予算の全体像

ポイント

政府は一般会計の総額が112兆717億円となる令和6年度(2024年度)の予算案を決定しました(一般会計の総額は去年12月22日の閣議決定時点の金額です。ことし1月に発生した能登半島地震への対応に備えて予備費を5000億円増額し、1月16日に改めて閣議決定しています。これに伴って一般会計の総額は112兆5717億円となりました)。


財政の硬直化進む

過去最大だった2023年度の当初予算は下回ったものの、2年連続で110兆円を超え、財源の3割以上を国債に頼る厳しい財政状況が続いています。

※数値は四捨五入しているため
端数の合計が合致しない場合も
  • 社会保障:37兆7193億
  • 防衛関係費:7兆9172億
  • 公共事業:6兆828億
  • 文教及び科学振興:5兆4716億
  • その他:9兆855億
  • 地方交付税交付金等:17兆7863億
  • 国債費:27兆90億

臨時閣議で決定された政府の2024年度予算案は、一般会計の総額が112兆717億円となります。

過去最大だった2023年度の当初予算を2兆3095億円下回るものの、2年連続で110兆円を超えて過去2番目の規模となりました。

2024年度予算案の主な歳出の項目です。

▽全体の3分の1を占める「社会保障費」は、37兆7193億円と2023年度の当初予算よりも8506億円増えて過去最大となりました。

診療報酬の薬価の引き下げなどによる効率化で伸びを1400億円程度の抑えたものの、▽齢化による給付の増加に加えて、少子化対策の強化や医療従事者の賃上げなどで大幅な増加となりました。

▽防衛費は5年以内に抜本的強化を目指す中、1兆1292億円増えて7兆9172億円となりました。

また、2023年度は、将来の防衛力の強化のための資金への繰り入れが3兆3000億円あまりありましたが、2024年度は繰り入れを計上しませんでした。

▽地方自治体に配分する地方交付税交付金などは、17兆7863億円。

この中には、定額減税による住民税の減収を補填する分が含まれていて、2023年度よりも1兆3871億円多くなっています。

▽「予備費」は通常の予備費の5000億円に加えて、2024年度も物価高騰対策などとして1兆円を計上します。

2023年度はコロナ対策などとして5兆円の予備費を計上していましたが、骨太の方針で「歳出構造を平時に戻す」という方針が示される中、4兆円の減額となりました。

このほか、▽「公共事業費」は6兆828億円、▽「文化、教育、科学技術関連予算」は5兆4716億円でいずれも2023度の当初予算とほぼ同じ水準です。

▽これまでに発行した国債の償還や利払いにあてる「国債費」は1兆7587億円増えて27兆90億円と過去最大となりました。

国債の発行残高の増加に加え、長期金利の上昇を反映し利払い費の想定金利を2023度の1.1%から1.9%に引き上げたことが要因です。

歳出全体のほぼ4分の1が国の借金の返済にあてられることになります。

2024年度予算の一般会計では、「社会保障費」と「地方交付税交付金」、それに「国債費」の3つの経費が歳出全体の73.6%を占めました。

高齢化や国債の発行残高の増加に伴って、ほかの政策に使える予算の余地がどんどん小さくなり、財政の硬直化が進む状況となっています。

財源の3割以上が国債

国債
※数値は四捨五入しているため
端数の合計が合致しない場合も
  • 所得税:17兆9050億
  • 法人税:17兆460億
  • 消費税:23兆8230億
  • その他:10兆8340億
  • その他収入:7兆5147億
  • 建設公債:6兆5790億
  • 特例公債:28兆3700億

一方、歳入のうち、税収は69兆6080億円と補正予算段階の今年度の見通しとほぼ同額を見込んでいます。

▽企業業績の回復傾向を反映し、法人税の税収は、今年度を2兆3840億円上回る17兆460億円と見込んでいます。

▽堅調な消費や物価の上昇を踏まえて消費税も8310億円多い23兆8230億円と見込んでいます。

▽一方、所得税は定額減税で2兆3000億円の減収が想定されるため、3兆3900億円減って17兆9050億円としています。

▽税外収入は7兆5147億円。

▽それでも不足する34兆9490億円は新たに国債を発行して賄う計画です。

今年度の当初予算よりは6740億円減るものの、歳入全体に占める割合は31.2%と、財源の多くを国債に頼る厳しい財政状況が続いています。