ストップ風疹 ストップ風疹

風疹の症状や
妊婦が感染する危険性と
抗体検査や予防接種の
受け方について
記事や動画で解説します

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あなたの風しん危険度は?年齢から風疹の危険度をチェック

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風疹はどんな病気? 風疹はどんな病気?

これって風疹かも?症状は

風疹の症状は
  • まず発熱、そして全身に赤い発しん
  • リンパ節の腫れ
  • 感染しても症状が出ないこともある

風疹の主な症状は、まず「発熱」と、その翌日くらいに小さくて細かい赤い発しんが顔から出始めて、それが一気に全身に広がります。
また耳の後ろや後頭部のリンパ節が腫れて、痛むこともあります。
目が充血したり、関節痛を訴える人も多いということです。
大人の患者の3割に、39度以上の高熱が出たという報告があります。

一方で、15%から30%の人は、感染しても症状が出ないといわれています。
そのため知らない間に感染し、周りにいる妊婦にうつしてしまうこともあるのです。

予防接種の情報はこちらへ

風疹は重症になるの?

  • 多くは一週間程度で症状が治まる
  • 仕事や生活に支障が出てしまう
  • 脳炎で重症化したケースも

成人の風疹の多くは、1週間程度で症状が治まると言われていますが、中には風疹のウイルスによって脳に炎症が起きる「脳炎」と診断されたケースもあります。
国立感染症研究所によりますと、2012年(平成24年)から2013年(平成25年)9月中旬までに風疹による脳炎と診断された患者は18人に上っています。

重症に至らないまでも、40度近い高熱が数日間続いたり血小板が減少したりして、入院するケースもあります。
1週間ほど仕事ができなくなることが多いため、仕事や生活にも支障が出てしまいます。

「風疹は子どもがかかる病気」だと思って油断してはいけません。

風疹の感染力は「インフルより強い」

風疹は、患者の咳や会話で飛び散る「飛まつ」を介してうつります。
患者は発疹が出る前後1週間ほど、風疹ウイルスを出しているということです。

感染力は、患者が風疹の免疫がない人にどれくらいうつすかを示す指標で、インフルエンザは1〜3人であるのに対し、風疹は5人〜7人と言われています。

風疹の感染力はインフルより強い

妊娠中は風疹に厳重に注意を!

妊娠中の女性が風疹ウイルスに感染すると、おなかの赤ちゃんの目や耳、心臓に障害が出る「先天性風疹症候群」で生まれる可能性があります。

その確率は妊娠初期に感染するほど高く、

  • 妊娠1か月では50%以上
  • 2か月で35%
  • 3か月で18%
  • 4か月で8%

というデータがあります。
妊娠の初期で、妊娠に本人や周囲が気づかず「無警戒」な時期に感染してしまうおそれもあるのです。

先天性風しん症候群とは

2012年(平成24年)から2013年(平成25年)にかけての全国的な風疹の流行によって、45人の赤ちゃんが先天性風疹症候群と診断されました。
このうち11例は、生後1才3か月までに亡くなっています。
また妊娠中、母親に風疹の症状が出ず、感染したことに気づかなかったケースが3割ほどあり、生まれてしばらく経ってから症状が出たり、症状に気づいたりしたケースもあります。

感染した妊婦の中には、身近に風疹を発症した人がおらず、いつ感染したか分からない人も少なくありませんでした。
その後も2018年から2019年にかけて成人の男性を中心に流行し、先天性風疹症候群の赤ちゃんが報告されています。
生まれてくる赤ちゃんを守る為には、風疹が広がらないよう、社会全体で予防することが重要なのです。

風疹に「1回かかったから大丈夫」の思い込みは危険

  • その記憶は「はしか」や「りんご病」かも
  • 1回の予防接種ではダメなことも
  • 年月の経過で抗体が減少するケースも
  • 妊娠希望の女性は「2回の接種」が安心

「自分は子どものころに風疹にかかった、またはワクチンの接種を受けた記憶があるので大丈夫」という意見をときどき聞きます。ほんとうに大丈夫なのでしょうか。

確かに一度風疹にかかった人は、多くの場合生涯、風疹にかかることはないといわれています。
ただ、子どものころ風疹にかかった記憶があるという方の中には、実際には「はしか」や「リンゴ病」など別の病気だったのを本人や親が勘違いしていたケースも少なくありません。

風疹にかかったことがあると答えた人の血液検査をしたところ、約半数が実際には風疹ではなかった、という調査結果があります。
以前は医師が症状だけで風疹と診断するケースもあったため、診断が間違っていたこともあり得るのです。

「私は風疹にかかったことあるから、接種を受けたから大丈夫」という「思い込み」にはくれぐれも注意してください。

女性は妊娠前に2回接種を

予防接種にも注意したい点があります。
1回の予防接種ではウイルス感染を防ぐ「抗体」が体の中で十分作られないケースが、専門家によりますと5%弱あるということです。
割合は少ないものの、確実ではないということです。

また過去に一度予防接種を受けたことがあっても、年月の経過にともなって「抗体」が減少することがあり、感染する可能性があるということです。

このため今の子どもたちは2回接種を受けてワクチンの効果を高めていますが、1990年(平成2年)4月1日以前に生まれた人は、子どものころに1回しか接種の機会がありませんでした。
こうしたことから専門家は「妊娠を希望している女性は特に2回目を受けてほしい」と呼びかけています。

風疹予防接種の「空白世代」は
要注意

1962年(昭和37年)4月2日から1979年(昭和54年)4月1日生まれの男性のみなさんは「特に注意」してください。患者数が最も多い年代です。中学生のときに学校で集団接種が行われていましたが、対象は女子だけでした。

1979年(昭和54年)4月2日から1987年(昭和62年)10月1日生まれの人は「男女とも要注意」です。この年代は、男性、女性ともに中学生のときに風疹のワクチンを接種することになりましたが、 学校での集団接種ではなく、個別に医療機関に出向いて受けることになりました。 このため男性の接種率が低く、女性の接種率も下がったのです。 また接種する機会も1回だけだったため、接種していたとしても時間の経過とともに抗体が下がっている可能性があります。

1987年(昭和62年)10月2日から1990年(平成2年)4月1日生まれの人は「男女とも要注意」です。男女ともに幼児期に1回接種する機会がありましたが、接種率が低く、受けていなかったり、1回だけの接種で時間の経過とともに抗体が下がっていたりする可能性があります。

年代別の風疹のワクチン接種状況

現在は、ワクチンの効果を高めるため、1歳と小学校入学前の2回、ワクチンを接種することになっています。
また2回目の接種を受けていなかった世代を対象に、2013年(平成25年)3月末までの5年間は中学1年生と高校3年生相当年令の人が無料で接種できるようになっていましたが、特に高校生の接種率が低く、今後も抗体が不十分な人が減らずに、風疹の流行が繰り返されると懸念されています。

がってん健康チャンネル

特集記事:おじさん世代に風疹クーポンをタダで配付

2020年2月、Jリーグ45クラブチームの選手や関係者が「ストップ風疹」と
一斉にツイートして、予防接種を呼びかけました。

“対象年齢”の男性は「原則無料」の制度があります

  • 「対象年齢」の男性には自宅にクーポン券が郵送される
  • 券を持って病院や診療所で抗体検査
  • 検査の結果次第で予防接種を
  • まずは検索サイトで「住んでいる自治体名 風疹 クーポン券」で検索を!

子どものころにワクチンの定期接種の機会がなかった1962年(昭和37年)4月2日から1979年(昭和54年)4月1日生まれの男性について、2024年度までに限り全国で原則無料で抗体検査と予防接種が受けられるようになりました。

厚労省の啓発ポスター

  (厚労省の啓発ポスター)

1962年(昭和37年)4月2日から1979年(昭和54年)4月1日生まれの男性については、お住まいの市区町村からクーポン券が送られます。

クーポンを無くしたりして手元にクーポンがない人は、住んでいる自治体に連絡すれば発行してもらうことができますので、問い合わせてみてください。

クーポン券

このクーポン券があれば、無料で風疹の免疫があるかどうかを調べる抗体検査を受けられます。

しかも病院や診療所は、お住まいの自治体でなくても、全国の医療機関で受けられます。事前に希望の医療機関に問い合わせたうえで、クーポン券を持って受診してください。

また勤め先の健康診断や人間ドックの際にも抗体検査を受けられる場合があります。勤め先や受診する医療機関に問い合わせて、検査の際にクーポン券を持参してください。

検査の結果、抗体が十分あった場合はワクチン接種は必要ありません。

抗体が不十分だった場合は、風疹への免疫をつけるためにワクチンを1回無料で接種することができます。

ワクチン接種

国は当初、無料クーポンの制度を2019年度~2021年度の3年間実施することで、2020年7月までに対象となる世代の男性の抗体保有率を85%に、2021年度末までに90%に引き上げることを目標としていました。しかし新型コロナの影響もあってクーポンの利用が進まず、制度を2024年度末まで延長することを2021年12月に決めました。2022年12月までに抗体保有率を85%に、2024年度末までに90%に引き上げることを目標としています。

妊婦や赤ちゃんを守るためには社会全体で十分な免疫を持つ必要があります。
限られた期間での対策ですので、この機会を逃さずにぜひ抗体検査やワクチン接種をすすめてください。

※厚労省の説明資料はこちらをご覧ください(NHKのサイトを離れます)

※クーポン券利用の抗体検査ができる医療機関は、こちらの厚労省のサイトをご覧ください(NHKのサイトを離れます)

妊娠希望の女性やパートナーは「補助制度」を活用しましょう

妊娠を予定または希望している女性やそのパートナーなどに対しては、すでに多くの市区町村が風疹の予防接種や抗体検査の費用を助成しています。
お住まいの市区町村の制度をご確認ください。

東京都にお住まいの方は、市区町村の助成制度についてこちらの「予防接種実施区市町村一覧」をご覧ください(NHKのサイトを離れます)

その他の地域については検索サイトで「自治体の名前 風疹」などで検索してみましょう。

補助などの制度を使わないと通常、「単独ワクチン」は4000円から8000円、「混合ワクチン」は7000円から1万2000円くらいかかります。

出費をおさえるために、使える制度は積極的に活用しましょう

接種の注意

接種は必ず、医師と相談のうえで受けてください。 現在妊娠の可能性がある、または妊娠中の女性は接種できません。
また、ワクチン接種から2か月間は避妊が必要です。

風疹のワクチン

ワクチンはMR(混合)タイプを
2回接種で99%予防

風疹の予防には、風疹と麻疹(はしか)の2つを予防する「混合ワクチン(MRワクチン)」を打つことを、国や専門家は勧めています。
風疹だけの「単独ワクチン」もありますが、成人は麻疹の抗体が少ない人も多く、妊娠中に麻疹にかかると流産や早産のリスクが高くなります。

風疹のワクチンは1回の接種で約95%、2回の接種で約99%、風疹を予防できるとされています。確実に抗体をつけるためには2回の接種が勧められています。
接種歴が分からないなどで、3回接種したとしても問題ありません。

抗体検査や予防接種はどこでできる?

厚労省が、風疹のクーポン券を利用できる全国の医療機関のリストをサイトに掲載しています。(NHKのサイトを離れます)

通常の検査や予防接種についても、こちらのリストを参考にされてください

風疹の抗体検査や予防接種は、最寄りの内科や小児科などで受けることができます。

ただし予防接種の場合、医療機関にワクチンの在庫がない場合も多く、電話で予約が必要です。

内科と比べて小児科は、子どもの定期接種のためにMRワクチンを置いているところもあり、その日に予防接種できる場合もあります。
「大人も小児科」などと覚えておくと便利です。

また、海外への渡航者向けに予防接種を行っている「トラベルクリニック」が各地にあり、そこにワクチンの在庫がある場合もあり、お住まいの地域のトラベルクリニックに問い合わせをすることも一つの方法です。

神奈川県茅ヶ崎市が行った集団検診の様子

(神奈川県茅ヶ崎市が2019年6月に職員を対象に行った集団検診の様子)

風疹のワクチンの安全性は?

ワクチンの安全性に不安を感じる、という方のご意見もこのサイトに寄せられます。
まず、すでに国内では原則すべての1歳児と小学校入学前1年間の幼児には、麻疹と風疹の混合ワクチンが接種されています。
国立感染症研究所では公式サイトの「風疹Q&A」の中で、「風疹ワクチンは、副反応の少ない非常に安全なワクチンの一つです」としたうえで、「重大な副反応としてまれにショック、アナフィラキシー様症状、全身のじんましんの報告があります。
また、まれに(100万人接種あたり1〜3人程度)急性血小板減少性紫斑病が報告されています。
その他の副反応として、発疹、紅斑、掻痒、発熱、リンパ節の腫れ、または関節痛などをみることがあります。成人女性に接種した場合、子供に比して関節痛を訴える頻度が高いといわれています」と説明しています。

国立感染症研究所の「風疹Q&A」はこちら

ワクチン接種直後に
妊娠が分かったら?

風疹のワクチンは、風疹ウイルスの毒性を弱めた「生ワクチン」のため、 おなかの赤ちゃんへの影響を考えて、添付文書には「妊娠可能な女性は、1か月間避妊したあとに接種、接種後2か月間は妊娠しないよう注意」と書かれています。

ただ、これまで、ワクチンの接種後に妊娠が分かった数千人規模のデータで、風疹による障害が赤ちゃんに出たという報告は世界で1例もないということです。

このため、万が一接種直後に妊娠が分かったとしても、安易に中絶などを 考えず、専門の医療機関で相談して下さい。
(男性については、接種後の避妊は必要ありません。)

こちらに厚生労働省の研究班の見解が公表されています。

毎年2月4日は「風疹の日」

産婦人科の医師でつくる日本産婦人科医会などは、「風疹ゼロプロジェクト」を立ち上げ、毎年2月4日を「風疹の日」と定めて、ワクチンの接種を呼びかける啓発活動を行っています。詳しくはこちらのページをご覧ください(NHKのサイトを離れます)