暮らしに関係する予算

ポイント

わたしたちの暮らしに身近な政策や、賃上げ対策に関する予算です。


住宅分野の脱炭素を推進

国土交通省は、再生可能エネルギーなどを活用して家庭の消費エネルギーを実質ゼロにする「ZEH」と呼ばれる住宅を若い世帯などが購入する場合に、住宅メーカーへの補助金を通じて1戸あたり80万円の費用負担を軽減するなど、住宅分野の脱炭素を進めるための経費として1103億円を計上しています。

賃上げや人手不足の解消を後押し

経済産業省は、持続的な賃上げや人手不足の解消への取り組みを後押ししようと、大企業などが中小企業の価格転嫁の要請に適切に対応しているかをチェックする「下請けGメン」と呼ばれる調査員の増員や、物流の「2024年問題」への対応として、自動配送ロボットの研究開発の費用などを支援するため、あわせて88億円を盛り込みました。

賃上げへの支援策

厚生労働省は賃上げを促す予算として▽最低賃金の引き上げに伴って従業員の賃金の引き上げと設備投資の両方を行った中業企業向けの助成金や▽いわゆる「年収の壁」への対策として年収106万円の壁を超えて働けるよう、賃上げや社会保険料を補う手当てを設けるなどした企業への助成金などとして1436億円を盛り込みました。

来年度の年金支給額は

厚生労働省は公的年金の支給などに必要な予算として、年金特別会計に72兆7084億円を計上しました。

年金の支給額は物価や賃金の上昇に応じて決まることになっている一方、将来の年金財源を確保するため、伸び率をそれより抑える仕組みがあり、来年度は2.9%程度増えますが、実質では目減りする見通しです。

具体的には、67歳以下の人の場合、▽国民年金の満額が月額6万8000円あまりと、今年度より1900円ほど増え、▽厚生年金は夫婦2人の標準的な世帯で月額およそ23万1000円と 6500円ほど増える見通しとなっています。

医療・介護・障害福祉の賃上げ

厚生労働省は、医療・介護・障害福祉の分野で働く人たちの賃上げを行います。

具体的には介護職員や障害福祉サービスの事業所で働く人に加え、医療従事者のうち看護師や病院に勤める薬剤師、それに看護補助者などのいわゆる「コメディカル」について、来年度は2.5%、再来年度は2%の「ベースアップ」を実施する方針です。

このほか、医療分野では40歳未満の勤務医や薬局などに勤務する薬剤師も含めた幅広い職種で賃上げを行うとしています。

「ドラッグラグ」問題などへの対応

厚生労働省は、在庫不足が続くジェネリック=後発医薬品の安定供給や、新薬の創出に取り組む企業への支援、それに海外で使われる薬が国内で使えるようになるまで時間がかかる、いわゆる「ドラッグラグ」の問題などへの対応に19億円を計上しました。

また、来年10月からは一部の処方薬について、患者の窓口の負担額を引き上げることにしていて、これによって生み出される財源も活用する方針です。

具体的にはジェネリックがある一部の先発医薬品で、医療上の必要性などがない場合、自己負担額を増やします。

例えば500円の先発品と250円のジェネリックがある薬で、3割負担の場合、先発品を選ぶと今より支払い額が50円増えて200円になります。

特別支援教育の充実

文部科学省は、障害のある児童や生徒と障害のない児童や生徒がともに学ぶ環境を整備するため、全国14か所で一般の学校の中に特別支援学校を設けるなどのモデル事業を実施するほか、人工呼吸器や胃ろうの管理などの医療的ケアを担う看護師の学校への配置を拡充するなどとして、48億円の予算を盛り込みました。

学校教育の充実と教員の働き方改革

文部科学省は、学校教育の充実と教員の働き方改革を進めるため、▽資料の整理や行事の準備などを サポートする「教員業務支援員」をすべての公立の小中学校に配置するほか▽副校長や教頭が担う学校運営業務を支援する人材も希望する公立の小中学校に配置するとして、今年度より30億円多い121億円の予算を盛り込みました。

温室効果ガス排出量 実質ゼロの実現へ

環境省は2050年の温室効果ガスの排出量の実質ゼロの実現に向け、家庭などで脱炭素につながる生活様式を進めるために使う予算として、新たにおよそ38億円を盛り込みました。

また、エネルギー効率のよい建物などを普及させるため、オフィスビルや病院、学校といった施設に断熱窓や太陽光発電などの導入を促進する事業の予算として47億円余りを盛り込みました。