NEW2019年04月03日

初任給 “引き上げ競争”か?!

ユニクロやジーユーなどを運営する「ファーストリテイリング」が異例の対応に踏み切りました。来年春に入社する新入社員の初任給を一気に2割アップさせ、25万円を超える水準にする方針を固めたのです。ファストファッションの巨人の一手で、“初任給の引き上げ競争”が加速するのでしょうか?!

初任給の引き上げ幅は約20%で、金額にすると月に4万5000円アップだそうですね。年間だと54万円にもなります。どうして、そんなに上げるんですか?

確かに思い切った引き上げ幅で、会社創立以来、最大なんだって。ファーストリテイリングは、売り上げの半分以上を海外が占め、今後も海外展開を強化していく方針で、海外での事業運営を担うことができる人材を求めている。

だけど、そうした海外志向が強い学生を獲得するには、これまでの初任給の水準では不十分だったということね。海外を含めた転勤のある職種の初任給はこれまで21万円で、これは平均的な水準。そこで、海外志向を持つ学生の獲得で競合する総合商社や外資系企業などと同じような水準まで引き上げることにしたというわけ。

でも、この春入社したばかりの社員などの給料は? 逆転されてしまうのかな?

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そうなってしまわないように、この春に入社した新入社員や近い年次の社員なども給与を引き上げる方向で検討してる。

例えば、新たな評価基準を導入し、一定レベルに達していれば給与を上げていく方法などの検討を進めている。

会社では初任給引き上げを、グローバルに活躍できる人材を育てていくための“初めの一歩”と考えていて、これを機に人事制度の改革を本格的に始めたい狙いがある。

若手社員でも、意欲があればこれまでより早くに海外に異動させ、現地で経営の基本や語学力を身につけてもらいながら育成していきたいと考えている。

初任給って、ほかの企業でも上がってるんですか?

そもそも、ここ数年は人手不足もあって学生有利の「売り手市場」が続いているから、初任給を引き上げる動きが相次いでる。
最近では大手生保の「明治安田生命」が、この春の新入社員の初任給を5000円引き上げた。

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情報サービス大手の「リクルート」の調査によると、来年春の新卒者の採用に関しておよそ4700社から回答を得て調べたところ、初任給の引き上げを実施したか、実施する予定と答えた企業が49.9%に達している。

これは前の年よりも7ポイント高くなっていて、初任給引き上げの動きが広がっていることを示している。

来年春の入社に向けた学生の就職活動は、先月から会社説明会が本格化して、今はまさに真っ盛り。売り手市場が続いているだけに、知名度も高いファーストリテイリングの初任給大幅引き上げが、ほかの企業の動向にも影響を与えるかもしれないね。