2022年6月3日
ウクライナ ロシア

「新たな夢をつくっている」ウクライナにあるポスターから見えたのは?

ウクライナの街を歩いていると、ロシアによる侵攻に関するさまざまなポスターが目に留まります。

「言ったでしょう ウクライナの“上”ではなく、ウクライナの“中”に、と」

こうウクライナ語で書かれたポスターには、雲の中から伸びた手が、ロシア兵のポケットにひまわりの種を入れている様子が描かれています。そして、その隣には、土の中に埋まったロシア兵と花を咲かせたひまわりも。 

もし、ロシアが攻めてきても、ウクライナ軍がロシア兵を倒し、そのポケットにひまわりの種を入れておけば、美しい花を咲かせるのに役立つだろう。

侵攻の直前に、ウクライナで話題になったブラックジョークがモチーフになっているといいます。

「私はあんたの“beauty”じゃない」

ポスターにはこの言葉とともに、ウクライナの国旗と同じ、青と黄色の花でできたカチューシャを付けた女性が、男性に拳銃を突きつけている様子が描かれています。

そして、“beauty”。侵攻前のことし2月にフランスのマクロン大統領と会談したプーチン大統領が、記者会見でウクライナについて言及した際に用いた言葉です。

会見では、ロシアとウクライナが結んでいた停戦合意「ミンスク合意(※)」についても触れられ、プーチン大統領は、ウクライナが合意を守るべきだという主張をし「好きか嫌いかの問題ではない。そうしなければいけないのだ、“my beauty”」と発言しました。

※「ミンスク合意」 ウクライナの政府軍と親ロシア派の武装勢力との間の紛争を解決しようと、2014年9月と2015年2月に、フランスとドイツの仲介で結ばれた停戦合意

“my beauty”とは、女性を誘う際に使われることもあり、プーチン大統領の発言は、海外メディアでは「性差別的」などと受け止められました。

ポスターに書かれた「私はあんたの“beauty”じゃない」というフレーズは、このプーチン大統領の発言を痛烈に批判しているのです。

そして、街なかに多く貼られていたのが、世界最大級のウクライナの貨物機のポスターです。

この貨物機は「アントノフAn-225」。ウクライナ語で「夢」を意味する「ムリーヤ」の愛称で、国民から広く親しまれていました。

しかし、侵攻後の4月、首都キーウ近くの空港でロシア軍の攻撃を受けて、破壊されてしまいました。

こうしたことを踏まえて、ポスターには次のように書かれています。

「ロシアは私たちの古い“夢”を壊した。しかし、私たちは今、新たな“夢”をつくっている」

(すべてリビウ市内で撮影)

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