どうしてそんなにもらえるの?

32億円。さて何の金額でしょう?
実は、上場企業の2018年度の役員報酬の最高額です。
もう別世界の高額報酬ですが、1億円以上をもらう役員の数は増えているんです。
景気回復を実感できないという声が上がる中で、高額化する役員報酬。
いったいどうなっているの。
経済部で金融業界を取材している野口恭平記者に聞いてみました。
野口記者
上場企業には1億円以上の報酬をもらう役員を開示しなければいけないルールがあります。昨年度、企業の「1億円プレーヤー」の数は570人。過去最多になったんです。
どんな人たちがもらっているの?
野口記者
こちらが、そのランキングです。

また、1億円プレーヤーが多い企業はこんな並びです。

ちょっと信じられない金額です。どうしてこんなにもらえるの?
野口記者
会社によって理由はさまざまですが、日本人の役員の場合は、役員を辞めるときにもらう退職金型の報酬が多いようです。
外国人の役員の場合は、お金ではなく会社の株式でもらった結果、報酬が膨らむというケースも多いようです。
32億円と報酬額トップだったソフトバンクグループのロナルド・フィッシャー副会長は、現金でもらう基本報酬は3億3900万円でしたが、株式でもらう報酬が29億2400万円だったそうです。
1億円プレーヤーの数が増えているのはどうして?
野口記者
電機メーカーや商社などは好調な決算が続いています。
業績に連動する形で報酬額が決まるルールを取り入れている会社で、役員の報酬が伸びたということが理由のひとつ。
それに、一目みてわかるように高額報酬のトップ10には外国人の役員が多いですよね。日本の企業が海外の人材を獲得しようと報酬を引き上げているという事情もあるようです。
業績がいいなら、役員だけでなく従業員のお給料にも反映してほしい…。
野口記者
そうですよね。
1億円以上の報酬をもらう役員を開示するよう義務づけられたのは9年前。
東京商工リサーチによると、開示の対象となった役員の平均報酬額はこの9年間で23%増加しているということです。
(2010年 1億6800万円→2019年 2億730万円)
一方、この間の上場企業の従業員の給与は10%の増加にとどまっているんです。
(2010年 567万円→2019年 629万円)
このデータでは従業員の給料は増えてはいますが、役員報酬の伸び率を見れば、好業績の成果を従業員にもう少し還元してほしいという気持ちにもなりますね。
会社の経営を担う重要なポストだから報酬が高いのはわかるけど、どんなふうに決まっているの?まさか“どんぶり勘定”なんてことはないでしょうね。

野口記者
役員報酬に詳しい専門家に聞いてみると、報酬の仕組みが外部からはよくわからない“ブラックボックス”になっている会社も多いようです。
ただ最近では、それではいけないという指摘を受けて、報酬の仕組みをわかりやすくしようという取り組みが増えています。
報酬額を決めたいきさつを時系列で紹介したり、グラフを使って計算方法を公開する企業も出てきました。
「この業績なら納得できる」とか「働きぶり、貢献度をみると相応だ」といったように、従業員や株主に、報酬が決まるプロセスを“見える化”することも必要だと思います。
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