NEW2019年11月05日

週休3日どうだった?

この夏、日本マイクロソフトが1か月間、「週休3日」を試しました。社員にとってはうれしいかぎりかと思いきや、同時に課題も見えてきたというんです。経済部の川瀬直子記者、いったいどういうことなのか教えて!

週に3日も休めるなんて、なんだか羨ましいです。

川瀬記者

そうですよね。日本マイクロソフトはことし8月の1か月間、約2300人の全社員を対象に、土曜日と日曜日に加えて金曜日も休みにしました。働き方改革の一環です。オフィスのメインエントランスの照明を消し、受付も無人にするなど徹底しました。果たしてどういう結果だったのか。会社は3つのキーワードで効果を分析しました。

3つのキーワード?

川瀬記者

「削減」「向上」「満足」の3つです。

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順番に見ていきます。まずは「削減」。8月の就業日数は、前年に比べて25.4%減りました。これに伴ってオフィスの電力消費量は15.3%減ったほか、紙の印刷枚数もなんと30.8%減ったそうです。

2つ目の「向上」ですが、8月の売り上げを社員数で割った労働生産性は前年より39.9%上がったと言います。このほか、効率化のために重視した「30分以内の会議」も46%増えたとしています。

実は、世界100か国以上で展開するマイクロソフトのオフィスの中で、日本は会議にかける時間がとりわけ長かったんです。

会社によりますと、会議の時間が60分に設定される場合が多く、参加者の数も世界の平均より11%多かったということです。このため▽会議は30分以内に▽参加者は5人までというルールを決めました。それが功を奏した形です。

3つ目の「満足」については、私自身とっても気になっていました。社員へのアンケートでは、92.1%が週休3日を「評価する」と答えたということです。

その理由として、「仕事の効率化を意識するようになった」、「休暇の過ごし方について意識や行動が変わった」などという回答が多かったと言います。

いいことばかりのように見えますね。

川瀬記者

ただ、会社は課題も見えたと話しています。たとえば、「顧客が休んでいないので休みにくい」とか、「顧客との仕事の日程調整が大変だった」という声がありました。

確かに、取引先と緊密に連絡を取り合う部署だと金曜日に連絡を取れないことが仕事のマイナスになることはありそうです。

このほか、顧客対応をした時間に応じて成績が決まる部門では、成績が下がることを心配する声も聞かれ、部署によって意識の違いもありました。

会社は、「週休3日は大きな決断だったが、会社を挙げて取り組んだことで新たな学びや気付きがあったので、次の一手に生かしたい」としています。

次の一手と言うと、もう週休3日はやらないんですか?

川瀬記者

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今回、多くの社員が「意識が変わった」と答えたことが大きな成果だと会社は評価しています。この流れを加速させようと、ことしの冬、来年の春と、有給休暇の取得や業務の効率化を促すキャンペーンを行うことにしています。そして来年の夏には、再び全社で「週休3日」を行う予定なんです。

ただ、1社でできることには限界があることが分かったので、こうした取り組みに賛同する企業を募ってノウハウを共有したいとも話しています。

直ちに週休3日が日本マイクロソフトやほかの会社で定着するとは思いません。それでも、働き方改革やワークライフバランスを推進するためにも、“仲間の輪”がどこまで広がるのか注目したいと思います。