新型コロナ 世界からの報告
中国 上海の外出制限 6月1日事実上解除
社会の正常化急ぐ方針

2022年6月1日

中国の上海では、新型コロナウイルスの感染対策で、2か月余り続いてきた厳しい外出制限が6月1日、事実上、解除されました。当局は、厳しい感染対策を維持しながら、経済活動の再開を進め、社会の正常化を急ぐ方針です。

中国最大の経済都市上海では、新型コロナウイルスの感染対策で厳しい外出制限が2か月余り続きましたが、上海市当局は感染を抑え込んだとして、6月1日から、最近、感染者が確認された一部の地区を除いて外出を認めています。

これにより、全体のおよそ9割に当たる2200万人余りの住民の外出が認められるなど、外出制限は事実上、解除されました。

6月1日は、午前中から中心部の観光名所に地元の人たちが集まり、制限の解除を喜んでいました。

また、地下鉄や路線バスもほぼ全線で運行を再開していて、日本人が多く住む地域でも外出する人の姿が見られました。

上海の一日の感染者数は、ピーク時の2022年4月には一時、2万人を超えていましたが、5月31日は10人余りとなり、減少傾向が続いています。

ただ、厳しい感染対策は続いていて、公共交通機関を利用する場合は、72時間以内のPCR検査の陰性証明が求められるほか、オフィスビルでも出勤する従業員の人数を半分に制限するところが出ています。

当局は、こうした感染対策を維持しながら、深刻な影響を受けた経済を立て直すため、企業の生産活動も全面的に再開させていくとしていて、社会の正常化を急ぐ方針です。

上海 観光名所や日本人の居住地域など 制限解除を喜ぶ

厳しい外出制限が事実上、解除されたことを受けて、歴史的な西洋建築が建ち並ぶ上海の観光名所の「ワイタン(外灘)」では、午前中から散歩やジョギングを楽しんだり、記念に写真を撮ったりする人たちの姿が見られ、制限の解除を喜んでいました。

訪れていた60代の中国人男性は、「ようやく外に出てジョギングができるようになりました。制限が解除され、解放されました」と興奮した様子で話していました。

一方、上海西部にある日本人が多く住む地域でも、路線バスが運行していたほか、オフィスビルに出勤する人たちの姿も見られました。

6月1日の段階では、まだ飲食店の店内での飲食は認められていませんが、店の関係者が長期間訪れていなかった店内を掃除するなど、今後の営業に向けた準備を進めていました。

上海に駐在する40代の日本人男性は、「ようやく外に出て買い物ができるので、本当によかったです。引っ越してきて間もないのですが、荷物もまだ届いていないので服とか足りない物を買いたいです」と話していました。

来週月曜日から出勤する予定だという30代の日本人男性は、「人も車も増えたので少し安心しています。ずっと太陽に当たっていなかったので、太陽を浴びて健康を取り戻していきたいです」と話していました。