NEW2022年07月28日

どうなる物価高騰対策?巨額の税金投入 内容と効果は

食料品や燃料、各種サービスまで。物価の上昇が止まりません。政府は物価高騰対策に最優先で取り組む姿勢を示し、この夏、家庭や農業関係者向けの負担軽減策をスタートさせますが、その内容は?そして国のお金はどのくらい投入されるの?教えて!

政府のこの夏の物価対策、具体的に何をやるんですか?

1つは、一定の節電を行った家庭にポイントを付与する制度。電力会社などが行っている節電プログラムに登録した家庭に2000円分のポイントを支給する仕組みです。貯めたポイントは、商品券などに交換することもできます。

節電プログラムへの参加を促すことで、電気料金の負担軽減と電力の需給ひっ迫の両方に対応しようというねらいがあります。ポイント付与は企業も対象になるということで、政府はこの対策に予備費から1800億円程度を充てることにしています。

この制度、8月に実施される予定ですが、この冬の電力需給はさらに厳しい状況が予想されています。政府は秋以降、節電した電力使用量に応じてポイントを上乗せするなど、一層の節電につながる仕組みを検討することにしています。

農業関係者向けの物価対策もあるんですね。

肥料の価格の一部を支援する仕組みです。

ロシアの軍事侵攻の影響で、化学肥料の価格は多くの種類で過去最高の水準まで値上がりしています。原料である尿素や塩化カリウムの生産国であるロシアからの供給が滞っていることなどが要因です。

肥料の価格はもともとは農家の生産コストの1割から2割を占めているとされていますが、このところの価格の急騰が生産コストを押し上げる形となっています。このため、今回の対策では、化学肥料の使用量を2年間で2割以上削減することに取り組む農家を対象に、肥料価格の上昇分の7割を補てんします。

政府は農産品全体の生産コストを1割引き下げることを目指すということで、この対策には予備費から800億円程度があてられます。

政府の物価対策と言えばガソリンなど燃料の引き下げ策もありますね。現状はどうなっているのですか?

ガソリンなど燃料の小売価格を抑える対策は、政府が行っている物価対策では最も規模が大きいものとなっています。

政府は燃料価格の高騰を受けて、ことし1月からガソリンの平均価格が170円を超えた場合、石油元売り会社に1リットル当たり最大5円分の資金を補助する仕組みを導入しました。この仕組みは軽油や灯油などにも適用され、その後の小売価格の上昇に伴って、補助金の額もどんどん上積みされていきました。

現在はガソリンの場合1リットル当たりの上限を35円としていますが、これを超える分についても半額補助することになっています。

今週25日時点での全国のレギュラーガソリン小売価格は全国平均で、1リットル当たり170.4円。1リットル当たり39円が補助金として支給されています。

この対策はことし9月分まで対策が実施されることとなっていますが補助金に充てる予算として総額でおよそ1兆9000億円が用意されています。このうち、5月末までに、6000億円余りがすでに支出されています。

すごい金額だけど、マイカーを持っていない人には恩恵がないんじゃないですか?

政府は「例えマイカーがなくてもバスなどの公共交通機関やタクシー、それに物流業界に支援することで、対策の効果は幅広い人に及んでいる」と説明して、理解を求めています。

ただ、費用は税金から捻出されるわけですから、対策が無尽蔵に続けられるわけではありません。対策の効果の検証は不可欠ですし、燃料価格の高騰が続く中、現在の規模の対策をいつまで続けるのか、国民生活への影響も考慮しながら検討しておく必要があると思います。