政策比較国境管理

「国境管理」について、バイデン氏とトランプ氏それぞれの主張は。

バイデン大統領
バイデン大統領

“移民に寛容”から“厳格な国境管理”に

トランプ前大統領
トランプ前大統領

“壁の建設”実績アピール

政策の詳細

バイデン大統領
バイデン大統領

政権発足当初は移民に寛容な姿勢を打ち出したが、入国希望者の急増を受けて、より厳格な国境管理を導入する方針に転換。

2023年10月、大統領就任直後に建設を停止した国境沿いの壁の建設再開を認めると発表した。

さらに、2024年6月、国境管理を強化する新たな大統領令を発表した。
大統領令では、法的な手続きをせずにメキシコとの国境を越えて入国を試みる人が1日平均で2500人を超えた場合、亡命申請を受理しないとしていて、メディアは、「一時的な国境の閉鎖だ」と伝えている。

バイデン大統領は、当初、議会が国境管理を強化するための法案を可決すれば、国境を越えてくる人が過剰な人数になった場合に国境を閉鎖するとしていたが、与野党の対立で法案の可決の見通しが立たず、みずから大統領令を出す形となった。

一方で、バイデン大統領は、法的な手続きをせずに入国した人のうち、アメリカ国民と結婚し、長期間、住んでいる場合には、永住権の申請をしやすくする措置を発表した。これまで、こうした人たちが永住権を申請する場合、いったん国外に出て、長期間、家族から離れて結果を待たなければならなかった。今後は国内で手続きを進めることができるとしている。

バイデン大統領の大統領令に対しては、民主党内から「移民に厳しすぎる」などと反発も出ていたため、救済措置を打ち出した形で、背景には、移民に寛容な政策を求めるリベラル層の支持をつなぎとめる狙いもあるとみられる。

トランプ前大統領
トランプ前大統領

中南米などから法的な手続きをせずにメキシコとの国境を越えてアメリカに入国を試みる人が急増していることについて「バイデン大統領がもたらした侵略だ」などと強く批判。

大統領在任中に国境沿いに壁の建設を進めたことなどを実績としてアピール。

今回の選挙で大統領に返り咲けば、すべての国境管理政策を復活させるとしている。
具体的には不法移民対策として「アメリカ史上最大の強制送還作戦」を実施すると宣言しているほか、国境を越えて違法な薬物を密輸する犯罪組織に打撃を与えるため軍を投入するとしている。

争点となっている背景

アメリカでは、近年、メキシコとの国境で法的な手続きを経ずに入国を試みて拘束される人が急増していて、国境警備当局によると、昨年度247万人を超え、3年連続で過去最多を更新した。

南部テキサス州など、共和党の一部の州知事は、バイデン政権の移民政策を批判し、移民に寛容とされるニューヨークなどに移住希望者たちをバスで送って、受け入れを迫る異例の対応をとっている。

このため、国境沿いの州だけでなく、受け入れを迫られる都市部でも負担感が増し、全米で対応を求める声が強まっている。