フランス エマニュエル・マクロン大統領(Emmanuel Macron)

G7 広島サミットに参加するフランスのマクロン大統領の詳しい情報です。年齢は、2023年5月19日時点のものです。

マクロン大統領
役職 大統領
生年月日 1977年12月21日
年齢 45歳
出身

フランス北部アミアン

略歴
  • 2004年 財務監察官に着任
  • 2008年 投資銀行のロスチャイルド銀行に勤務
  • 2012年 大統領府事務次長に就任
  • 2014年 オランド政権で経済・産業・デジタル相に就任
  • 2017年 フランスで歴代最年少の大統領に
  • 2022年 大統領に再選(2期目)

フランス歴代最年少の大統領

フランスのエマニュエル・マクロン大統領はフランス北部アミアン出身の45歳。多くの大統領を輩出しているフランス国立行政学院を卒業して財務監察官になったあと、投資銀行に転職し、大企業による大型の買収や出資に多く携わり、共同経営者も務めました。その後、社会党のオランド政権時代に経済相に抜てきされ、2015年には景気の低迷が続くフランス経済を活性化させるために「マクロン法」とも呼ばれる大規模な規制緩和を行う法律を成立させました。2016年には政治の刷新を掲げて中道の政治団体「前進」を設立。翌年の大統領選挙で党派を超えた支持を集めてフランス史上最年少の39歳で当選し、右派と左派の2大政党が交互に政権を担ってきたフランスの政治の流れを変えました。

【内政面では難しい舵取りが続く】

大統領就任以降は、財政改革や環境政策に取り組み、改革を推し進める姿勢は国民の反発を招くこともありますが、国民と徹底的に対話することも重視しています。燃料税の引き上げをきっかけとして全国に抗議活動が広がった2018年からの「黄色いベスト運動」の際は、国民との討論会を全国で開催。

毎回のように深夜まで参加者とひざをつき合わせて議論を行う異例の取り組みに踏み切ると、20%台前半にまで下がっていた支持率は一時、徐々に回復を見せました。一方で、2期目に入って行われた去年6月の議会選挙ではみずからが率いる与党連合が議席の過半数を獲得できず、野党側も連立を拒否したため、議会で少数派となりました。さらに国民の反対が根強い年金改革をめぐり政府が憲法の規定を使って議会を通さずに法案を採択したことで再び反発を招き、内政面で難しいかじ取りが続いています。

【台湾情勢巡る発言で批判】

外交面においては、EU=ヨーロッパ連合を基軸に積極的な多国間外交を展開し、気候変動などのグローバルな課題にも取り組んでいます。2023年4月にはおよそ3年5か月ぶりに中国を訪れて習近平国家主席と会談し、関係強化をアピールしていました。

帰国後に報じられたフランスの経済紙などでのインタビューでは、緊張の高まりが懸念される台湾情勢に関して、ヨーロッパは、アメリカと中国の対立から一定の距離を保ち世界の「第三極」になるべきだと主張し、欧米からも中国に融和的だと批判の声が出るなど、波紋が広がりました。

マクロン大統領は英語を積極的に使うことでも知られています。歴代のフランス大統領のなかには英語が得意でなかったりフランス語が国連の公用語であることから外交の場でフランス語を使い続けたりする大統領もいましたが、去年12月にワシントンを訪れてアメリカのバイデン大統領と会談した際の共同記者会見では、アメリカの記者からの質問に通訳を挟まずに英語で応じていました。

【ウクライナ情勢では・・・】

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐっては、去年6月に「ロシアに屈辱を与えてはならない」と発言するなど、ロシア寄りだとして批判を受けることもありますが、ウクライナへの全面的な支持を続けながら、今後のロシアとの和平交渉においても積極的な役割を果たしたい考えがあるとみられます。またフランス政府はウクライナの復興支援にフランス企業が関わることをサポートする方針もみせていて、ウクライナ情勢が主要な議題となるとみられるG7広島サミットでは、今後の和平に向けたかじ取りやウクライナの復興支援についての発言も注目されます。

【日本と安全保障面で連携も】

日本との関係では、フランスがインド洋や太平洋に多くの領土を持ち軍も駐留していることから、日本の海上自衛隊とも合同演習を行い、インド太平洋地域での安全保障面での連携を深めているほか、原子力などの科学技術分野も協力を進める柱になっています。2019年のG20大阪サミットでは大統領として初めて日本を訪問し、このときは京都も訪れて友禅染の人間国宝である森口邦彦さんと会って交流を行いました。

濃紺のスーツと無地のネクタイがトレードマークで、スーツはパリ市内にある家族経営の小さな仕立て屋のものを愛用しているということです。妻のブリジット夫人は高校生の時に所属していた演劇部の顧問で、マクロン大統領の演説や振る舞いについて助言する強力なアドバイザーだと言われています。