新型コロナ 世界からの報告
中国政府「ゼロコロナ」政策への抗議活動に
感染警戒強める

2022年11月29日

中国の北京や上海などで週末に行われた大規模な抗議活動について、中国外務省の報道官は11月28日の記者会見で言及を避けました。
中国政府は、厳しい行動制限を伴う「ゼロコロナ」政策に対して抗議活動が再び起きないよう警戒を強めています。

中国では週末、首都・北京や上海などで「ゼロコロナ」政策に対する大規模な抗議活動が行われ、集まった人たちが「自由がほしい」などと訴えましたが、警察は一部を拘束するなどして批判を抑え込む姿勢を鮮明にしています。

北京や上海の現場では、11月28日も多くの警察官や警察の車両が配備されたり、バリケードを設置したりしてものものしい雰囲気となっていました。

これについて、中国外務省の趙立堅報道官は11月28日の記者会見で、国内で「ゼロコロナ」政策への不満が高まっているのではないかと問われたのに対し「事実とは異なる」と否定し、各地で大規模な抗議活動が行われたことについては言及を避けました。

そのうえで「中国は一貫して『ゼロコロナ』政策をとり、常に現状に応じて調整をしてきている」と述べ、中国共産党の指導によって感染を抑え込む考えを強調しました。

共産党の一党支配のもと、厳しい言論統制が敷かれる中国で政府の政策に反対する抗議活動が各地で一斉に行われるのは極めて異例で、中国政府は抗議活動が再び起きないよう警戒を強めています。

香港でも抗議活動

一方、香港では28日夜、新疆ウイグル自治区の中心都市ウルムチの高層マンションで起きた火事の犠牲者への追悼の呼びかけに応じて、抗議活動が行われました。

香港島の中心部にある駅の周辺には、インターネットでの呼びかけで午後7時を過ぎると、花束を持った人たちが次々と訪れ、数十人が抗議の意思を示すため静かに白い紙を掲げていました。

白い紙を掲げた50歳の男性は「今こそウルムチで亡くなった人たちを追悼し、中国各地で街頭に集まった人たちへの連帯と支援を示す時です」と話していました。

香港ではおととし、反政府的な動きを取り締まる香港国家安全維持法が施行されてから抗議活動が厳しく抑え込まれていて、中国政府に対する抗議活動が公の場で行われるのは異例のことです。

現場では、警察官が人々に立ち止まらないよう呼びかけるなどして、およそ1時間ほどで抗議活動に参加した人たちはその場を離れていきました。

米ホワイトハウス「平和的な抗議活動 誰もが行う権利持つ」

アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は11月28日、会見で「集会を開き、平和的な抗議活動を行う権利は保障されるべきだ。われわれは状況を注視している」と述べました。

また、ホワイトハウスのNSC=国家安全保障会議の報道担当者は「『ゼロコロナ』政策によってウイルスを抑え込むのは非常に困難だろう。アメリカであっても世界のどこであっても平和的な抗議活動を行う権利は誰もが持っている。それは中国でも同様だ」とコメントし中国をけん制しました。

英スナク首相「中国との『黄金時代』は終わり」

イギリスのスナク首相は11月28日、コメントを発表し「中国政府は国民の抗議に耳を傾ける代わりに、BBCのジャーナリストへの暴力を含む、さらなる弾圧を選択した」として非難しました。

そして「中国に対するアプローチを変える必要がある。貿易が社会や政治の改革につながっていくという甘い考えとともに、いわゆる『黄金時代』が終わったことは明らかだ」と述べ、経済関係の強化などで一時は「黄金時代」とも呼ばれた中国との関係を見直す必要があると強調しました。

そのうえで「世界経済の安定や気候変動の問題など、世界情勢における中国の重要性を無視するわけにはいかず、アメリカやカナダ、オーストラリアや日本、その他多くの国々は、それを理解している。外交も含めて先鋭化する競争にともに対処していくことになる」として、友好国とともに中国と向き合っていく姿勢を示しました。