国債発行額と財政の課題

ポイント

増加の一途をたどる国債発行額の現状と財政健全化に向けた課題について見ていきます。


国債発行額と財政の課題

政府は、政策に必要な費用を借金に頼らず、税収などでどれだけ賄えているかを示す「基礎的財政収支」を財政健全化の指標の1つとしています。

2024年度予算案では、この基礎的財政収支が一般会計で8兆3163億円の赤字となっています。政府は地方も合わせた基礎的財政収支を再来年度・2025年度に黒字化する目標を掲げていますが達成は難しい状況が続いています。

普通国債の発行残高

国債の発行残高も増え続けています。2024年度予算案でも34兆9490億円の新たな国債の発行を計画しています。

2023年度の当初予算は下回りますが、最近は、巨額の補正予算の編成によって年度途中に追加で国債を発行する例も相次ぎました。

新型コロナの感染が拡大した2020年度から3年間、政府は景気の落ち込みなどに対応するため、20兆円から30兆円規模の補正予算の編成を重ね、多くを国債の発行で賄いました。

こうしたこともあって、普通国債の発行残高は2024年度末には1105兆円余りにまで膨らむ見込みです。

国債の償還や利払いにあてる費用も増えるなか、今後は長期金利の動向も焦点になります。日銀が金利操作の運用を見直し、長期金利が上昇したことを反映して、2024年度予算案では、歳出の国債費のうち利払いにあてる金額として、2023年度の当初予算を1兆2187億円上回る9兆6910億円を計上しました。

国債の発行残高が積み上がる中、今後、金利が大きく上昇すれば利払い費がさらに増える可能性もあります。財政健全化に向けて、徹底した歳出改革や経済成長による歳入の増加が必要になります。