NEW2020年02月28日

新型コロナウイルスに負けるな! 中小企業資金繰り 支援策は?

新型コロナウイルスの感染拡大が、経済活動に影響を及ぼしています。外国人旅行者が減少していることや、中国から部品や製品が届かないことで、厳しい状況にある中小企業も増えています。政府系金融機関などでは、特別の相談窓口を設けて資金繰りの支援を始めています。支援策を利用して、難局を乗り切ってほしいと呼びかけています。金融業界担当の野口恭平記者が解説します。

新型コロナウイルスの影響。金融機関はどう受け止めているのでしょう。

野口記者

大手企業はもちろんですが、多くの中小企業から深刻な声が届いています。政府系金融機関の商工中金は、各地の支店に、1月末から新型コロナウイルスに関する経営相談窓口を設けました。2月26日までに、融資をしてほしい、返済を延期してほしいといった相談が180件ありました。相談件数は日を追うごとに増えているそうです。

具体的にはどんな相談なのでしょうか?

野口記者

多いのが「輸入の減少」です。中国など海外から商品が仕入れられずに、販売・売り上げに影響しているという声です。電子部品、カメラ、太陽光パネルなど電気機器に加えて、野菜や肥料、それにジーンズなどの衣料品、おもちゃ、そして墓石まで、幅広い分野に及んでいます。

そして「外国人旅行者の減少」です。ホテルや旅館でキャンセルが相次いでいることに加えて、観光バス、土産物屋、飲食店など関連産業に広がります。

このほか国内の感染拡大を防ぐため、学校の休校、テーマパークの休園、イベントの自粛などが相次いでいます。そうした影響も今後、中小企業に広がっていくおそれがありそうです。

厳しい状況、どうにかして乗り越えてほしいです。どんな支援策があるのでしょう。

野口記者

商工中金では、新型コロナウイルスの影響で一時的に業績が悪化した会社に通常より低い金利で特別融資を行っています。2月は、最も低い場合で、年0.95%でした。

融資の期間も長くしています。運転資金は通常5年前後の返済が多いのですが、10年以内に。設備投資の資金は通常の15年前後を20年以内に設定しています。

商工中金ビジネス企画本部の多賀俊郎次長は次のように話しています。

「通常の融資は財務関連の資料を提出してもらう必要がありますが、今回は、ホテルの場合は、予約がキャンセルになった予約台帳、卸業者の場合は、先方からの商品を供給できないというメールなど、売り上げの減少が証明できれば柔軟に対応するようにしています。場合によっては口頭による説明でも対応可能です。審査にかける期間も通常より短く、数日~1週間程度で判断しています。取り引きをしてから支払いがあるまで多くの場合2~3か月後なので、感染拡大の影響は3月下旬以降、表面化してくると考えています。これから資金面の相談はさらに増えると見ています。しっかり支援していきたいと思います」

ほかの金融機関ではどんな取り組みが?

野口記者

同じく政府系金融機関の日本政策金融公庫も中小企業や農林漁業者を対象に相談窓口を設けています。

こちらでは「経営環境変化対応資金」という融資を行っています。融資額の上限は小規模事業者は4800万円。中小企業は7億2000万円です。金利は通常の融資と同じですが、融資の期間を長くしています。運転資金は、原則5年以内を8年以内に、設備投資資金は10年以内を15年以内にしています。

また、これとは別に、飲食店、喫茶店などを対象に1000万円を限度にした特別の融資を行っています。海外進出している企業向けの融資も設けています。

2月26日までに相談があったのは2438件。多いのは飲食店や宿泊施設からの相談ですが、「卒業式が中止になり、花の需要が落ちてしまう」という花の農家からの相談もあったそうです。

担当者は「企業のセーフティネットになることが政府系金融機関の使命です。今、直接の影響がなくても今後売り上げが減少しそうだという相談にも対応していますので、まずは相談してもらいたい」と話しています。

このほか全国の信用保証協会も3月2日から中小企業向けの支援を始めます。売り上げが20%以上減少している中小企業には、借り入れ債務の100%を保証して、金融機関からの融資を受けやすくします。

沖縄県では企業が信用保証協会に支払う保証料を全額負担して、最大3000万円を融資する制度をすでに設けています。こうした都道府県独自の支援策もあります。

いろいろあって、どの支援策を活用すればいいのか複雑ですね。

野口記者

NHKでは新型コロナウイルスに関する特設サイトに相談窓口の一覧を掲載しています。

https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/management/

地域によって、日々状況は変わっているので、まずは各地にある「よろず支援拠点」や金融機関の店舗に相談してもらい、この厳しい時期を乗り切ってほしいと思います。