NEW2018年06月01日

あの会社がカラオケから撤退 なぜ?

カラオケボックス大手の「シダックス」が、このほどカラオケ店の運営から撤退することになりました。郊外から都心まで、最盛期には全国で300もの店舗を展開していた大手が、いったいなぜ撤退という決断に至ったのでしょうか?

あのシダックスが、カラオケ店の運営から撤退するんですか? 大型店を各地に展開したり、料理を充実させり、カラオケブームをひっぱていたようなイメージがありましたけど。

シダックスは6月にカラオケ事業を行う子会社の株式の81%を、同業の「カラオケ館」を運営する「B&V」に売却することになった。株式の売却後も、店には食材や消耗品の販売・配送は続けるけど、全国に180余り展開しているカラオケ店の運営からは撤退するそうよ。

シダックスがカラオケ事業に参入したのは、1993年。料理のメニューを充実させた、いわゆる「レストランカラオケ」というスタイルで、郊外を中心に広い個室が特長の大型店を出店。ピーク時の2008年度には、304店にまで店舗網を拡大させていた。

でも、ここ数年は状況が厳しくなっていたみたいね。利用者が減少して、ライバルとの料金・サービスをめぐる競争が激化して、採算が悪化していたの。おととしには、80店舗を閉鎖して立て直しを図っていたけど、ことし3月期で13億円余りの最終赤字と、3年連続の赤字決算になってしまった結果、撤退を決めたそうよ。

カラオケって、確かに一時期より行かなくなったような気もするけど、そんなに利用者が減っているんですか?

業界団体の「全国カラオケ事業者協会」によると、カラオケ店の市場規模は2016年で3920億円。ピークだった1996年の6620億円から、40%も縮小しているの。

かつてはサラリーマンや学生が飲み会の2次会の場所として利用することが多くて、こうした利用者は大人数のグループで来店し、お酒や料理も多く注文していた。だけど、企業の働き方改革などを背景に飲み会に行く人が減ったり、若者のアルコール離れなどもあって、利用者の減少につながっているというわけね。

それに最近では、純粋に歌だけを楽しむ「ひとりカラオケ」というスタイルも増えているみたいだけど、それだと飲み物や食べ物の注文も減ってしまうよね。
広い個室と充実した料理を売りにしていたシダックスにとっては、こうした利用客の変化は逆風になっていた。郊外に多く出店したことも裏目に出てしまった形ね。

ニュース画像

そういえば、JーPOPでもみんなが知っててカラオケで歌える曲が減ったような気もするし。カラオケは日本発の文化としても海外で知られているから、ちょっと寂しい気もしますね。

カラオケ業界も、あの手この手で新しい利用方法を提案し、利用客を掘り起こそうとしているわ。
例えば、「ビッグエコー」を展開する「第一興商」は、ビジネス向けのサービスを始めてる。外回りの営業担当者やテレワークで働く人に、個室を貸し出すサービスで、防音設備がしっかりしているので周りを気にせず電話できるし、仕事に集中してできることをアピールしてるわ。

ニュース画像

ほかにも、「まねきねこ」を運営する「コシダカホールディングス」は、1人カラオケ専用の個室で、オンライン英会話の授業が受けられるサービスを始めている。
このほか、VR技術を使ってコンサート会場にいる感覚を味わえるカラオケ店や、大音量で映画を楽しめる店も登場している。こうした取り組みで、利用者減少の逆風を押し戻せるかどうかが今後のポイントになりそうね。