研究開発を進めたいと話していて、何が生まれるのか、期待されます。
    【2023年12月27日放送、初回放送10月3日】

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