NEW2019年04月17日

やっぱり独占的?巨大IT企業の取り引き実態は

公正取引委員会は、なぜアンケートを行ったのですか。

「GAFA」と呼ばれる巨大IT企業などは、情報配信や電子商取引といったサービスの基盤を握る「プラットフォーマー」と呼ばれている。

プラットフォームの上でさまざまなサービスを提供する1つの「経済圏」を作って、支配的な力を持つようになっているので、その力を背景に、取引先が従わざるを得なくなっているのではないかと心配されているの。

だから、公正取引委員会は今回、ネット通販サイトを運営するアマゾン、楽天、ヤフー、それにスマートフォンのアプリの販売サイトを運営するアップルとグーグルの、合わせて5社の取引先を中心にアンケートを行い、867の事業者から回答を得た。

ネット通販の取り引きでは、何が分かったのですか。

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そうね。ネット通販の取り引きの規約について聞いたところ、契約内容を「一方的に変更された」と回答した企業は、最も多い「楽天」の取引先で93.2%にのぼったの。

さらに契約内容の変更があったと回答した企業のうち、手数料の増加や契約の打ち切りなど、「不利益な内容があった」と答えた取引先は、「楽天」で93.5%、「アマゾン」で69.3%、「ヤフー」で37.7%だった。

ネット通販上での商品の表示や検索結果をめぐっては、どう評価しているのですか。

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何らかの問題があるという回答が多かったの。

「表示位置や表示方法を決める基準、または検索結果を決める基準が不透明」との回答が最も高い楽天で68.7%に上った。
「有利な表示位置や検索結果で表示させるためには、ネット通販の運営事業者のサービスを利用するなど費用を支払う必要がある」と答えた取引先は、「楽天」で56.7%などと高くなった。
「ネット通販の運営事業者が自社関連の商品を有利に表示させている」と答えた取引先は、「楽天」で43.3%などとなっている。

スマホでのアプリ販売の取り引きでも同じような傾向が?

アプリを提供するためにアプリストアを利用したことがある事業者など約60社に聞いたところ、契約内容を「一方的に変更された」と回答した企業は、「アップル」の取引先で81.4%、「グーグル」で73.8%と、高い割合になっている。

さらに、アプリストアを使用する企業が、運営事業者に支払う手数料については「何らかの理由で問題がある」とする回答が多く、約7割が「手数料の水準が高額」と答えているの。

サービスの利用者側は、どんな懸念を持っているのでしょう。

約2000人から回答があったんだけど、巨大IT企業による「個人データの収集や管理に懸念がある」と答えた人が全体の75.8%にのぼったの。

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具体的には、「個人情報や利用データの取り扱いや情報管理」を心配している人が85.6%と最も多くなっている。

今回の結果を公正取引委員会はどう受け止めているんですか?

「不利益を受けているという回答が多いなどの数字は受け止めなければいけないが、巨大IT企業などにも聞き取りをして、実態を詳細に調べたい」と話している。

公正取引委員会では、今回の中間報告も参考にしながら、公正な競争環境を確保するためのルールや、巨大IT企業が膨大な個人データを集めて囲い込まないよう、独占禁止法の適用に向けた指針作りを進めていくことにしている。