パリオリンピック競技ガイド

ヨーロッパ発祥の剣を用いる競技。もともと軍事訓練として行われてきたものが競技として普及した。第1回大会から実施されている競技の一つ。男子が正式採用されて以来欠かすことなく続き、女子は1924年パリ大会から実施。使用する剣の形状や得点となる有効面などによって、フルーレ、エペ、サーブルの3種目がある。それぞれの種目で男女の個人戦と団体戦がトーナメントの勝ち抜き方式で実施される。個人戦と団体戦ともに3位決定戦があり、団体戦ではさらに5～8位を決める順位決定戦を実施。目にもとまらない瞬時の技の応酬が見どころで、相手に触れた際にブザーが鳴ったりランプが点灯したりして一瞬の勝負を伝える。個人種目は3ピリオド制で、終了時にポイントの多いほうが勝ち。どちらかが先に15ポイントを取れば、その時点で決着。団体は1チーム3人の総当たりで9回の対戦が行われる。フェンシングの用語は基本的にフランス語を使用、競技開始の「はじめ」は「アレ」と言う。パリ大会の会場は1900年の万国博覧会のメイン会場として使われたグラン・パレ。

＜フルーレ＞

背中を含む上半身が有効面。両腕と頭部は除く。剣は細身で柔らかく、重さ500g以下と軽いのが特徴。「突き」だけの競技で、よくしなる剣先の特性をいかして背中に振り込みを決めるなど剣さばきに注目。先に腕を伸ばして剣先を相手に向けた選手にポイントを得る攻撃の優先権が生じる。防御側が剣を払ったり間合いを切って逃げ切ったり時は攻撃権が消滅し相手に移る。瞬時に入れ替わる攻撃と防御の応酬は時に主審の判定を仰ぐ。

＜エペ＞

頭部からつま先、足の裏まで全身が有効面で「突き」だけの競技。優先権はなく、どんな体勢でも相手を先に突いた選手のポイントになる。突きが両者同時の場合は双方に得点が入る。

＜サーブル＞

「突き」に加えて「斬る」攻撃も有効なのが大きな特徴。有効面は頭部と両腕を含む上半身すべて。フルーレと同じく優先権がある選手にポイントを得る権利があるため、剣を払ったり叩いたりして防御することで優先権が移行し、すかさず反撃に転じる。