秋に急ブレーキ?!
上場企業の4月から12月までの9か月間の決算がほぼ出そろいました。最終的な利益の合計は、前年同期比で5.8%の減益。過去最高の水準にあった企業業績が、マイナスに転じたのです。
経営者の目算を狂わせたのは、「中国」と「スマホ」の“ダブルショック”でした。
今回の決算発表では、経営者から「想定以上」ということばがたくさん聞かれたようですね。
そうね。まず数字から見ていきましょう。
4月から12月までの9か月間の累計で、最終利益の合計が5.8%の減益。減益はこの時期として2年ぶりだそう。
このうち、10月から12月までの第3四半期だけを取り上げると、最終利益の減益幅は、26.1%に上る。さらに、第3四半期の業績を業種で分けると、非製造業が10%の減益だったのに対して、製造業は37.4%もの減益だった。
また、今回、年間の最終利益を下方修正した企業は200社に上ったんだけど、このうち151社が製造業だった。
「秋」に「製造業」が打撃を受け、全体の業績を押し下げたことが数字にはっきり表れていますね。理由は「中国」と「スマホ」ですか。
多くの経営者から、中国経済の減速の影響ということばが聞かれた。去年の秋から年末にかけては、アメリカと中国の貿易摩擦への懸念が非常に高まった時期。「世界の工場」である中国の企業が、先行きの業績を慎重にみて設備投資を急速に控えた。これによって、工場の生産設備など、日本企業が強みを持っている分野で受注が落ち込んだのね。
そして、スマホ。今や世界最大の市場になっている中国で、2018年の年間の出荷台数が前年より10.5%減少した。世界全体で見ても、出荷台数は4%の前年割れになっている(米IDC調査)。専門家に聞くと、中国市場では景気減速による買い控えの影響があったと見られるけど、それに加えて、そもそもスマホの高機能化が進んだことで、世界的にこれまでより買い替えのサイクルが長くなっていることも影響しているんだそう。
また、中国市場の動向をメーカー別に見ると、米アップルは11%の減少だったのに対し、中国のファーウェイは15%増。メーカーごとの商品、価格戦略も売れ行きに響いたとみるべきね。いずれにせよ、アップルなどのスマホ向けに電子部品などを納入している日本メーカーは、大きな影響を受けることになってしまった。
業績への影響は今後も続くのでしょうか。
まさにそこが焦点。専門家からは、「中国経済はまだ政府のコントロール可能な範囲での減速だ」という意見がある一方で、企業経営者からは「中国市場は楽観せず、今の状況が新年度以降も続く前提で、事業を徹底的に見直せと指示した」(東芝)という声が聞かれるなど、中国経済を慎重に見る声が大勢。
企業の業績悪化が賃上げの消極化につながれば、暮らしにも影響を及ぼすことになる。今後の大きなカギは、アメリカと中国の貿易問題の協議の行方。保護貿易は“誰も得をしない”とよく言われるけど、米中の指導者もその点を念頭に交渉を進めて欲しいものね。
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