政策比較中国・インド太平洋

「中国・インド太平洋」について、バイデン氏とトランプ氏それぞれの主張は。

バイデン大統領
バイデン大統領

ミニラテラルで競争
「あいまい戦略」から踏み込んだとの受け止めも

トランプ前大統領
トランプ前大統領

最恵国待遇の見直し
台湾防衛への関与重視しないとの見方も

政策の詳細

バイデン大統領
バイデン大統領

インド太平洋地域について「アメリカの安全と繁栄にとって極めて重要だ」として、重視する姿勢を示すとともに、中国を「最大の競合国」と位置づける。

中国への対応を念頭に、2021年には、日本、アメリカ、オーストラリア、それにインドの4か国の枠組み「クアッド」を閣僚級から首脳級に格上げし、アメリカとイギリス、オーストラリアの3か国の安全保障の枠組み「AUKUS」オーカス の発足を主導。
2023年8月には、日米韓3か国の首脳会談を定例化することで合意した。

バイデン大統領が再選された場合、こうした少数の国による枠組み「ミニラテラル」を活用し、同盟国や友好国と連携しながら、中国との競争における優位を確保しようとするものとみられる。

台湾をめぐっては、「台湾は中国の一部」だとする中国政府の「1つの中国」の主張を認識するとしたアメリカ政府の立場を維持。

アメリカの歴代政権は中国が台湾へ武力行使した場合の対応をあらかじめ明確にしない、それにより中国の行動を抑止することを狙う「あいまい戦略」をとってきた。ただ、バイデン大統領はこの戦略から踏み込んで、「中国が台湾に侵攻すれば、アメリカ軍を派遣して防衛する」という趣旨とも受け止められる発言をたびたびしていて、真意をめぐり、議論を呼んでいる。

トランプ前大統領
トランプ前大統領

大統領在任中、「インド太平洋地域へのアメリカの関与は政権の最優先事項だ」として、インド太平洋地域を重視する姿勢を示す。

中国については、事実上の公約「アジェンダ47」の中で「われわれの技術や食料品、農地などを買い占めようとしている」と述べ、強い警戒感を示す。
さらに、選挙集会では「中国の最恵国待遇を見直す」と繰り返し述べ、貿易不均衡を解消するとして、中国製品に対する関税の引き上げも辞さない考えを示す

また、台湾をめぐっては「あいまい戦略」を維持する姿勢を示している。

ただトランプ前政権で大統領補佐官を務めたボルトン氏は回顧録の中でトランプ氏の台湾への関心は高くなかったと指摘。専門家や外交筋からはトランプ氏は台湾の防衛へのアメリカの関与を重視しないのではないかという見方も出ている。