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最高裁が持つ“2つの顔”

最高裁は、裁判所として最後の判断を担うという「裁判官の顔」だけでなく「行政官の顔」も持っています。裁判所は、1つの独立した機関として、裁判所内の人事や予算、会計といった「司法行政」と呼ばれる事務を自分たちで行っています。最高裁には「事務総局」と呼ばれる部署があり、裁判官が行政の職員と同じような仕事をしています。国会答弁にも立っています。

事務総局の上には、最高裁の裁判官15人で構成される「裁判官会議」があり、最終的な決定権を持っています。ただし、その権限は、全国の裁判所の「事務」にとどまり、「裁判」には及びません。裁判官は「独立」(何者にも干渉されず法と証拠に基づいて判断する)が憲法で保障されているからです。ほかの機関はもちろん、事務的には「上司」にあたる最高裁からも干渉されないという原則です。最高裁が地裁や高裁の裁判の途中で口を出したり、人事などの権限を使って介入したりするのは、「裁判官の顔」に泥を塗ることになるので、厳禁です。