ボージョレ・ヌーボー、安くなったの?
![](/news/special/sakusakukeizai/wp-content/uploads/2022/03/saku-20191121-poster.jpg)
フランスのボージョレ地区でことし収穫されたぶどうを使ったワインの新酒「ボージョレ・ヌーボー」の販売が解禁になりました。ただ、ことしのボージョレはひと味違うみたいです。といっても、味の話ではなく、“価格”のこと。どういうことなんでしょうか、経済部で酒類業界を担当している仲沢啓記者、教えて!
ことしのボージョレ・ヌーボーは、価格がひと味違うってどういうことですか?
仲沢記者
それは、ある協定の効果なんです。ことし2月、日本とEU=ヨーロッパ連合のEPA=経済連携協定が発効し、ワインにかかっていた関税が撤廃されました。
いずれも1本750ミリリットルに換算すると、▼ワインは最大およそ94円、▼スパークリングワインは一律でおよそ137円の関税が撤廃されました。
1000円のワインでも1万円のワインでも、関税の額は最大で94円なので、安いワインの方が関税撤廃の恩恵を感じられそうです。
大手スーパーのイオンでは、きょうから全国およそ5000店舗で、18種類のボージョレ・ヌーボーを販売し、50円から90円ほど値下げしたということです。(スパークリングワインはおよそ130円の値下げ)
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ことし10月に消費税率が2%引き上げられましたが、このスーパーが扱う3000円台以下のボージョレ・ヌーボーの場合、関税撤廃による値下げ幅の方が増税による値上げ幅よりも大きいので、ことしは「お買い得」ですよとアピールしています。
なるほど。しかしボージョレ・ヌーボーって、かつてほどには盛り上がっていないようにも見えますが。
仲沢記者
そうかもしれませんね。日本では、1985年から11月の第3木曜日に解禁日を設定して一斉に販売を始めるようになり、一時期は大ブームになりました。
フランスの生産者で作る団体「ボジョレーワイン委員会」によりますと、日本がフランスから輸入したボージョレ・ヌーボーの量は、このブームで増えていき、ピークの2004年にはおよそ9400キロリットルでした。
ただ、その後は減少傾向で、去年(2018年)はピーク時の半分以下の3900キロリットル余りまで減少しています。
減少した理由について、ボジョレーワイン委員会は、フランス以外の産地のワインの人気が出てきたことも大きいのではないかと話しています。
例えば、2007年には日本とチリの間で一足早くEPA=経済連携協定が発効して、関税が段階的に引き下げられました。2015年には、30年以上にわたって輸入量1位を維持してきたフランス産を抜いて、チリ産が1位となっています。
このように、関税の撤廃は、ワイン市場の動向にも少なからず影響してします。国内のワイン市場はこのところ伸び悩んでいますが、EUからの関税が撤廃されてお得になったことで、再びワイン市場の起爆剤となるか、注目です。
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確かに最近は、いろいろな国のワインを安く楽しめますね。そういう中で、ことしのボージョレ・ヌーボーのできはどうなんですか。
仲沢記者
ボジョレーワイン委員会によりますと、ことしは天候不順で春に畑が凍ったり、みぞれが何度も降ったりするなど厳しい状況が続いたため、収穫量も落ち込みました。それでも、収穫の頃には天候もよく、成熟して理想的な酸味となり、「有望なできばえ」だと話しています。
![ニュース画像](/news/special/sakusakukeizai/articles/still/20191121/saku-20191121-03.jpg)
スーパーの担当者も、「ぶどうを作るには難しい年だったが、個性的でおいしいワインが多いので気軽に飲み比べて楽しんで欲しい」と話していました。
私も飲み比べてみましたが、一口にボージョレ・ヌーボーと言っても、フレッシュな味や、ブドウの風味がしっかりしているものなど、さまざまな違いを楽しむことができました。ふだん、ワインを飲まない方も、この機会にボージョレ・ヌーボー味わってみてもいいかもしれませんよ。
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