NEW2019年04月02日

さよなら、大量採用 ~メガバンクの事情~

大手銀行が新卒採用を一段と絞り込みます。三菱UFJ銀行は、2020年春入社の新卒採用について、今春の45%減とする計画をまとめました。三井住友、みずほもそれぞれ採用を減らす方針です。

45%も減らすんですか?

3大メガバンクの来春の採用計画をまとめると、こんな感じ。「三菱UFJ」が大幅に減らすほか、1年前に採用数を半減させた「みずほ」も、さらに2割ほど採用を抑える方針で、全体では2019年春の新入社員の数と比べて28%の減少になる計画ね。

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大手銀行と言うと、1000人規模の大量採用のイメージがありますが、様変わりですね。

確かに、かつては、1つの銀行で2000人を超える規模の採用をしていたこともある。

3大メガバンクを合わせた数字で見てみると、リーマンショック前の2007年春には採用数が6000人を超えていた。リーマンショック後は急減し、その後、景気回復に合わせるように採用数も戻っていたんだけど、2016年の春以降は、再び減少に転じているのが分かる。今は、リーマンショック後では最も少ない水準になっているの。

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背景には何があるのでしょう。

大きな背景にあるのが、歴史的な低金利の長期化で収益環境が厳しさを増していること。中でも、2016年に日銀がマイナス金利を導入して以降、それに合わせるように採用数が減っているのは象徴的ね。

今、各銀行は、効率化のためにITを活用した事務作業の削減に待ったなしで取り組んでいて、その結果、店舗などに必要な人員が減ってきている。

銀行としては、これからは絞り込んだ行員を、より収益が期待できる分野に重点的に配置したい考えで、たとえば、ITと金融の融合である「フィンテック」を活用した金融サービスの開発だったり、資産運用のコンサルティング業務だったり、そういう部門。単純な作業はどんどんAIなどに任せて、人ならではの「少数精鋭部隊」を作っていく戦略とも言えるかも。

採用を抑制する背景としては、ほかにも、産休や育休の制度が定着して復職する行員が増えていることもあるそう。ただ、効率化の旗を振るばかりでは行員のやる気が湧かないし、優秀な人材の確保が難しくなる可能性もある。

そこで、たとえば三菱UFJは、今回の春闘で組合の要求を上回る額のベースアップを行う異例の対応を決めた。厳しい経営環境は今後も簡単には変わりそうにないから、効率化と同時に、モチベーションアップの対策も工夫を迫られそうね。