インド ナレンドラ・モディ首相(Narendra Modi)

G7 広島サミットに参加するインドのモディ首相の詳しい情報です。年齢は、2023年5月19日時点のものです。

ユン大統領
役職 首相
生年月日 1950年9月17日
年齢 72歳
出身

インド西部グジャラート州

略歴
  • 2001年 グジャラート州首相に就任
  • 2014年 インドの首相に就任
  • 2019年 総選挙で勝利、首相に再選

貧しい家庭から政治家に

インドのナレンドラ・モディ首相は西部グジャラート州で生まれ、貧しい紅茶売りの家庭で育ちました。若くしてヒンドゥー至上主義団体であるRSS=民族奉仕団に入り、社会奉仕活動をしながら政治家を目指しました。2001年に出身地であるグジャラート州の州首相に就任すると電力や道路などのインフラ整備を進めたほか、国内外の企業の誘致に取り組み、高い経済成長を州にもたらしました。

【第1次モディ政権(2014年~2019年)】

州首相時代の経済手腕を高く評価され、2014年に行われた総選挙では強いリーダーシップでインド人民党を圧勝に導き、首相の座に上り詰めました。首相就任後は「メイク・イン・インディア」と題して、外国からの投資を積極的に誘致するキャンペーンを打ち出し、長年、課題となっている製造業の振興や雇用の創出に取り組む姿勢を強調しました。このほか、行政手続きのデジタル化の推進やビジネスの妨げになっている複雑な税制の簡素化などの改革も行いました。

モディ首相は、安倍元総理大臣と親交を深めたことでも知られています。2017年にモディ首相が地元グジャラート州に安倍元総理大臣を招き、その翌年には安倍元総理大臣が山梨県の別荘にモディ首相を招待するなど相互訪問を繰り返し、信頼関係を築きました。こうした関係のもと、両国でデジタル分野で協力関係の構築が推し進められたほか、インドの高速鉄道計画に日本の新幹線の技術が導入されました。

【第2次モディ政権(2019年~現在)】

2019年の総選挙で再び圧勝し2期目となったモディ首相は、経済発展を進める一方で、イスラム教徒が多数を占める州で特別に認められてきた自治権を撤廃するなど、国民のおよそ8割を占めるヒンドゥー教徒を重視する姿勢を見せています。背景には、かつてモディ首相も所属し、政権与党・インド人民党の支持基盤になっているRSSの存在があるとされていて、少数派のイスラム教徒に差別的な政策をとっているとして野党などから批判を招きました。
新型コロナウイルスの感染対策をめぐっては、2020年3月下旬にインド全土を封鎖する厳しい措置をとり、13億の人口を抱えることから「世界最大のロックダウン」とも言われました。
外交面では、モディ首相は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻後もプーチン大統領と直接、会談を行うなどロシアと友好な関係を維持しています。一方で、海洋進出を強める中国を念頭に、日本やアメリカ、オーストラリアとともに4か国の枠組み「クアッド」を形成するなど欧米各国とも協調する姿勢を示す「全方位外交」を強めていて、多くの外交的なチャンネルを築いてきました。

また、「グローバル・サウス」と呼ばれる新興国や途上国をけん引する姿勢を示していて、2023年3月にインドで開かれたG20=主要20か国の外相会合でモディ首相は「多くの途上国が、食料とエネルギーの安全を確保するために、持続不可能な債務に苦しんでいる。インドはG20の議長国としてグローバル・サウスの国々の声を反映させていく」と強調しました。
モディ首相の政権運営への国民の評価について半年ごとに世論調査を行っているインドの雑誌「インディア・トゥデイ」がことし2月に公表した結果では、インド人民党が2024年の総選挙で単独で過半数の議席を獲得するとの予想を伝えていて、支持が堅調であるとの見方を示しています。ただ、依然として、国民の多くが暮らす農村部の人々の生活の向上や若者の失業対策などが大きな課題になっていて、具体的な政策を打ち出すことができるかが注目されています。