NEW2019年02月06日

窮屈だから銀行やめます?!

長引く低金利や新興のIT企業の参入などで厳しさを増すのが金融機関の経営環境。激動の時代に対応するために、「銀行やめます宣言」をする会社まで出て来ました。ん? 銀行やめちゃうの?!

いったいどういうことですか?

「銀行から一般企業になります」っていう発表をした会社があったんだけど、正確に言うと、グループ全体として銀行業をやめてしまうという意味ではないの。

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発表したのは、「イオンフィナンシャルサービス」。銀行持ち株会社として傘下にイオン銀行を持っている。

この会社が、2019年4月1日に、新たに設けた子会社に銀行持ち株会社の役割を任せてしまい、自分は、「事業会社」になるとしている。

今は傘下に銀行を持つ「銀行持ち株会社」だけど、これからは、銀行持ち株会社を子会社に持つ「一般企業」になるということ。

違いがよく分からないのですが、何のためなんですか?

誤解を恐れずに言うと、「銀行は窮屈だから」。

銀行は預金者から預かったお金で企業などに融資する事業だから、何より健全性が大事。そこで、法律で業務の範囲を厳しく規制されていて、一般企業への出資などにも制限がある。

ところが、今の金融業界は、膨大な個人情報を持つプラットフォーマーと呼ばれるIT企業など、異業種からの参入で新たな競争が生まれていて、銀行自身もITをどう活用していくかなど、待ったなしの戦略が問われている時代。

そこでイオンフィナンシャルサービスとしては、「事業会社に移行することで業務範囲の拡大に対応しよう」と考えたわけ。

銀行としての健全性は子会社の持ち株会社のもとできちんと確保していき、自分自身は、これまでできなかったさまざまなサービスの展開を検討するねらい。

IT企業は銀行業に参入できるけど、その逆は制限があるとすれば、銀行側の窮屈さも分からなくもありませんね。

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だからこそ、銀行業界は長く規制緩和を熱望してきた。そこで2017年に施行された改正銀行法では、一般企業に対する出資規制が一部緩和され、銀行サービスの高度化などに役立つ場合、金融庁の認可を受ければ、フィンテック企業などを傘下に持てるようになった。

加えて、今、金融庁が取り組むのが、フィンテック時代に対応した抜本的な法規制の見直し。

今は銀行やクレジットカード会社など、業態ごとに異なる法律をもとに規制や監督をしているけど、これを決済や融資、資産運用といったサービスごとに規制や監督をする法律の枠組みに見直すことを目指し、議論を続けている。

ITがもたらす急激な変化には、企業も、そして法律も対応していかないといけない時代だということね。