NEW2019年07月19日

サンマをとる量 なぜ制限するの?

このところ不漁続きで価格もあがっているサンマ。北太平洋でのサンマの資源管理について話し合う国際会議が開かれ、サンマの漁獲量の規制が初めて設けられることが決まりました。庶民の味とも言われるサンマ、なぜ漁獲の規制が必要になっているのでしょうか。そしてこれから、どうなってしまうのでしょうか。経済部で水産業の取材を担当している岡谷宏基記者に聞いてみます!

サンマの不漁、実際、漁獲量はどれぐらい減っているんですか?

岡谷記者

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不漁はここ数年、続いています。おととしの国内の漁獲量は8万4000トンで、なんと半世紀ぶりの不漁となりました。

去年は12万9000トンで、ひとまず持ち直していますが、それでも低い水準が続いています。

うーん、なぜそんなに減っているんでしょう?

岡谷記者

要因の1つは、資源量、つまり海にいるサンマそのものの量が減ってしまっているという実態があります。国際会議が科学的に資源量を推計した結果、北太平洋のサンマは、2000年代はじめには400万トンを超えていたものの、その後、減少が続いていて、おととしには130万トンと、3分の1にまで落ち込んだとしています。

日本としては、サンマの資源量そのものを回復させるために、各国で足並みをそろえてサンマをとる量の上限を決める規制を導入しましょうよと、これまで国際会議で重ねて求めてきていたんです。

ずっとサンマを食べ続けるには、取る量を制限したほうがいいってことですね。それで、今回の国際会議では何が決まったんですか?

岡谷記者

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今回の国際会議では、日本や中国、台湾、ロシアなど8つの国・地域での来年の漁獲量の合計を1年で55万トン余りに抑えることが合意されました。漁獲量の上限を設定することが決まったのは、初めてのことなんです。

ただ、これらの国や地域での去年1年間の漁獲量の合計は43万トン余りだったため、55万トン余りという上限は、実態を10万トン以上上回る水準となっています。当初は規制の導入に反対していた中国からも合意を取り付け、枠組みを作ることを優先した形です。

また、全体の上限は決まりましたが、各国・地域ごとの上限をどうするかは来年以降の会議に持ち越されました。

まず全体を決めて、国・地域ごとは次回以降というのは、ずいぶん段階を踏んでいますね。

岡谷記者

そうですね。サンマの漁獲量の規制は、実はおととしも、去年も国際会議で協議されましたが、いずれも合意できていませんでした。

各国が好きなだけサンマを取れる状態になんとか制限をかけるため、水産庁としては、まずは数量規制の導入にこぎつけた形です。そのうえで、来年以降の会議で、規制をさらに意味あるものにしていきたいとしています。

水産庁の担当者は「大きな枠をはめることができたので、無秩序に漁獲が増えることは抑えられる。今回はあくまでも通過点であり、引き続き、資源の回復へ規制の強化に取り組みたい」と話していました。

サンマは漁獲が減ってきたため、国内での価格もあがっています。各国がサンマの資源管理に取り組み、持続的に利用していくことで、秋の味覚の代表格のサンマが、今後も庶民の味であり続けることにつながっていけばいいなと思います。