子育て支援に関する予算

ポイント

今回の予算では政府が目指す少子化対策の抜本的な強化につながる予算が計上されました。


こども家庭庁に関連する予算

予算は1割増額

2023年4月に発足したこども家庭庁は、一般会計で4兆1457億円、特別会計も含めて5兆2832億円を計上しました。

発足初年度となった2023度の当初予算と比べると4728億円、およそ1割の増額となりました。

こども家庭庁は、これにより、政府の「こども未来戦略」で今後3年間の集中的な取り組みとして「加速化プラン」に掲げたおよそ3兆6000億円規模の対策のうち3割程度を実現できるとしています。

児童手当の拡充

こども家庭庁は児童手当の抜本的な拡充に向けて1兆5246億円を計上しました。具体的には、令和6年12月に支給される分から所得制限を撤廃するとともに、今は中学生までとなっている支給対象を18歳まで広げます。

さらに、3人以上の子どもを扶養する世帯への「多子加算」については、第3子以降を月額3万円に増やすとともに第1子が22歳に達する年の年度末まで増額措置を継続することとします。

保育士の配置基準改善など

また、4・5歳児の保育士の配置基準の改善や保育士などの処遇改善のため1兆6617億円を計上しました。

保育の質を向上させるため、4・5歳児の保育士の配置基準を、来年度から「子ども30人に1人」から「25人に1人」に見直します。

児童扶養手当の要件緩和

さらに、ひとり親世帯を対象にした児童扶養手当については1493億円を計上しました。

令和7年1月に支給される分から要件を緩和し、満額を受け取れる年収の上限を160万円未満から190万円未満に、所得に応じて減額しての支給が受けられる年収の上限を365万円未満から385万円未満に、それぞれ引き上げます。

新たな国債を発行

こども家庭庁は、少子化対策の強化に必要な財源の不足分を賄うため、2024年度から新たな国債「こども・子育て支援特例公債」を発行します。

少子化対策の財源確保に向けては、医療保険を通じて国民や企業から集める「支援金制度」を2028年度までに構築することにしていて、新たな国債は、この制度による収入が満額になるまでの暫定的な措置だとしています。

2024年度の発行額は2219億円で、児童手当を拡充するための財源に充てられます。

子育て政策強化に向け地方の財源確保

こども・子育て政策の強化に向けて総務省は、地方自治体が関連する事業を実施するための財源として、あわせて3500億円を計上しました。

児童手当の拡充や保育士の配置基準の見直しなどに伴う地方の負担増加分に加え、地方が独自に実施する事業にかかる費用についても、新たに「こども・子育て支援事業債」を創設するなどして、財源を確保するとしています。

仕事と育児の両立に向けた環境整備

厚生労働省は働きながら子育てをする環境整備を図るため、中小企業で▽男性従業員が育児休業を取得した場合や▽育児休業中の人や短時間勤務で働く人の業務を代替した従業員に支給する手当てに対する助成金などの予算として、2023年度よりも81億円多い、181億円を盛り込みました。

自治体の子育て支援策を後押し

厚生労働省は、子どもの医療費を独自に助成している自治体に対して、国民健康保険の補助金を減らす措置を、2024年度から廃止する方針を決め、必要な予算として39億円を計上しました。

少子化対策を強化するための「こども未来戦略」に廃止の方針が盛り込まれたことによるもので、減額をやめることで、自治体による子育て支援を後押ししたい考えです。