新型コロナ 世界からの報告
北京 市内中心部対象に感染対策一層強化
在宅勤務の徹底など

2022年5月9日

新型コロナウイルスの感染拡大への警戒が強まる中国の首都 北京では、地元当局が新たに、日系企業も多い市内中心部を対象に在宅勤務の徹底を求めるなど対策を一層強化しています。

北京市当局によりますと、市内では5月4日までのメーデーの連休以降も、無症状の人を含めて一日当たり50人前後の感染者が確認されています。

感染拡大への警戒を強める当局は、5月8日の記者会見で、特に感染者が多い中心部の朝陽区を対象に、新たに在宅勤務の徹底を求めたうえで、住民の生活と関係のない企業には休業を求めるなど、対策を一層強化する方針を明らかにし、これが守られない場合は厳しい対応をとるとしています。
さらに、住民には必要がないかぎり、区の外に出ないよう呼びかけてます。

340万人余りが住む朝陽区は日系企業も多く日本大使館もありますが、地下鉄や路線バスの運行制限が続いているほか、5月9日から一部の公園が閉鎖されています。区内のオフィスや商業施設では5月9日、平日にもかかわらず人影はほとんどなく、閑散とした様子でした。

一方、上海では5月8日も3700人を超える感染者が確認され、各地で厳しい外出制限が続いています。また、上海市当局は6月予定されている全国統一の大学入学試験について、上海の受験生を対象に1か月延期することを決めるなど影響が続いています。

住民からは戸惑いの声

北京中心部の朝陽区では新型コロナウイルスへの感染対策が強化される中、多くの商業施設や公共交通機関、それに公園も利用できなくなるなど、暮らしへの影響が出始めています。

このうち、区内の商業施設では、高級ブランドの店や飲食店が軒並み営業を停止していて、買い物客などの姿もなく、静まり返っていました。また、5月9日から閉鎖された公園の周りには柵が設けられ、立ち入りが一切禁止されていました。

住民からは戸惑いの声も上がっていて、公園での散歩を日課にしているという80代の男性は「北京のコロナ対策はとても厳しい。感染者が公園に入ることは考えられないのに閉鎖までする必要はない」と話していました。

別の60代の男性は「コロナ対策が厳しくて、みんな不便を感じているが、政府の対策に協力するしかなく、しかたがない」と話していました。