ヤフーとLINE 巨大ITが誕生する?

ITサービスの分野でよく知られる2つの企業、ヤフーとLINEが経営統合に向けた交渉を進めていることを明らかにしました。なぜこの組み合わせなの?一緒になって何をするの?教えて!

ヤフーとLINEの統合交渉のニュースには驚きました。ネット通販とかスマホ決済で、重複するサービスも多い気がするのですが、一緒になる狙いは何ですか?

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ヤフーはソフトバンクグループなんですが、そのソフトバンクグループの孫正義社長は日頃からIT業界についてあることを言っています。“Winner takes all” つまりIT業界は勝者総取りの世界で、業界のトップを取らないことには生き残れないというわけです。こうした方針が、傘下のソフトバンクやヤフーの戦略に影響しています。

ヤフーはことし9月、4000億円という巨額の資金を投じて国内最大級のファッション通販サイトを運営するZOZOの買収を決め、きのう(13日)、子会社化しました。この動きも、若い世代を取り込むことでライバルのアマゾンや楽天に後れを取るネット通販事業を一気に強化し、国内トップを目指すことがねらいでした。

今回明らかになったLINEとの統合交渉も、実現した場合、検索やスマートフォン決済のほかにLINEの最大の強みのSNSを含めて幅広いインターネットサービスを一手に担う巨大グループが誕生します。

その巨大グループ、実際にはどういうビジネスを展開していくのでしょう?

まだ詳細は明らかになっていませんが、すでに両社が展開している既存のサービスを見てみると、その姿が想像できそうです。

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例えばスマホ決済の分野で、今は競争関係にある「PayPay」と「LINE Pay」の間で、利用者どうしが送金するといった利便性が高まる可能性があります。

ほかには、8000万人を超える通信アプリ「LINE」の利用者にヤフーのほかのサービスを使ってもらったりということもありそうです。そうなると楽天など、競合するほかのIT企業の戦略にも影響を与えると思います。

ITの分野では世界的に有名な巨大企業がすでにたくさんありますが、ヤフーとLINEはどういう位置づけになっていきそうですか?

国内の競争をどう勝ち抜くかと同時に、世界に打って出る戦略も問われることになると思います。

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現状、アメリカではGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)、中国ではBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)の巨大IT企業が、さまざまなインターネットサービスを展開しています。

こうした企業は“プラットフォーマー”と呼ばれています。ネット通販や金融など、生活に必要な情報やサービスを一括して提供し、独自の“経済圏”を作ろうとしています。

例えば、ソフトバンクグループが出資している中国のアリババ・グループは、6億人以上が利用するネット通販事業に加えて、スマホ決済の分野でも中国国内で5割を超えるシェアを握っています。

アメリカのフェイスブックも今月12日にキャッシュレス決済のサービスをアメリカで始めると発表。その名もFacebook Payです。

また、すでに大手金融機関のゴールドマン・サックスと提携して、クレジットカード事業に参入したアップルは今月、定額制の動画配信サービスを開始。

英語で舞台の意味もある“プラットフォーム”を提供するのが“プラットフォーマー”ですが、まさにあらゆるサービスを提供する舞台を用意しようとしています。

ヤフーとLINEの今後の戦略はまだ分かりませんが、専門家は「コミュニケーションアプリ(LINE)とポータルサイト(ヤフー)で強みを持つ2社の統合は世界的にも珍しく海外展開を図る上でも強力な連合になるのではないか」と話しています。

ただ、アメリカ勢や中国勢が日本市場を虎視たんたんと狙っているでしょうから、プラットフォーマーをめぐる動きから当面、目が離せません。