NEW2022年12月01日

この冬をどう乗り越える?節電要請始まる

12月1日、政府による全国への節電要請が始まりました。ことし夏に続いての要請で、冬の時期としては実に7年ぶりです。日本はいま、夏と冬のたびに電力需給がひっ迫する厳しい状況となっています。私たちはこの冬をどう乗り越えればいいのか。エネルギー担当の五十嵐圭祐記者教えて!

そもそも節電要請ってなに?強制力はあるの?

あくまで要請=お願いであって、強制力はありません。

電力需給がひっ迫しそうな期間に、あらかじめ政府が家庭や企業に対して節電への協力を求めることです。

過去には数値目標つきの節電要請が行われたこともありましたが、夏に続いて今回もいわば「お願い」という形で、来年3月31日まで、できるかぎりの節電に協力するよう呼びかけを始めました。

五十嵐記者
五十嵐記者

電力需給の見通しはどうなっているの?

安定供給には供給の余力を示す「予備率」が最低限3%は必要だとされています。

そうしたなか来年1月がもっとも需給が厳しくなるとされていて、予備率は▽東北電力と東京電力の管内で4.1%、▽中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力の管内で5.6%、▽北海道電力の管内で7.9%、▽沖縄電力の管内で33.1%となっています。

また、来年2月は▽東北電力と東京電力の管内で4.9%、▽中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力の管内で6.5%、▽北海道電力の管内で8.1%、▽沖縄電力の管内で34.4%と、いずれのエリアでも3%以上を確保できる見通しです。

ただ、強い寒波で気温が下がるなどして、電力需要が想定を超えて増えるおそれがあるほか、ロシアによるウクライナ侵攻の影響でLNG=液化天然ガスの安定調達に懸念があるなど、厳しい状況が続いています。

こうした事情から政府は冬の時期として7年ぶりの節電要請を行うことにしたんです。

五十嵐記者
五十嵐記者

できるかぎりの節電って言うけど、何をしたらいいの?

この冬に向けて、経済産業省では新たな節電メニューをまとめました。

詳しくは経済産業省の特設サイトに出ていますが(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/shoene_setsuden/)、「北海道版」「本州・四国・九州版」「沖縄版」に分かれています。

このうち「本州・四国・九州版」を見てみますと、冬の1日の家庭での電気の使用割合は▽暖房が32.7%、▽冷蔵庫が14.9%、▽給湯器が12.6%、▽照明器具が9.2%などとなっています。

そのうえで、暖房については、▽重ね着などをしてエアコンの設定温度を22度から20度に下げると2.7%、▽窓に厚手のカーテンをかけると0.8%、それに▽目詰まりしたエアコンのフィルターを掃除すると0.8%の節電効果があるとしています。

また冷蔵庫については、温度設定を「強」から「中」にするほか、扉を開ける時間を短くしたり、食品を詰め込みすぎないようにしたりすることで1.5%の節電効果があるとしています。

さらに照明器具については、▽不要な照明をすべて消すことで4.5%、▽リビングや寝室などの部屋の明るさを下げることで1.5%の節電効果があるということです。

一方、企業の電気の使用割合は▽空調が33.5%、▽照明が29.8%、▽複合機が9.5%、▽パソコンが8.6%などとなっています。

そのうえで▽オフィスや店舗の照明を半分程度減らすと7.7%、▽空調の設定温度を22度から20度に下げると3.4%の節電効果があるということです。

また、▽従業員が長時間席を離れる場合は、パソコンの電源を切ったり、消費電力の少ないスタンバイモードにしたりすると3.6%の節電効果があるとしています。

さらに日々の地道な節電努力も呼びかけていて、▽昼休みなどは可能な範囲で消灯することや、▽蛍光灯をLEDのタイプに交換すること、▽夕方以降はブラインドやカーテンを閉めること、▽コピー機が複数台ある場合は、稼働台数を減らすことなどもすすめています。

五十嵐記者
五十嵐記者

ニュースで節電ポイントということばを耳にしましたが、これってどういう制度?

電力会社などが行う節電サービスに参加した家庭や企業に、買い物などで使えるポイントを上乗せする政府の支援策のことです。

新たに登録した家庭に対しては、その時点で2000円相当のポイントが付与されるほか、来年1月分から3月分の電気料金で、使用量を前の年よりも3%以上減らした場合には、月ごとに1000円相当のポイントが付与されます。

節電サービスを行う電力会社は300社程度にのぼる見通しです。

参加を希望する場合、契約している電力会社が節電サービスを実施しているか確認したうえで、会社のホームページやスマートフォンのアプリなどに登録すれば参加できるようになります。

五十嵐記者
五十嵐記者

節電してポイントがもらえるならやってみようかな。

そもそもいま電気代は高騰していますから、家計にとっても節電は必要です。

そのうえ節電がうまくいけば、ポイントをもらうこともできるわけです。

普段あまり節電を気にせず、電気を使っている人も多いと思いますが、今回の節電要請をきっかけに、自分に何ができるかを考えてみるのもよいかもしれません。

五十嵐記者
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