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地震で甚大な被害が出ているトルコ南部のガジアンテプ県。
私たちが入った町、イスラヒエでもあちらこちらでマンションが倒壊していました。
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町の広場に設置された仮設テントの診療所の近くで、疲れ切った様子でたたずむ女性に出会いました。
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英語教師のピナル・イルティジさん(26)。
最低気温が氷点下にもなる厳しい寒さが続いているのに、薄手のコートに、足は素足にサンダルという格好でした。地震が発生した時、自宅から慌てて飛び出したためでした。
診療所に来た理由を聞くと、一緒に避難している母親が体調を崩したため、薬をもらいにきたのだと教えてくれました。
マンションの5階にある自宅は倒壊こそ免れましたが、建物内に亀裂が入り、危ないため帰れないといいます。
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今、避難しているという場所について行くと、案内された先にあったのは、路上に停められた1台のトラックでした。
後ろの荷台をシートで覆って風よけを作り、家族や親せきなど10人とともに、夜は毛布にくるまり、身を寄せ合って明かしているといいます。
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ピナルさんは、診療所で受け取った薬を、熱が出てせきが止まらない母親に手渡していました。
ピナルさんの母親
「薬をもらえるだけでありがたいですが、こうした状況が長く続くのは耐えられません。なんとかしてほしいです」
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ピナルさん
「安心して寝られる場所もなく、家族も体調を崩してしまいました。こんなにつらい経験は初めてです。安全な建物はなく、ここはまるでゴーストタウンです。多くの人たちが路上で寝泊まりしていて、厳しい寒さとたたかいながら、避難を続けています」
自治体からは、避難用のテントが配られ始めていますが、その数はまだまだ足りません。
それに運よく受け取れたとしても、厳しい寒さをしのぐには十分ではありません。
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家族と親せきと一緒にテントに避難しているという男性に話を聞くことができました。男性は、生後3か月の赤ちゃんを含む10人で避難生活を続けていました。
このままでは、幼い子どもたちが寒さに耐えられないと、命がけの行動をとっていました。繰り返し余震とみられる揺れが続くなか、被災した自宅に戻り、中にあった暖房器具を取ってきたのです。それでも厳しい寒さをしのぐには十分ではないと、訴えます。
避難してきた男性
「テントは用意してもらったが、ほとんど何も持たずに逃げてきた。寒さで子どもたちが我慢できずにいます」
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地域医療の拠点となっている病院は地震の影響で使えなくなっています。
建物の内部にひび割れができ、安全が確保できないとして、すべての患者の受け入れを停止しています。
今、仮設の診療所にいるのは看護師と薬剤師だけ。医師はいません。
ここでは本格的な診察や治療はできないのです。
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看護師の男性
「寒さで子どもやお年寄りなどが体調壊す人が相次いでいますが、薬も限られていて、ここでできることには限界があります」
連日の冷え込みに、厳しい避難生活。そして、不十分な医療などの支援体制。
地震の揺れによる被害から九死に一生を得ても、なお現地の人たちは命の危険にさらされています。
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