2019年05月31日
(聞き手:勝島杏奈 田嶋あいか )
「食べログ」や「価格.com」を運営する株式会社カカクコム。いま、海外展開にも力を入れています。今回の先輩は、カカクコム社の海外向け購買支援サイトでファッションカテゴリを中心に、サイトの企画・分析や取引先との提携交渉を担う28才の谷野裕さん。インターネット業界で活躍する先輩は、情報をどう活用しているのでしょうか?
学生
勝島
よろしくお願いします。さっそくですけど、最初に会社名からイメージしたのは、商品の価格を比較しているサイトかなと
そうですね、事業として大きいのは「価格.com」と「食べログ」ですね。「食べログ」はどうですか?
谷野さん
学生
田嶋
よく使ってます
ありがとうございます(笑)
僕が関わっているのは「Priceprice.com」というサービスで、価格.comを海外展開していこうという事業です
サイトは東南アジアを対象にしているそうですが、どうしてですか?
東南アジアでは、これからネットを使う人が増えてくるというのがあって、EC(電子商取引)でモノを買う人も増えてくるだろうと
意外と人口多いんですよ、東南アジアって。例えばインドネシアって何億人いるか知ってますか?
わからないです(笑)
2億人以上いるんです
日本より多い!
フィリピンだと1億ちょっとで、タイが6000万くらい。そこでこれからネットが来る!僕らのノウハウを生かして事業をしていくのは意味のあることかなと
そもそも、なぜ(就職先に)カカクコムを選んだのですか?
大学生のときに語学留学していたこともあって、カカクコムの海外事業に興味があったんです
どこに留学されてたんですか?
カナダのトロントです。1年弱くらい
留学してから就職しようと?
順番としては、一旦就活してみたんですけど「やっぱ違うな」と。「俺やっぱ留学したかったわ」って。就活は1回やめて、バイトでお金をためて、みんなが卒業するタイミングぐらいで出発、でした
ちょっと足踏みしてもちゃんと後で頑張ればいいので。大学生って猶予があるんだなって後になって思いました
就活している段階で、自分は何が好きかを考えたんです
カナダにいた時、知り合ったら名刺代わりな感じでFacebookを交換して、その後はメッセンジャーで「ちょっと今日飲みに行く?」とか連絡しあってたんですよ
そうなんですね
新しい経験だったので、インターネットを使うと今までになかった価値を提供できるなって思ったんです
それで、向こうで動画作って、日本人の友達と。音楽に合わせて踊る的な(笑)
踊っていたんですか?
僕は撮る係でしたけどね(笑)
撮って編集してFacebookに投稿して、面白いのできたよーって
そしたら。「いいじゃん、面白い」って反響があって。インターネットっていいな、なにか作れたり繋がっていく感じがいいなーと思いましたね
あと縛られるのが嫌いだったので、自由なのがいいなって。こういう服とか着たいし(笑)
谷野さんにとって「仕事」ってどんなものですか?
「神ゲー」です
僕の中では、仕事はゲーム性があると思ってて。それを楽しめたら人生楽しいみたいな
ゲームでは、いろいろな登場人物がいて、魔法使いとか、格闘系とかいろいろタイプがあって。ほかにもプレイヤーがいて、敵がいて、ダンジョンとかモンスターとかをクリアしていくみたいな
ご自身はどういったタイプで?
格闘家じゃないですよね。どっちかというと魔法使いになりたい感じではあるんですけど…割と冷静さを売りにしているかと…(笑)
自分がどういうタイプなのかを見つけていくのも自己分析なんだと思います
なるほど!
だから就職活動って、どのゲームソフトを選ぶか、みたいなところがあると思うんですよね
そういう捉え方をすれば就職活動、そこまで憂鬱じゃなくなりそうですね
どのゲームが好きかって、人によって違うじゃないですか。格闘ゲームが好きな人もいるし、萌え要素がないとダメな人もいるだろうし、趣味嗜好違いますよね
だから自分に合う神ゲーを探せるといいと思います。
ゲームだから負ける事もあるんですけど、若いしやり直しがきくから、失敗しても大丈夫です
朝はSmartNewsのアプリを開く事が多いですけれど、それは目を覚ますために見ていて
あとは、新しいニュースから、2ちゃんまとめのページも見たりしますね
書かれていること全部が本当とは思ってないですが、その中にも世の中で本当だと思われている事もあるかなと、真面目な事も考えながら見ているんです
それは興味があるものを見る感じですか
そうですね、やっぱり興味がないニュースは頭に入ってこないので。
ただ興味がないからって完全に見ないわけじゃなくて、見出しぐらいは見ています
「広く浅く」って書かれてますけど、大事ですか
朝に関しては大事かなと思います。深く見ていると遅刻するので(笑)
徐々に深堀りしていって
そうそうそう、広いところから狭くしていくイメージですね
いきなり深くしちゃうと、いろんなことに興味を持ちにくいじゃないですか。だから広く押さえてから深く掘っていく
通勤時ですけど、業界関係のニュースって何ですか?
ウェブマーケティングを専門にしたメディアがあるんです
専門にしたメディア?
ウェブマーケティングのトレンドとか、業界関係者にとって大事な事を扱うメディアがあるので
それを集めてくれるのがFeedlyというサービスで、気になるメディアを何個か登録しておくと、配信されたニュースをまとめておいてくれるんです
この情報って仕事に直結しますか?
しますね。もろに自分が関係していることですし、これは取り入れてみようと思えるような情報が入ってくるので
夜にスポーツニュースみてるんですね?
サッカーも僕にとっては大事なニュースなんです(笑)
サッカーから気づくこともいろいろあって、ユニフォームの胸スポンサーにどんな企業が入ってるんだろうとか
そういうことにも注目されてるんですね!?
見えちゃうので。ついでに考えたりします
あんまり見ないので…
毎日見てると気づくんですよ。やっぱ定期的に見ないと
最近、ヨーロッパのチームでは日本のネット企業がスポンサーになったり、中国企業のスポンサーも増えていて。中国のパワーってやっぱりヨーロッパにも広がっているんだなってことも感じられますね
そういうところで感じたことを仕事に生かしたりしているんですか?
生きたり生きなかったりですね。でもいつか生きるかもしれないですし。情報を在庫としてためておくっていう感じですね
では、谷野さんにとって「情報」とは?
点と点です
点と点?
ニュースは一個の点だと思ってるんですよね。そこからニュースとニュースを数珠繋ぎしていくイメージです
例えばインドネシアで大きな選挙があったとしたら、そこから何を考えてどうするか。インドネシアの人たちは政治に関心が高いので、じゃあそこにどう絡んでいくかとか
なるほど
点と点だと思うんですよね。もしかしたらどこかで役立つことがあるかもしれないので、ニュースは点と点を繋いでいく作業なのかなと
一つ見るだけじゃあんまり意味がないんですか?
一つ見てもただの点なので。点と点が繋がってくると何か形が見えてくるのかなと
思いがけないところで点と点が繋がったみたいなことがありそうですね
点と点って僕が考えた言葉ではないんですけどね。スティーブ・ジョブズの有名な言葉で、「connecting the dots」っていうのがあるんです
スタンフォード大学の卒業式のスピーチの中でスティーブ・ジョブズが、大学の時に英語のカリグラフィーという書法を勉強したら、それがその後アップルの書体に活きてきたっていう。アップルの書体ってすごいきれいなんですよね
そういう昔に学んだことというか、ニュースもある意味そうだと思うんですよね。(なにかの)きっかけになるのがニュースなのかなと
ありがとうございます
面白いです
学生には、情報やニュースとどう向き合ってもらいたいですか
ニュースはググれば出てくるんで。ググればいいと思います(笑)
就活中は、気になる情報があったらEvernote(エバーノート)などのツールに貼りつけておいて、スマホで面接の前に見ていましたね。これは興味あるし、今日の話に繋がりそうだから聞いてみようとか
僕が面接官だったら、来る前に5分ググるぐらい出来たでしょって思っちゃうので。面接官になったことはないですけど(笑)
他の人と差をつけていくっていう意味では、例えば上場企業だったらIRニュースっていうのがあるので
???
IRとは・・・Investor Relations
企業が株主や投資家向けに、企業の経営状況や財務状況、実績や今後の見通しなどを広報すること
会社についての説明が書いてあります
「うちの会社はこういう事業をやっていて、この事業はこれぐらいの売り上げがあります」という情報を開示しているんです
面接に行く企業のIRニュースを見てると、売り上げを上げているのはECサイトだと思ってたら実は金融部門だったとか
目立っている部分と、実は戦力となっている部分とが違う?
そうそう。面接の話し方がそれで変わってきたりするんですよね
すぐに実行できそうです
僕がカカクコムを受けたときは、利益率の高さに注目しました。つまりお金に余裕がありそうだなって(笑)
何かサービスを企画したい、作りたいという時に、お金の少ない会社じゃなかなか作れないじゃないですか
そこまで考えてなかったです
そういう話をしていくと、カカクコムなら例えば価格.com、食べログに次いで収益を生み出せる事業を作りたいんですよね、じゃあ自分がそれやりたいです、という話に持っていけるようになります
私たち大学3年生なんですけど、これから何をしようか迷っている時期で…。自分がこれやりたいとかを決断するためには、どういった経験を積むべきですか
感覚を大事にした方がいいなって思っていて、「なにか作りたいんだ俺」っていうのに気づくのって、意外とみんなスルーしてると思うんです
「私これ好きかも」っていう感覚を大事にしたほうがいいって気がしますね
感覚か…
いろんなアプローチがあると思うんです。消去法的に選ぶ方法もあるとは思うんですけど、何か好きなものを見つけた方が、やっぱり早いと思うんです
何か好きなものはあるんですか?
わたしは子供がとっても好きです
なるほど
そこから何か広げて、ダイレクトに保育士になるのか、保育士になるイメージがないなら、子どもに関わる事って他にもいろいろあって、おもちゃかもしれないし
ウェブ系でもAIを活用して喋るおもちゃとかあるじゃないですか。そういう方向かもしれないですよね
好きから仕事につなげるって難しく感じます
それができればラッキーだと思います。なるべくラッキーな方がいいじゃないですか
ただ、”好き”はスルーしやすい感覚だと思うので、そこにアンテナを張っておくのはやっておいたほうがいいと思います