電車賃が時間帯で変わる?
大都市圏で、鉄道運賃の仕組みが大きく変わるかもしれません。曜日や時間帯で運賃が変わる「ダイナミックプライシング」を鉄道にも導入できないか、国が検討することになりました。実は鉄道各社も、実施に向けた“検証”に乗り出しています。運賃は高くなる?いつから始まる?国土交通省担当の真方健太朗記者、教えてください!
そもそも、「ダイナミックプライシング」ってなんですか?
真方記者
同じ商品やサービスでも、需給などに応じて価格を変える仕組みです。
例えば、飛行機やホテルの代金は、大型連休や年末年始には高くなる一方、平日の人が少ない時は安くなりますよね。事業者は、柔軟に価格を動かすことで、売り上げを増やしたり、稼働率を高めたりできるメリットがあります。
この仕組みを鉄道にも導入しようと、国土交通省が検討を進めることになったんです。
なぜ、鉄道に?
真方記者
大きなねらいは「混雑の緩和」です。
通勤・通学で混み合う時間帯の方が高い状態にすれば、日中の空いている時間帯に移動する人が増えて、利用者を分散できるのではないかというわけです。
また、今のような状況には、感染症対策としての効果も期待されています。
いつから始まるの?
真方記者
本格的な導入までには「数年はかかる」とみられています。
鉄道会社が、どんな運賃の設定にするべきかの検討に時間がかかりますし、申請された運賃が妥当かどうか、国の審査にも時間がかかります。
さらに、国のOKが出た後には、改札やICカードのシステムを更新する必要があります。
まだ、遠い先の話なんですね。
真方記者
実は、そうでもないんです。JRや私鉄は、認可や環境整備に時間がかかる運賃の値上げの代わりに、ピーク時を避けて利用した人にポイントを還元するサービスを始めています。
・JR東日本 ことし3月から首都圏の主要路線で実施中
・JR西日本 ことし4月から大阪の中心部で実施中
・東京メトロ ことし7月から実施予定
各社は、こうした取り組みによって混雑を緩和する効果を検証し、ダイナミックプライシングの導入に向けた検討を本格化しようとしています。
国が導入の検討を始めたことで、鉄道各社は、議論のスピードが加速することを期待しています。
深澤祐二社長
「働き方あるいは暮らし方が大きく変わって、お客さまのご利用のしかたも変わっていますので、できるだけ早く、制度が実現するようにしたいというのが私どもの希望です」
混雑が減るとはいえ、運賃が高くなるのは…。
真方記者
値上げになるケースでは、通勤や通学などで、どうしてもラッシュの時間帯に乗る必要がある人たちの理解を得られるかが課題になりますね。
専門家は次のように指摘しています。
木内登英エグゼクティブ・エコノミスト
「従来より高くなってしまうことへの不満は出てくると思う。コロナ対策という説明であれば、比較的多くの人が納得する面が、今はあるのではないか。ラッシュアワーの時に運賃が上がるようになれば、企業側が時差出勤やリモートワークを進めていくきっかけになる」
真方記者
「ダイナミックプライシング」はさまざまな分野に広がっていますが、航空機やホテルなどと比べて、日常的に利用する鉄道は少し事情が違うと思います。
どうしてこの制度が必要なのか、値上げは本当に妥当なのか、丁寧に議論していくことが必要でしょう。
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