NEW2019年01月18日

銀行なのに“現金扱わない” “昼休みあり”のワケ

「現金を取り扱わない店舗」「窓口が昼休み」ーーー。今、銀行が変化しています。背景にあるのは、長引く低金利による収益力の低下やキャッシュレス時代の到来。効率化を急いでいるのです。

銀行なのに現金を扱わないって?

確かに銀行にとって現金は大事な商売道具なんだけど、同時に、かなりのコストがかかる存在でもある。一般的な支店では、毎日、閉店後に現金をチェックして帳簿と合っているか確かめる。万一、1円でも違ったら大変なことになると言われるの。

保管や運搬にも厳重さが必要だから、費用も手間暇もかかる。そこで「あおぞら銀行」は、2019年4月から、個人の資産運用が主な業務になっている都内の出張所で、原則、現金を取り扱わないようにして管理コストを減らすことを決めた。

お客さんによっては入出金が必要な人もいそうですが…。

店内に置いてある提携銀行のATMを使ってもらうことが基本だそう。出張所の責任者は「効率的に業務ができるようになる分、資産運用の相談の方にいっそう力を入れたい」としている。

銀行の効率化と言うと、ATMを共同で運用したり、自前のATMをやめてコンビニに任せてしまったりという動きはこれまでも伝えられていましたね。

そうね。2019年は「三菱UFJ」と「三井住友」という大手2行が、店舗外にあるATMの共同化に踏み切る予定。どちらの銀行の利用者でも、平日の日中の引き出し手数料を無料にするなど利便性も高めつつ、重複する場所にあるものは減らしていく。

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地方銀行でも動きはあって、福岡県の「西日本シティ銀行」は、2020年3月末までにATM1300台あまりのうち、およそ2割を削減する方針。コンビニATMの普及やキャッシュレス化の進展で、自前のATMの利用は2割ほど減っているそう。

効率化の一環で昼休みを設ける銀行まで出ているんですね。

たとえば福島県の「東邦銀行」は、2018年以降、14の店舗で午前11時半から1時間、窓口を閉じている。昼休みを設けてこれまでより少人数で店舗を運営していこうと、「北海道銀行」や「千葉銀行」など、ほかにも導入する銀行が増えているの。

効率化はしかたないことかもしれませんが、顧客の利便性は損なわないようにして欲しいですね。

そうね。鳥取県では、銀行が示した支店を集約する計画に地元の町が反発し、その銀行に預けていた預金を解約するといったことも起きている。支店がなくなれば、隣町の支店まで20キロ離れていて、住民が不便になるというの。

地域の店舗網の維持につなげようと、金融庁は、これまで銀行には認められていなかった「平日休業」を認めるようにした。隣り合う地域で、同じ銀行員が1日ごとに交互に営業するなど、新たな運営方法を模索してもらい、店舗が完全に撤退してしまう事態を避けようというねらい。

銀行は社会インフラの重要な一角。キャッシュレス化の波に誰もが同じように乗っていくわけにもいかないし、効率化の進め方には工夫が必要ね。