NEW2019年03月08日

巨額損失!みずほで何が

「みずほフィナンシャルグループ」が、ことし3月期の決算で6800億円もの損失を計上することになりました。最終利益も800億円と、前年度より86%の減益になる見込みに。金融業界の経営環境は厳しさを増していると言われてきましたが、みずほに何が?

6800億円というのは大きな損失ですね。

損失の理由は「構造改革」。

具体的な内訳を見ると、①システム関連が4600億円、②外国債券など有価証券関連が1800億円、③店舗改革の関連が400億円となっている。

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まず①のシステム。
みずほは、ほぼ月に1度のペースでATMを週末に止めて口座管理などを担う基幹システムの更新を進めていて、作業は7月に終わる予定。過去に2度のシステム障害を起こしたみずほにとって、グループ全体のシステムを一本化する次期システムへの移行は最重要課題なんだけど、巨額の投資を行った一方で、今後生み出される収益を考えると、バランスが取れないことがわかったというの。
そこで、予定を前倒しして、システムのソフトウエアの資産価値を見直す「減損処理」を一括で行うことにした。

次に大きいのが②の有価証券関連ですね。

国内で低金利が長引く中で、銀行はアメリカなど外国の債券への投資を増やしてきたんだけど、そのアメリカで金利が上昇して債券の価格が下がってしまった。このため、「含み損」を抱えた状態になっている外国債券などを一気に処理してしまうことにしたの。

そして、③。
銀行の店舗は、顧客から預金を集めて融資に回すという銀行ビジネスにとって、これまでは重要な窓口の役目を果たしてきたけど、ネットバンキングの普及で来店客が減るなど、大きな環境変化にさらされている。

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みずほは、2017年秋に発表した構造改革プランで、全国の店舗の2割にあたる100店舗を統廃合させる計画を打ち出していて、今回、統廃合の対象になる店舗の資産価値を見直すことにした。
統廃合の対象も、今後、大都市圏を中心に数十店規模で増やすことも明らかにした。

店舗が課題を抱えているというのは、みずほだけではないですよね。

そう。実際、「三菱UFJ」と「三井住友」も、1年前の決算で、店舗の統廃合やデジタル技術を活用した効率化を進めるため、それぞれ430億円、250億円の損失を計上している。

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みずほは、損失を前倒しで処理したとのことですが、今後“V字回復”は果たせるんですか?

新たな稼ぎ頭を生み出せるかどうかが、カギを握っている。
注力する事業の1つがデジタル分野で、3月から、地銀60行と連携して、キャッシュレス決済の「Jコイン」のサービスを始めた。

ただ、この分野も、将来性が期待される一方でIT企業などからの参入が相次いで「乱立状態」。激しい生き残り競争になる可能性もある。

3大金融グループのうち、「みずほ」は収益力で3番手が定着してしまった感がある。今回、従来型のビジネスモデルが限界に来ていることへの危機感を示したわけだけど、それだけに、巨額損失をきっかけに、新たな銀行像を打ち出していけるかが今後問われそう。