NEW2019年03月19日

10連休に電気が余るって本当?

4月27日からの10連休では、九州や四国で、太陽光発電などを一時的に停止させる「出力制御」が行われる可能性が出ています。10連休中は、工場などが休みとなり、企業の電力需要が減ると見込まれるためです。

「出力制御」って、いったい何でしたっけ?

出力制御は、電力の供給が過剰になった場合に、太陽光発電などを一時的に停止させる仕組みのこと。電気は発電する量と使う量のバランスが崩れると、周波数が乱れてしまう。そうなると、発電所が壊れないように次々と自動的に停止してしまって、「ブラックアウト」と呼ばれるような大規模な停電が起きる可能性があるの。

国内では、去年10月に離島を除く地域では初めて、九州で出力制御が行われた。以降、九州では19回行われている(3月19日現在)。

なぜ10連休に出力制御が行われる可能性が出ているんですか。

もともと春は、暖房を使わなくなるから電気の使用量が少なくなる時期なんだけど、今回の10連休では、多くの工場が長期間、操業を休止すると見られている。そうすると、電力の使用量が大幅に減ることが見込まれているの。

特に、九州と四国では、太陽光発電の普及が進んでいるし、原子力発電所も再稼働している。こうした地域では、日中に晴れて太陽光発電の供給が多くなると、電力の供給が過剰になってしまうので、出力制御を行う可能性が出てくるというわけ。四国で出力制御が行われれば初めての実施になるので、四国電力が事業者に周知するなど準備を進めている。

ニュース画像
高知県内のソーラーパネル

私たち消費者への影響はあるんですか。

電気が足りない時には、わたしたち消費者も節電に取り組む必要があるんだけど、電気が余る場合には、基本的には発電事業者が供給を減らして対応する。一般の家庭には、電気はいつも通り供給されるので、影響はないと言っていいと思う。

太陽光発電などを行っている事業者は困らないんですか?

出力制御を行うと、太陽光発電の事業者にとっては販売する電気の量が減ってしまうことになるので、不満の声も出ている。だから、こうした余った電気を有効に活用しようという動きも出てきたの。

ベンチャー企業の「ENECHANGE(エネチェンジ)」と、新電力の「Looop(ループ)」は、10連休を挟んだ春の期間、電気が余りそうな昼間に消費者に電気の利用を促す取り組みを始めることになった。電力使用のピークは夕方なんだけど、早めに炊飯器を使ったりして昼間に電気を使うと、ネット通販のギフト券をプレゼントして、実質的に割安になる仕組み。当面は全国のLooopに加入している家庭が対象なんだって。会社側は、太陽光発電に合わせて、電気の使用をシフトしていくことで、再生可能エネルギーの有効利用や、温室効果ガスの削減にもつながるとしている。太陽光発電の普及で、電気の使い方も変わっていくのかもしれないね。