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コロナ禍で“孤育て” 子育て中の親の孤立防ぐ「つながり」
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「近所の人や同世代のママと話をしたいけど、相手が感染を気にするかもしれないと思うと、気軽に話しかけられない」取材した母親の言葉です。
相次ぐ緊急事態宣言の影響で外出の機会が減る中、たとえ外出できたとしても周囲に気軽に話しかけられず、小さな子どもを育てる親が地域につながりを作りづらくなっています。親たちの孤立を防ごうと横浜市のNPOが、対面式ではない「つながり」を作る取り組みを進めています。
(横浜放送局/記者 佐藤美月)
オンラインで「つながり」作る
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横浜市戸塚区のNPO法人「こまちぷらす」が開いているオンラインのおしゃべり会です。月に3回、妊婦や小さな子どもを育てる親たちが集まり、子育ての悩みなどを相談し合っています。
おしゃべり会を開いたきっかけは、新型コロナウイルスの影響で、気軽に外出もできず孤立していると感じる親が増えているという危機感からでした。
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NPO法人「こまちぷらす」大塚朋子さん
「『やっぱり一日中子どもとふたりはしんどいです。誰かと話したいです』って、NPOの玄関先でポロッと涙を流して帰るママをみて、このままではどんどん孤立する親が増えてしまう、どうにかしないといけないと思い手探りで始めました」
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妊娠後期、何を準備しましたか?
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産後1か月までに最低限必要なものがあれば、個人的にはいいかと思ってます。
新型コロナがなければ井戸端会議で話せたようなささいな話も、いまではここが共有できる貴重な場となっています。
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近くに友達もいなければご近所づきあいも全然ないので、唯一の地域の大人としゃべれる時間です。
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親とか親戚にも会えない状況ではあるんですけど、オンラインでもそうやって見てくれる人がいてすごくありがたい。
子育てのスタートラインから「つながる」
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大塚さんたちがいま力を入れているのが、子育てのスタート地点に立ったばかりの親とつながることです。その鍵を握るのが、区の子育て施設などに置いたチラシやホームページなどで希望者を募って無料で届けている出産祝い。地元企業や地域の人たちの協力を得て進めています。
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お祝いの中には、赤ちゃんの健やかな成長を願って地域の人たちが手縫いしたお守りの「せまもり」と、応援のメッセージが入っています。
NPO法人「こまちぷらす」大塚朋子さん
「妊娠や出産の報告をすると、コロナでこんな大変な時なのにと言われるとか、子どもがコロナベビーって言われてしまうという話を聞いてすごく嫌でした。祝福されないのは寂しいこと。赤ちゃんにも、待っていたよ、生まれてくれてありがとうという気持ちを感じてもらいたい」
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お祝いを受け取った横浜市戸塚区の沖野飛鳥さんです。神奈川県に緊急事態宣言が出ていた去年4月に、長女の百香ちゃんを出産しました。
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感染予防のため、希望していた立ち会い出産はできず、産後、病院で家族との面会もできませんでした。退院してからも地域の児童館は閉鎖していた時期もあり、半年間ほとんど外出できなかったといいます。そんなときに受け取ったのが大塚さんたちからのお祝いでした。
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沖野さんは、メッセージを読んだ瞬間に号泣してしまい、はじめて、つらくなっていた自分に気づいたそうです。
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沖野飛鳥さん
「あまり自分では気づいていなかったのですが、自分では子育て楽しんでいたし子どもはかわいいと思うんですけれども、いつの間にかつらくなってしまっていたのか、メッセージを読んで感情がバーッと出てきました」
沖野さんは、メッセージを読んだあと、外に出づらかった気持ちがすこし緩和されたとも話していました。
「家族以外に自分を応援してくれている人がいるなんて、思いもよらなかった。外に出られなかった理由には、子どもを連れて外に出る事がどう見られるか少し怖かったのもあるんですけど、応援してくれる人がいるんだなって思うと心強くなりました」
長引くコロナ禍で自粛生活が続く中、大塚さんは、親たちが追い詰められる前につながることが大事だと言います。
NPO法人「こまちぷらす」大塚朋子さん
「はたから見たら、困って見えないかもしれないけど、でもどこか不安が大きかったり孤立していたりする親がいる。放っておくと孤立が深刻な状態になるそのもっと手前からつながれるような機会を作っていけたらなと思っています」
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取材後記
「里帰りもできない、立ち会い出産もできない、外出もしづらい、コロナ禍で子育てを始めた人たちは、いまの状態が当たり前なんです」
NPOの大塚さんが話してくれた言葉に衝撃を受けました。
取材を進める中で、最初は気丈に話していたのに「実はつらい時期もあって」と話し始めてくれる親もいました。コロナ禍でなくても孤立しやすい新生児との生活。自粛生活が続く中、多くの我慢を重ねて、自分でも気付かないうちにかなり無理をしている親が数多くいるのかもしれません。
一方、子育てを始めたばかりの親たちに向けて地域の人たちが書いたメッセージの中には多くの励ましの言葉がありました。
「ひとりで頑張りすぎていませんか?周りで応援している人、必ずいます!」
「少しくらい息抜きしても大丈夫!ママも赤ちゃんも泣いたあとは笑顔であふれますように」
周りに応援してくれている人がいると分かるだけで救われる人たちがいます。
コロナ禍でコミュニケーションを取りづらいいまだからこそ、子育てを始めたばかりの人が周りにいたら「応援しているよ」と声をかけてみませんか?
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横浜放送局 記者
佐藤美月
2010年入局。甲府局、経理局を経てことし7月から横浜放送局。児童福祉や子どもの学習支援などをテーマに取材。