風疹の最新ニュース

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40代おじさん、聞こえますか?風疹予防接種の声が… 2020年02月12日

聞こえますか…今、40歳から47歳の男性のあなたの心に直接呼びかけています…風疹の抗体検査を受けましたか…自治体から無料クーポンは届いていませんか…クーポンは無期限ではないのです…。(ネットワーク報道部 記者 成田大輔 國仲真一郎)

使われないクーポン

16.1%。つまり、わずか6人に1人。
これは、今年度から配布が始まった無料クーポンを使って、風疹の抗体検査を受けた人の割合です。(※去年11月末時点)


発熱などの症状だけでなく、母体を通じて胎児に影響が出るおそれもある風疹。
インフルエンザよりも強い感染力があるとされ、一時ほどの流行はありませんが、引き続き感染が確認されています。

かつては春から夏にかけてが流行期とされていましたが、おととし(2018年)は秋以降にピークを迎えるなど、いつ流行するか予測しづらくなっています。

今年に入ってからも2月5日の時点で全国で33人が風疹に感染し、先月には、0歳の男の子が母親の感染によって、心臓、目、耳などに障害がでる「先天性風疹症候群」と診断されています。

過去に風疹にかかったり予防接種を受けたりしていれば、十分な抗体があるかもしれません。
問題は、予防接種を受けたことのない「おじさん世代」です。

40歳から57歳までの男性が子どものころは、公的な予防接種が行われていませんでした。


このため国は今年度から、まずは40~47歳の男性を対象に、自治体を通じて無料で抗体検査を受けられるクーポンの配布を始めました。
(48~57歳の人も、希望すればクーポンをもらうことができます。ことし4月以降は48~53歳の人にはクーポンが送付されます)

クーポンで検査を受けてみた

私たちの上司、Yデスク(45)のもとに自治体から抗体検査のクーポンが届いたのは去年7月。


Yデスクは子どものころに風疹にかかったことがあるのかどうか、全く覚えていません。
親に聞いても「水ぼうそうにはかかったけどね…」と判然としなかったそうです。

早速、検査が受けられる医療機関をネットで確認して、近所のクリニックへ行きました。
検査は血液を採取するだけの簡単なものでした。

そして、もやもやしながら待つこと1週間。


結果は、「抗体価11.4」。
つまり十分な抗体があるということで、ワクチンの接種は必要ないという説明でした。
(ちなみにワクチンを接種する場合、多くの自治体では1回目は無料、2回目を接種したい場合は自己負担になるようです)
あくまで個人の感想ですが、検査を受けたことで気分がすっきりしたそうです。

街で聞いてみる

しかし、検査を受けたのは6人に1人。
大多数の人たちは検査を受けていないというのです。

その理由を探るため、私たちは街頭で取材を始めました。

若者の街 渋谷で昼休みの時間を狙って、40~47歳の男性を探しました。
抗体検査を受けたかどうか、あるいは、検査やクーポンの存在自体を知らないか、シールを貼って答えてもらいました。

その結果が、こちら。


答えてもらえたのは17人。
▽「受けた」が4人、
▽「受けてない」が9人、
▽「知らない」が4人でした。

もちろん、統計的な調査ではないので正確な数字ではありませんが、「知らない」も含めると、一定の割合の人たちが検査を受けていないことがわかりました。

そして理由を聞いてみると…。

「自分が対象(の世代)なのは分かっているけど、面倒くさい」といった回答が。

風疹のこと、あるいは抗体検査が無料でできること自体は知っているけど、受けていないとのことでした。

中には「マスクはするけど、それ以外の予防は気にしていない」「クーポンは届いていたような、届いていないような…」という答えもありました。

もうすぐクーポンの期限!?

クーポンの中には「有効期限は令和2年3月31日」と書かれているものもあります。
「もう間に合わない」「なくしちゃった」と諦めていませんか?

厚生労働省によると、クーポンの利用期限は延長されることが決まっていて、4月以降も今と同じように検査を受けられるということです。
また、クーポンをなくしてしまっても、自治体に申し込めば再発行してもらえます。

今年度から3年間は原則としてクーポンを配布するそうですが、その後のことはまだ決まっていないそうです。

企業がやってくれると思ってた?

厚生労働省は、ことし7月まで、つまりあと半年足らずのうちに480万人が抗体検査を受けることを目標に掲げています。
しかし、まだ4分の1にも達していません。

当初は、定期的な健康診断に合わせて全国の企業がクーポンを使った検査を実施してくれると期待していましたが、いざ始まってみると対応はまちまちだったそうです。

世界中から多くの人が集まり、感染症対策がより重要になる東京オリンピック・パラリンピックまであと半年。
厚生労働省は、先月、対策の強化に乗り出しました。
例えば大企業には、担当の責任者を決めたうえで、健康診断の機会か別の機会に集団で抗体検査を行い、検査を受けた人数を厚生労働省に報告するように求めました。

“妊婦や赤ちゃんに思い寄せて”

風疹の難しいところは15~30%の人が無症状なところ。
企業の対応を待っていると、本人も気づかないうちに周りの人たちに感染を広げてしまうおそれも出てきます。


厚生労働省の担当者は「検査を行って抗体が足りなければ、ワクチンを接種すれば、風疹がまん延しない社会にしていくことができます。自分のためにも、妊婦や生まれてくる赤ちゃんのためにも、周りの人に思いを寄せてほしい」と話しています。

「いつか行こう」と思っているけど、そのままになっている皆さん。
そろそろ足を運んでみませんか?