マイナスのGDP、成長のカギは?

ことし7月から9月までのGDP=国内総生産は、前の3か月と比べた伸び率が実質の年率換算でマイナス2.1%と、3期ぶりのマイナスとなりました。個人消費、企業の設備投資がともにマイナスと、コロナ禍からの回復にブレーキがかかる形となりました。日本経済が成長するカギは何か、大和総研の神田慶司シニアエコノミストに聞きました。

今回のGDPの結果をどう分析していますか?

想定よりもマイナス幅が大きくなった。
そして個人消費や企業の設備投資は予想に反してマイナスになり、内容もあまりよくなかった。
個人消費は物価高の影響もあって食料品が振るわず、設備投資も海外経済が減速している中で半導体の市況も悪く、半導体製造装置を中心に投資を手控える動きが強かったと言える。


IMF=国際通貨基金は、ドルに換算した日本の名目GDPがことし、ドイツに抜かれて4位となるという見通しを示しています。
日本経済の推移をどうみていますか?
ドルベースの名目GDPのデータなので、物価や為替の影響を受けやすいが、それを除いても日本の経済成長率の低さがかなり顕著に表れた結果だと思う。
去年までの20年間のドイツの成長率は日本に比べて高い伸びとなっている。

日本は人への投資が進まず、設備投資も伸びず、成長率が低く推移しているという形となっている。


投資を含めて、労働力や生産性といった、日本経済の「供給力」を高めるべきだという意見も出ています。
「供給力」が弱い中で需要が増えると物価が上がってしまう。
賃金が上がる中でも生活費も上がってしまって、決して豊かにならない可能性がある。
「供給力」を強化して安定的な成長を目指すという必要性は大きい。


「供給力」の強化に何が必要でしょうか?
日本は人口が1億人を超える国だが、働き手をうまく生かしきれていない。
例えば民間でできることでは、女性の活躍を後押しするような働き方改革を行うことや、育児と仕事の両立を支援するような職場を整備していくことも重要だ。
あわせて、企業が付加価値の高い分野に力を注ぐようになれば、成長力が強化されて生活も豊かになるという流れになる。
現在は物価上昇に賃金上昇が追いつかず、実質賃金がマイナスで推移するなど、なかなか持続性があるとは言えない状況だ。
賃上げの機運を高めて、賃上げにかなうような収益を上げるための生産性の向上をしっかりやっていく必要がある。


日本経済の今後の見通しはどうみていますか?
日本経済は、例えばサービス消費やインバウンド消費、それに自動車の挽回生産も期待できるので、ことし10月から12月のGDPは再びプラス成長に転じる可能性がある。

来年にかけては緩やかな景気の回復基調が続くとみている。
そして、日本経済が成長を続けるためには、デフレを脱却し、民需が中心になって成長し続ける必要がある。

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